「適応障害で会社に行けないのは甘え?」
「周囲から適応障害は『甘え』『怠け』と言われてつらい」
「みんなストレスがあるのに、自分が甘えているだけなのかも」
適応障害についてこのようにお悩みの方は少なくありません。しかし、適応障害は単なる気分の問題ではなく、ストレスが要因となった「疾患」です。
この記事では、適応障害が「甘え」や「怠け」ではない理由をわかりやすく解説します。
なぜ適応障害は甘えと誤解されがちなのか、誤解されたときの対処法、適応障害と似た疾患との違いなどについても紹介しますので、一人で抱え込まず、正しい理解と対処につなげましょう。
適応障害が「甘え」や「怠け」ではない理由

適応障害は、強いストレスにさらされた際、心や身体にさまざまな不調が起こる病気です。
ストレスや環境変化によって起こるため「甘えている」「怠けてるんじゃないの?」「性格の問題」「みんなそう」と勘違いされがちですが、適応障害は「甘え」でも「怠け」でもありません。
適応障害が甘えではない理由について、ここから詳しく見ていきましょう。
医学的に認められた疾患の一つ
適応障害は、国際的に用いられる診断基準(DSM-5やICD-10)によって正式に定義された疾患です。
決して「気持ちの問題」や「努力不足」ではなく、単なる一時的な疲労や気分の落ち込みとは区別されています。
医師による診断では、ストレス因子が明確に存在するか、症状が社会生活に影響しているかなどが評価されます。
自己判断で無理を続けると悪化の可能性もあるため、「適応障害かも」と思ったら放置せず、早めに医師やカウンセラーに相談してみましょう。
▶適応障害とは?再発率や兆候・繰り返さないための対策・復職時の注意点を解説
ストレス反応と病気による症状は違うもの
強いストレスを受けると、一時的に気分が落ち込んだり、集中しにくくなったりすることがあります。
これを「ストレス反応」といい、ストレス反応自体は、誰しも感じることがあるものです。
一時的なストレス反応であれば、ストレス解消をしたり、ゆっくり休めば回復することが一般的です。
しかし、適応障害の場合、ストレス要因に過剰に反応してしまい、仕事や家事など日常生活に支障をきたすほどの強い症状が現れます。
治療が必要な症状であり、単なるストレス反応とは別物です。
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本人の努力では改善が難しい
適応障害による心身の不調は病気の症状の一つであり、発症には脳や神経のストレス反応が関わっているとされ、本人の努力や頑張りで簡単に治せるものではありません。
また、適応障害の発症には、職場での負担や人間関係のストレス、家庭での悩みや孤独、災害や病気といった環境(外部要因)が大きく影響しています。
例えば、職場の長時間労働や過剰な業務量、上司のパワハラなどが原因となっているなど、本人だけでどうにかすることは困難であり、環境の見直しや配置移動といった対処(環境調整)が必要です。
通常であればストレスを感じても、適切に対処することで乗り越えられます。
しかし、適応障害は「頑張ってもストレスに対処できない」状態です。つまり「心が限界に近いサイン」であるため、頑張りすぎないようにしましょう。
誰でも発症する可能性がある
適応障害は、年齢や性別、職業や環境に関係なく、誰でも発症する可能性がある病気です。
甘えている人や怠けている人がなるわけではなく、むしろ、責任感が強く真面目な人や、頑張りすぎてしまう人の方がリスクが高くなる傾向にあります。
また、昇進や転職、結婚や出産といった一見ポジティブに見える変化であっても、適応障害を発症するきっかけとなることがあります。
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放置すると悪化や他の病気を併発する可能性がある
適応障害は適切な治療を行えば改善が期待できる疾患ですが、放置すると症状が悪化したり長期化したりして、うつ病や不安障害などの別の精神疾患を引き起こすケースも少なくありません。
「甘えかもしれない」と自分を責め続けてしまうと、自己肯定感の低下や孤立を招き、症状の悪化につながる可能性があります。
なぜ?適応障害が甘えと誤解される理由

適応障害が甘えと誤解されやすいのはなぜなのでしょうか?ここからは、誤解の原因について解説します。
ストレスが原因の不調であるため
適応障害を引き起こす引き金となる「ストレス」自体は一般的なものであり、多かれ少なかれ誰しも抱えているものです。
このことから、「ストレスなんて誰でもあるのに」「みんなそう」と軽視されたり、誤解されてしまうことがあります。
実際には、ストレスの影響は個人差が大きく、同じ環境でも受け止め方や反応は同じではありません。
しかし、ストレスという身近な言葉に置き換えられることで、病気の深刻さが十分に伝わりにくくなってしまうのです。
症状が周囲から見えにくいため
適応障害では、身体や心、行動にさまざまな症状が現れますが、どれも外見からは判断できないものです。
ケガや発疹のように目で見てわかる症状がないため、周囲には「普通に見える」ことが少なくありません。
このため、本人の苦しさが伝わりにくく、「甘えているのでは」「やる気がないだけでは」と誤った評価をされてしまうことがあります。
しかし、見えにくいことと症状が軽いことは一致しません。周囲からわかってもらえないことが負担になり、気持ちが追い詰められてしまう方は多いです。
症状に波があるため
適応障害の症状は一定ではなく、良い日もあれば悪い日もあることが一般的です。
ストレスの原因に反応することが特徴で、休日などでストレスから離れると元気に見えても、またストレスがかかると落ち込むといった浮き沈みが起こります。
このように波があることで、周囲からは「気まぐれ」や「怠けているように見える」など誤解されてしまうことがあります。
偏見を持っている人もいるため
精神的な不調に対する理解は近年広まりつつありますが、残念ながら現在でも「精神的な病気は弱い人がなるもの」「気持ちの問題」といった偏見にとらわれている人もいます。
知識や理解の不足、我慢や長時間労働を美徳としがちな日本の文化などが、適応障害に対する誤解の背景として考えられるでしょう。
適応障害と甘えの見分け方はある?

適応障害と甘えをはっきり見分けたり、区別したりすることは難しいです。
しかし、適応障害は症状にいくつかの兆候が見られ、診断基準もあります。ここでは、適応障害と甘えの見分け方のポイントを紹介します。
症状が持続しているか
たまたま職場や家庭で嫌なことがあり、気分が落ち込んだり、その日に仕事や学校に行きたくないと思うだけであれば、一時的な反応と考えられます。
しかし、症状が強かったり、長く続く場合、適応障害が関係しているかもしれません。
目安としては、つらい症状が2週間以上続く場合は、一度医師やカウンセラーに相談してみましょう。
日常生活や社会生活に支障をきたしているか
ストレスを受けることはあっても、多くの場合、日常生活に大きな影響を与えることは少ないものです。
しかし、適応障害では症状が原因となって、「仕事や学校に行けない」「症状が強く、家事ができない」など、日常生活や社会生活に支障をきたしてしまいます。
日常生活を送ることもままならないほど強く症状が出ている場合は、無理はせず早めに対処することが大切です。
身体症状はあるか
単なる甘えや怠けとは異なり、適応障害では以下のように身体にさまざまな不調が現れることが特徴の一つです。
- 頭痛
- 腹痛
- 胃痛
- ひどい倦怠感
- 不眠
- めまい
- 動悸
- 食欲不振 など
気持ちの面だけでなく、身体にも症状が現れている場合は適応障害の可能性があるでしょう。
医師による診断があるか
適応障害の診断は、専門家である医師が行います。
甘えかどうかだけでなく、適応障害に似た症状が起こる他の病気もあるため、正確に区別して、原因に合った適切な治療を行わなければなりません。
周囲の心無い言葉や、自分の判断だけで悩み続けるのではなく、早めに医療機関で医師に相談することが回復につながるでしょう。
適応障害で「甘え」と言われたときに誤解を解く方法は?

適応障害でつらい状態にあるにもかかわらず、周囲から「甘えているだけでは」と言われてしまうことは、とてもつらいものです。
しかし、多くの場合、このような発言は病気への知識や理解が不足していることから起こる誤解です。
まずは、適応障害が医学的に認められた疾患であることや、治療を受けていることを落ち着いて説明してみましょう。
例えば「医師から休養を勧められている」「ストレスに対処する治療を受けているなど」治療について伝えてみるのも一つの方法です。
もちろん、すべてを打ち明ける必要はありません。自分の負担にならない範囲で、最低限の情報を必要な範囲で伝えるだけでも、理解につながるかもしれません。
理解を得るのが難しい場合は、無理に説得しようとせず、信頼できる人や医療機関の支援を優先した方がいいケースもあります。
誤解に振り回されて自分を責め続けると症状が悪化する恐れがあるため、無理はしないようにしましょう。
正しく理解してくれる人とのつながりが、回復の大きな支えになります。一人で抱え込まず、必要な支援を求めることが大切です。
適応障害と似た症状が見られる疾患

適応障害は、「うつ病」や「不安障害」といった疾患と似た症状が見られることがあります。
共通している症状が多く、それぞれ併発や移行することがあるため、診断や検査で状態を見極めて、原因に合った治療を行うことが非常に重要です。
適応障害だけでなく、うつ病や不安障害も、周囲から誤解されてしまうことが少なくありません。
「これくらい大丈夫」「まだ頑張れる」と無理をして、自分でも気付かないうちに悪化してしまうことのないよう、一度専門家への相談を検討してみましょう。
▶適応障害・不安障害・うつ病の違い&共通点│セルフチェックや治療法も解説
適応障害の正しい対処法・治療法

個人差がありますが、適応障害は、ストレスの原因を取り除けば6ヶ月ほどで回復することが多い傾向にあります。
自分を責め続けるのではなく、以下のような適切な対処を取って改善につなげましょう。
- 環境調整(ストレスの原因から距離を置く)
- 休養をとる
- 生活習慣(睡眠・食事・運動)を整える
- 精神科・心療内科での治療を受ける(心理療法、薬物療法)
適応障害では、環境調整をメインに、休養や生活習慣の改善といったセルフケアを行います。
改善が見られない場合や症状が悪化する場合は、早めに精神科・心療内科での治療を受けることも有効な対策です。
適応障害は薬なしで治療できることもありますが、不眠・不安・抑うつといった症状が強い場合、症状軽減を目的に薬を使用することもあります。
▶適応障害の治療方法は?クリニックでの治し方と自分でできる対処法を解説
適応障害と甘えについてのよくある疑問

ここでは、適応障害と甘えについてのよくある疑問について紹介します。
Q:適応障害で会社に行きたくない・行けないのは甘え?
ストレスの原因が職場にある場合、「会社に行きたくない、休職したい」「会社に行くのが怖い」と感じるのは無理もないことです。
適応障害により会社に行けない、または行きたくないと思うのは症状の一つであり、甘えではありません。
自分を責め続けたり、無理を続けると悪化や二次障害のリスクがあるため、一度医師やカウンセラーといった専門家への相談を検討してみましょう。
例えば、認知行動療法(CBT)では、ストレスの原因となる「考え方の癖」や「行動パターン」を見直し、より現実的で柔軟な捉え方や対処スキルを身につけることで、症状の緩和やストレス耐性を高めることにつながります。
Q:適応障害で薬を飲みながら仕事はできる?
適応障害では、休職や場合によっては転職や退職を検討しますが、状況的に難しい方、仕事を続けたい方もいるでしょう。
その場合、適応障害の治療を続けながら仕事を続けることが選択肢の一つになります。
ただし、適応障害で使われる薬は対症療法であり、根本的な治療法ではありません。
すぐには難しくても、少しずつでも職場環境や業務内容といった環境調整を行うことが、仕事を続けていくうえでは大切です。
Q:適応障害はチェックリストで自己診断できる?
適応障害かどうか知るためには、自己診断はできず医師の診断が必要です。
ただし、簡単なセルフチェックを受診の目安にすることは可能です。チェックリストは以下で紹介しています。
適応障害は甘えじゃない!焦らず治療を続けることが大切
適応障害は誤解されがちですが、決して「甘え」ではありません。
日常生活に支障が出てしまう病気であり、回復のためには、適切な治療と正しい理解が大切です。
「自分が弱いから」「甘えているだけ」など間違った認識で自分を責めるのではなく、病気の症状として向き合い、焦らずに治療を続けましょう。
『かもみーる』では、オンライン診療・オンラインカウンセリングをご提供しています。
「仕事に行くのがつらい…でも病院を受診するほどではないかも」「甘えと言われないか不安」など、クリニックに足を運ぶのには抵抗がある方も、自宅からご相談可能です。
誰かにつらい気持ちを打ち明けるだけでも、心が軽くなることがあります。
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