大人のADHD(注意欠如・多動症)とは?よく見られる特性や治療法・対処法も解説

更新日 2026年01月01日

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大人になってから「集中できない」「物事を最後までやり遂げられない」「感情のコントロールが難しい」と感じることはありませんか?

それは単なる性格ではなく、ADHD(注意欠如・多動症)の特性によるものかもしれません。

ADHDは、子どもから大人まで幅広い年齢層で見られる発達障害のひとつです。

この記事では、大人のADHDによく見られる特性や受診先と治療法、日常生活での工夫についてわかりやすく解説します。

ADHDとは 

ADHD(注意欠如・多動症)は、不注意・多動性・衝動性を主な特徴とする発達障害の一つです。

幼少期に症状が見られることが多いものの、大人になってから気づかれるケースも少なくありません。

ADHDの特性は脳の働き方の違いに基づくもので、本人の性格やしつけの問題ではありません。

集中力の維持や時間管理が難しいなど、生活や仕事の場面で困りごとが生じやすいですが、適切な理解と支援により十分に対処が可能です。

ここでは、ADHDの特性について詳しく紹介します。

不注意

ADHDの代表的な特性のひとつが不注意です。

注意が散りやすく、一つの作業に集中し続けることが難しい傾向があります。

具体的には以下のような行動が見られることがあります。

  • 必要な持ち物を忘れる
  • 指示を聞き逃す
  • 期限を守れない
  • 細かいミスが多い

また、計画を立てることや優先順位をつけるのが苦手で、業務が滞ったり整理整頓ができなかったりする場合もあります。

こうした特性は努力不足ではなく、脳の注意のコントロール機能の特性によるものであり、工夫やサポートによって改善が期待できます。

多動性・衝動性

ADHDでは多動性や衝動性も重要な特徴です。

子どもの頃は落ち着きがない、じっとしていられないなど身体的な多動が目立ちますが、大人では考えが止まらない、話しすぎてしまうなど、内面的な多動として現れることが多くなります。

衝動性が強い場合は、以下のような行動が現れる傾向があります。

  • 思ったことをすぐ口に出す
  • 順番を待てない
  • 他人の話に割り込む
  • 衝動買いをしてしまう

これらは人間関係や仕事上のトラブルにつながることもありますが、特性を理解し対処法を身につけることで、安定した生活を送ることができます。

他の発達障害との併存

ADHDは、自閉スペクトラム症(ASD)や限局性学習症(SLD)など、他の発達障害と併存するケースもあります。

ASDを併せ持つ場合は、コミュニケーションの苦手さや強いこだわりが見られ、SLDでは読み書きや計算の苦手さが目立ちます。

こうした併存があると、単独のADHDとは異なる支援が必要になることがあります。

成長に伴って症状が変化

ADHDの症状は年齢とともにその現れ方が変化します。

具体的には以下のように変化していく傾向があります。

成長時期

症状

幼少期

・落ち着きがない

・順番を守れない

小学生

・授業中の集中困難

・忘れ物が多い

思春期

・提出物の管理

・人間関係の衝突

成人

・仕事への支障(ケアレスミス、業務の抜けや漏れ)

・時間管理ができない

子どもの頃は環境や周囲のサポートで何とか対応できていた場合でも、社会人になると要求される適応力が高まり、困難が顕在化することがあります。

このようにして初めてADHDが明らかになる、大人のADHDも少なくありません。

▶『ADHD(注意欠如・多動症)とは?発達障害との関係や特徴、対応法を解説

大人のADHDの特徴

ADHD(注意欠如・多動症)は子どもの頃に診断されることが多いですが、大人になってから気づく人も少なくありません。

大人のADHDでは、不注意・多動性・衝動性といった特性が、仕事や人間関係に影響を及ぼすことがあります。

ここでは、大人のADHDでよく見られる特性や二次障害、男女差について紹介します。

大人のADHDでよく見られる特性

大人のADHDでは、不注意・多動性・衝動性がそれぞれ異なる形で表れます

具体的には、以下のようなかたちで現れることがあります。

特性

具体例

不注意

・スケジュール管理や時間の調整が苦手

・優先順位をつけるのが難しく、業務の抜け漏れが起こりやすい

・物を置いた場所を忘れやすい

多動性

・頭の中で考えが次々と浮かび、集中しにくい

・会話中に話を遮り、自分の思ったことを口に出してしまう

・じっとしているのが苦手で、落ち着かない

衝動性

・計画を立てずに買い物をしてしまう

・感情のコントロールが難しく、突然怒る

・思ったことをすぐに口に出してしまう

このように、仕事が難しいと感じる面がある一方で、興味のあることには強い集中力を発揮する傾向があり、クリエイティブな仕事などで能力を発揮するケースもあります。

▶『おしゃべりが止まらないのは大人の発達障害?特性や対処法を紹介

併発しやすい二次障害

ADHDは、その特性が原因で、失敗の繰り返しや周囲からの誤解が続くと、強いストレスや自己否定感を抱きやすいのが特徴です。

その結果、以下のような二次的な精神トラブルを併発するケースがあります。

  • うつ病
  • 不安障害
  • 適応障害
  • 依存症(アルコール・買い物など)

二次障害は早期の理解と支援によって防ぐことが可能です。

自分を責めるのではなく、特性に合った工夫で生活を整えることが大切であり、必要に応じて専門家への相談を検討しましょう。

男性と女性の特性の現れ方の違い 

ADHDの特性は男女で現れ方に違いがあります。

男性では多動性・衝動性が目立ちやすく、落ち着きがない、思ったことをすぐに行動に移すなど、周囲から指摘を受けやすい傾向があります。

一方、女性では不注意が優勢で、忘れっぽさやぼんやりして見えるなど、外からは気づかれにくい特徴があります。

そのため、おっとりしている・マイペースと誤解されやすく、支援が遅れるケースもあります。

症状が内面化しやすい女性では、ストレスをため込みやすく、うつ病や不安障害を併発することも少なくありません。

男女差を理解することが、早期の気づきと適切なサポートにつながります。

大人のADHDかもと思ったら何科に行けばいい?

「自分はADHDかもしれない」と感じたときは、まず専門の医療機関に相談することが大切です。

相談先としては、以下のようなものがあります。

  • 精神科
  • 心療内科
  • 自治体の発達障害支援センター
  • オンラインカウンセリング

精神科や心療内科のなかでも、発達障害に詳しいクリニックを選ぶと、ADHD特有の特性や併発する症状についてもより適切な診断が期待できます。

また、受診に迷う場合は、自治体の発達障害支援センターなどの公的窓口を利用し、相談先を紹介してもらうのもよいでしょう。

「病院に行くのはハードルが高い」「気軽に話を聞いてもらいたい」という方はオンラインカウンセリングの利用もおすすめです。

かもみーる』は、有資格者のみが在籍する医師監修のオンラインカウンセリングで、自宅からカウンセラーに相談することができます。

専門のカウンセラーが悩みや不安を丁寧に伺い、次にどう行動すればよいか一緒に整理するため。はじめの一歩としても活用してください。

大人のADHDの治療の流れと治療法

ADHDと診断されたら、まず医師と一緒に現在の困りごとや生活の状況に合わせて治療方針を立てていきます。

ADHDの治療は以下のような流れで行われるのが一般的です。

  1. 問診
  2. 心理検査・診断基準の確認
  3. 必要に応じて薬物療法や認知行動療法などの治療

ここでは、大人のADHDの治療の流れと治療法について詳しく紹介します。

問診

初診時には、医師がこれまでの生活習慣や仕事での困難、家族歴などを丁寧に聞き取り、症状の傾向を把握します。

不注意・多動性・衝動性のどの要素が強いかを整理し、ADHD以外の要因(ストレス、うつ、不安など)が関係していないかも確認します。

心理検査・診断基準の確認

検査では、注意力やワーキングメモリ、性格傾向などを評価します。

また、周囲の人からの情報も参考にしながら、日常生活での困りごとを客観的に把握します。

診断には、アメリカ精神医学会が定めたDSM-5などの国際的な基準が用いられます。

不注意・多動性・衝動性の症状が12歳以前からあり、複数の環境(家庭・学校・職場など)で持続的に見られることが判断の要点です。

また、他の精神疾患や身体的要因による症状ではないことも確認されます。

薬物療法

症状の程度や生活への影響に応じて、医師が薬物療法を提案することがあります。

脳内のドーパミンやノルアドレナリンの働きを整える薬を用いることで、集中力の改善や衝動のコントロールが期待できます。

代表的な薬には、メチルフェニデート徐放錠、アトモキセチン、グアンファシンなどがあります。

副作用の有無や体調の変化を確認しながら、医師と相談して治療を進めることが大切です。

認知行動療法

ADHDの治療では、薬だけでなく心理的アプローチも重要です。

認知行動療法(CBT)では、物事のとらえ方や行動のクセに気づき、より良い対処法を身につけていきます。

また、ソーシャルスキルトレーニングやグループプログラムなどを通して、コミュニケーションや生活の工夫を学ぶケースもあります。

ADHDと診断された後の治療は、症状を「完全になくす」ことよりも、自分らしく生活しやすくするための支援を目指しています。

焦らず、自分に合ったペースで医療機関と連携しながら進めていくことが大切です。

大人のADHDの対処法

ADHDは、特性を理解し適切に対処することで、生活のしづらさを軽減することができます。

ここでは、日常で実践できる工夫から、働き方の見直し、医療機関の受診まで、段階的に解説します。

自分の特性を理解する

まずは、自分がどのような場面で困りごとを感じやすいのかを整理しましょう。

ADHDの特性は人によって異なり、不注意が目立つ人もいれば、衝動性や多動性が強く出る人もいます。

得意・不得意を客観的に把握することで、対策の方向性が見えやすくなります。

たとえば「時間管理が苦手」「集中力が続かない」といった自覚がある場合、その原因やパターンをメモしておくとよいでしょう。

具体的な対策を練る

苦手な場面ごとに以下のような具体的な対策を考えるのも効果的です。

  • 忘れ物が多い → 持ち物を決まった場所にまとめる
  • 締切を守れない → スマートフォンのリマインダーを設定する
  • 指示を覚えられない → メモを取り、内容を確認する
  • ケアレスミスが多い → チェックリストで再確認する

このように、困りごとを具体的な行動に落とし込むことで、日常の混乱を減らすことができます。

環境の調整

周囲の環境を整えることも、ADHDの対処には効果的です。

デスク周りを整理して集中しやすい空間をつくる、静かな場所で作業する、タスクを細分化して取り組むなど、自分に合った環境を整えましょう。

職場では、上司や同僚に困りごとを共有し、タスクの優先順位や進行のサポートを受けられる体制をつくるのも一つの方法です。

働き方を見直す

大人のADHDでは、仕事の内容や働き方そのものを見直すことで、無理のないキャリアを築けることがあります。

もし一般雇用の中で負担が大きい場合は、発達障害に配慮した障害者雇用への切り替えを検討するのも選択肢の一つです。

業務量や勤務時間の調整がしやすく、特性に合った働き方を実現しやすくなります。

ADHDの特性を活かせる仕事には、創造性や柔軟な発想を求められる職種が多い傾向があります。

たとえば、アイデアを形にできるクリエイティブ職や、活動的に人と関わる営業・接客業などです。

一方で、時間管理が厳密な仕事や、同じ作業を繰り返す仕事は、集中の維持が難しく負担を感じやすい場合があります。

自分の特性に合った環境を選ぶことが、長く働くうえで大切です。

クリニックを受診する

生活上の工夫だけでは改善が難しい場合は、早めに医療機関へ相談しましょう

精神科や心療内科では、薬物療法や認知行動療法などを組み合わせて症状の軽減を図ります。

病院に行くハードルの高さを感じる方は、オンラインカウンセリングでまずは相談するのもおすすめです。

一人で抱え込まず、専門家の助けを借りながら、自分に合った方法を一緒に探していくことが大切です。

大人のADHDかも、と思ったら早めに相談を

大人のADHDは、適切な診断とサポートがあれば十分に対処できる特性です。

自分を責めるのではなく、特性を理解して生かす視点が大切です。

集中が続かない、仕事や人間関係で悩むなど、思い当たることがあれば、一人で抱え込まずに専門家へ相談してみましょう。

医師監修のオンラインカウンセリング『かもみーる』では、臨床心理士・公認心理師を中心とした有資格者が在籍し、発達障害の相談も対応しています。

ADHDかもしれないと不安に思う方は、お気軽にご相談ください。


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