投稿日 2026年04月11日
「発達障害のある方はキレやすい、すぐ怒る」といったイメージを抱いたことはありませんか?
実際、大人の発達障害の中には、感情のコントロールが難しく、急に怒りっぽくなる傾向を持つ方がいます。
しかし、それは単なる性格の問題ではなく、脳の特性や環境との相互作用によって生じることが多いのです。
本記事では、大人の発達障害はキレやすいといわれる理由や、周囲が本人に感情をコントロールさせるためにできる工夫について解説します。
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大人の発達障害がキレやすいといわれる理由

大人の発達障害がキレやすいと言われる理由は何なのでしょうか。
発達障害の特性・関連性と合わせて解説していきます。
感情を自分で制御することが難しい
発達障害のある大人は、感情のコントロールが難しい傾向があります。
特に、ADHD(注意欠如・多動性)と呼ばれる特性を持つ方の場合、衝動性が強い傾向にあり、些細なきっかけで怒りが爆発してしまうことも少なくありません。
また、ASD(自閉スペクトラム症)では、思考の切り替えや感情の処理を苦手とする特性もあり、混乱が怒りとして表れるケースがあります。
いずれにせよ、発達障害のある本人は「怒りたくて怒っている」のではなく、どうしても怒りが抑えられない状態であることが多い傾向です。
本人にはどうしようもない状態であるという事実を、周囲がきちんと理解することが重要といえます。
相手の立場に立って考えることが苦手
発達障害を持つ方の中には、相手の立場に立って物事を考える行為を苦手とする方がいます。
特に、ASD傾向があると、相手の気持ちを想像することが難しい場合があり、相手の発言の意図が理解できずに苛立ちが強くなってしまう場合が少なくありません。
適切な指摘であっても、「自分の意見を否定された」と過剰に受け取ってしまうこともあります。
ただ、本人が自己中心的というわけではなく、発達障害に見られる認知の特性によるものです。
家族や同僚などの周囲の方は、できるだけ具体的に気持ちや理由を伝えて、本人が意図と異なる受け取り方をしないような配慮が求められます。
ストレスに対して敏感
発達障害がある場合、ストレスに対して敏感な特性を持っていることがあります。
もともと、発達障害の方は五感や環境に対して過敏になってしまう場合があり、一般的な方よりも些細な刺激でストレスを感じやすい方が少なくありません。
職場の雑音や急なスケジュールの変更、人間関係のささいないざこざなどが積み重なって、ある日突然キレるという形で表面化してしまうのです。
家族や同僚としては、本人に対してついつい「気にしすぎだよ」と声をかけたくなってしまうかもしれません。
しかし、発達障害特有の敏感さは簡単に改善できるものではないため、本人も真剣に悩んでいることをきちんと理解する姿勢を意識したほうがよいでしょう。
こだわりが強い
発達障害の特性の一つとして、こだわりの強さが挙げられます。
自分なりのルールや手順、スケジュールに固執する傾向があり、それが崩れたり無視されたと感じたりしたときに、強い怒りとなってしまう場合があるのです。
こだわりの強さからくる怒りは「自分のルールに反した」と感じる混乱や不安による場合も多く、本人の努力で制御することは難しいといえます。
また、周囲が特性のこだわりについて理解不足であると、意図せず本人に負担をかけ、結果的にキレてしまうといった事態につながります。
こだわりの強さは発達障害の代表的な特性でもあるため、「事前に予定を共有しておく」「物事の変更があればわかりやすく丁寧に説明する」といった配慮が必要です。
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発達障害の大人に見られる怒りの主な行動

発達障害でキレやすいとされる大人は、具体的にどのような行動で怒りを表すのでしょうか。
ここからは、発達障害の大人に見られる、怒りの主な行動について解説します。
大声を出す
発達障害のある大人は、感情を適切に処理することが難しい場合があり、怒りを感じたときに大声を出して感情を爆発させてしまうケースがあります。
衝動的に大声を出したり、怒鳴ったりすることも多いため、周囲を驚かせて萎縮させてしまう可能性もゼロではありません。
また、ASDやADHDを持つ方の中には、自分の感情を言葉で整理することが苦手な方もおり、怒りや悲しみなどの複雑な感情を叫び声で発散してしまう場合があります。
対人関係のトラブルの原因になるケースがあるだけでなく、本人としても「なぜあそこまでキレてしまったのだろう」と後悔していることも多いです。
物に当たる
発達障害があると、物に当たるといった行為で怒りを表すケースがあります。
具体的には、怒りを感じたときに、物を壊す、物を投げる、物を叩くなどの行動です。
発達障害の中でも、特にADHDの衝動性が強い方や、感覚処理のコントロールが苦手なASDの方に見られる傾向にあります。
怒りによって物に当たったことで、修理費用がかさんだり、周囲の方にケガをさせてしまったりするリスクもあるため注意が必要です。
急に怒る
発達障害のある大人の中には、周囲から見ると些細なことで突然怒り出すように見える方がいます。
周囲から見ると何気ないような出来事であっても、本人にとっては重大な問題であるかもしれません。
特に、発達障害のある方の場合、予測できない変化に極端にストレスを感じやすいものです。
急な予定変更や相手の話し方が曖昧で理解できないときなどに、急に怒ることがあるのです。
不機嫌になる
発達障害がある方の中には、不機嫌になるという態度で怒りを表すケースがあります。
怒りを表に出す代わりに、黙り込んだり、表情が険しくなったりすることが少なくありません。
なぜ怒っているのか、何に怒りを感じているのか、などを言葉にしない場合も多く、周囲が困惑し、孤立する原因にもなる恐れがあります。
急に不機嫌になってしまうと、周囲としても関わりを避けようとすることもあるため、人間関係で悩む可能性も高まるかもしれません。
発達障害でキレやすい大人が感情をコントロールするためには

大人であっても、発達障害の特性を持っていると、一般的な方から見て些細な問題と感じることでキレてしまったり、イライラを他人へぶつけてしまったりするケースがあります。
仮に本人がキレやすいことについて悩んでいる場合、感情をコントロールするための方法について、寄り添いながら模索していく必要があるかもしれません。
具体的に、発達障害でキレやすい大人が感情をコントロールするためにはどうしたらよいのか、以下で詳しく解説します。
ストレスの原因から距離を置く
発達障害でキレやすいと自覚があるなら、まずはストレスの原因から離れてみるとよいでしょう。
職場内に響くさまざまな雑音や、予測していなかった予定変更、人間関係の摩擦など、まずは自分にとってのストレスの原因を特定して距離を置くことが大切です。
ストレスから物理的にも心理的にも距離を取ることで、イライラの増幅を抑えられる場合があり、結果的に感情の爆発を防げる可能性もあります。
本人に休憩をこまめに挟むようアドバイスをしたり、急な変化が予測される場面では、あらかじめ「この仕事は後々変更があるかも」と伝えたりすることが重要でしょう。
深呼吸する
キレそうになったとき、その場で一旦深呼吸をしてみることは、意外にも有効です。
深呼吸は自律神経のバランスを整える効果があり、交感神経の過剰な興奮を抑えやすくなります。
鼻からゆっくり吸って、口から細く長く吐き出す行為を数回繰り返すだけでも、心拍数が落ち着き、気持ちが落ち着いていくのを感じられるはずです。
特に、ADHDやASD傾向のある方は感情のスイッチが急に入ってしまうことがあるため、体の反応を意識的に落ち着かせる方法として深呼吸は非常に有効でしょう。
運動する
体を動かすことは、怒りやストレスといったネガティブな感情を解消するのに非常に効果的です。
特に、発達障害がある大人は、感情をうまく言語化できなかったり、もやもやとしたイライラが蓄積しやすかったりするため、運動でネガティブな感情を発散させることは重要です。
激しい運動である必要はないため、ジョギングやウォーキングなど、無理なく続けられるものから始めてみるとよいかもしれません。
また、運動することでセロトニンやエンドルフィンなどの神経伝達物質が分泌され、気分が安定しやすくなるといったメリットもあります。
アンガーマネジメントのトレーニングをする
発達障害の特性が原因でキレやすい場合、アンガーマネジメントのトレーニングで、衝動的な怒りを抑えやすくなる場合があります。
アンガーマネジメントとは、怒りの感情を理解し、適切に表現・対処する技術のことです。
代表的なものとして6秒ルールがあり、怒りを感じたときに6秒間何もせず、衝動的な言動を抑える練習をします。
発達障害のある方は怒りが一気に爆発しやすいため、衝動的にキレないよう冷静に見つめるスキルは重要です。
アンガーマネジメントはセルフでもできますが、専門家のサポートを受けながらトレーニングすることもできます。
「自分はキレやすい」と悩んでいる方が周囲にいる場合、アンガーマネジメントの存在について助言してみてはいかがでしょうか。
医療機関を受診する
発達障害のある本人が、自身のキレやすさに悩んでいる場合は、医療機関への受診を検討するといった選択肢があります。
医療機関と聞くと、病気の患者さんが通院するイメージがあるかもしれません。しかし、実際は発達障害の理解を深めたり、生活の中でできる工夫・配慮を知ったりする機会でもあります。
特に、精神科や心療内科では、発達障害の診断や、適切な支援に関するアドバイスも受けることが可能です。
感情の爆発を和らげるための薬物療法や、ストレスマネジメントのカウンセリングなどを提案してもらえることもあり、本人・支援者のどちらにとっても有益です。
本人が一人で対処しようとしても、根本的な原因に気づけないまま悪循環に陥るおそれがあるため、まずは医療機関とつなげることも重要です。
発達障害に関する支援団体に相談する
医療機関を受診することに本人が抵抗感を抱いていたり、ハードルが高いと感じたりするのであれば、発達障害に関する支援団体に相談する方法もあります。
支援団体には、発達障害の特性に理解のあるスタッフが在籍していて、本人の悩みや生活で困っていることなどに寄り添って話を聞いてくれます。
「些細なトラブルでキレやすくて悩んでいる」「衝動的に大声で怒鳴ってしまう」といった相談も数多く寄せられており、実績も豊富です。支援団体ならではの知見で一緒に解決策を探ってもらえるでしょう。
支援団体によっては、怒りっぽさやキレやすいことによる人間関係のトラブルなど、日常生活で起こりやすい課題に対して、グループ活動や個別相談などを実施しているところもあります。
医療機関とは異なり、同じような悩みを持つ当事者とコミュニケーションを交わせるため、「この特性は自分だけではない」と安心できる場合もあるかもしれません。
現在、発達障害に関する支援団体は、公的な機関のほか、地域の障害者支援センターやNPO法人など、多岐にわたる領域で運営されています。
まずは、近隣の支援団体や、求めている支援を提供している団体などについてリサーチし、一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。
発達障害でキレやすいのは性格の問題とは限らない
発達障害のある方がキレやすいのは、必ずしも本人の性格が問題であるとは限りません。
本記事でもご紹介した通り、発達障害を持つ方は、その特性上、感情のコントロールが難しかったり、相手の視点に立って考えることが苦手であったりします。
キレやすい理由についても、発達障害の特性が関係していることがあるため、一方的に本人を責めるのは好ましくありません。
そんな、些細な問題でキレてしまったり、感情がコントロールできなかったりすることで悩んでいる本人・家族は、ぜひ一度『かもみーる心のクリニック仙台院』にご相談ください。
発達障害をはじめとした、さまざまなカウンセリングを提供しているクリニックであり、「キレやすい」「怒りっぽい」と悩む方からの相談も多く寄せられています。
気軽に現状を相談できるよう環境も整えていますので、ぜひ一度お気軽にお越しください。
