大人の発達障害かも?日常生活や仕事での困りごとへの対処や支援先を紹介

更新日 2025年12月31日

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発達障害は、脳の機能発達の偏りによって幼少期から生じている、日常生活上や学校での困難さが特徴です。

しかし、本人や親御さんが自覚していないケースも多く、そのまま成長して仕事で違和感を覚え、受診する方もいます。

この記事では、大人の発達障害の種類や日常生活、仕事での困りごと、対処方法、支援先なども紹介します。

自分が発達障害かもと悩んでいる方、周りに発達障害かもしれない方がいてどうするべきか悩んでいる方は、ぜひご覧ください。

大人の発達障害の特徴

発達障害は大きく3つに分けられますが、この3つが複合的に関与しているケースもあります。

また、二次障害としてうつ病を発症しているケースもあり、困りごとの明確な原因が特定できないケースも少なくありません。

ここでは、3つの発達障害の特性を紹介します。

自閉スペクトラム症(ASD)

自閉スペクトラム症は、ASDと呼ばれる発達障害の種類で、以前は自閉症、アスペルガー症候群などと呼ばれていたものを、まとめて診断名がつけられました。

主な特徴は、コミュニケーションや対人関係での特性や、限定された興味やこだわりです。

ASDの方は、場の空気を読むことや、相手の言葉の裏にある気持ちを察するのが苦手な傾向があります。

相手の表情や身振り手振り、声のトーンなどの非言語的な情報から、気持ちを汲み取ることが難しいとされます。

また、特定の活動や対象に強い興味をもって、没頭することも特徴のひとつです。

いつもと同じ道や行動基準を好み、変化を嫌う傾向があります。

職場や友人関係、恋愛などにおいて誤解が生じ、トラブルにつながることも少なくありません。

何度言っても分からない大人は発達障害?考えられる特性と対応法

注意欠如・多動症(ADHD)

注意欠如・多動症は、ADHDとも呼ばれる特性で、多動性、衝動性、不注意が主な特徴です。

特性の現れ方によって、不注意優勢型、多動性・衝動性優勢型、混合型に分類されることがあります。

子ども特有の行動と判断がつきにくく、大人になってからADHDだと診断されることも少なくありません。

多動性が強いと、じっとしていられないなどの身体的な動きとともに、内的多動感といわれる、常に頭の中が思考で埋め尽くされている状態は、落ち着かない原因になることがあります。

不注意は、物事の段取りをつけたり、集中力を維持したりするのが難しく、脳内で注意のコントロールがうまく行われていない状態です。

期日までに約束を守れなかったり、判断を急かしてしまったりすることがあり、人間関係において不便を感じる場面があります。

学習障害(LD)

学習障害は、LDと呼ばれる発達障害の種類で、読み書きや計算が困難だと感じる点が特徴です

3タイプあり、「読み書き障害(ディスレクシア)」「書字障害または書字表出不全(ディスグラフィア)」「算数障害(ディスカルキュリア)」に分けられます。

LDの方は、読み書きや計算がまったくできないわけではありませんが、時間を要したり、答えを出すのが苦手だったりします。

年齢に応じた読み書きが難しい方は、周りからの理解も得られにくく、なぜ自分がわからないのかも不明なまま生きづらさを感じる原因になります。

大人の発達障害の方の仕事や日常生活での困りごと

大人の発達障害を抱えている方は、職場や日常生活で以下のような困りごとを感じることがあります。

自閉スペクトラム症(ASD)

ASDの方が仕事や日常生活で困るのは、以下のような場面です。

状態

起こること

場の空気を読むのが苦手

・暗黙のルールが理解できずトラブルになる

自分が感じていることをうまく伝えられない

・悪意なく人を傷つけてしまうことがある

周りの音や光が過剰だとストレスを感じる

・オフィスの喧騒が苦手で集中できない

自分が疲れていると気づかない

・適度な休憩ができずに体調を崩してしまう

手順通りに進まないと混乱してしまう

・臨機応変な対応ができない

このように、社会で暮らすうえで困りごとが多いですが、一方でルールを守る真面目さや細やかさがあります。

集中力も高いため、ひとつのことをしっかりと成し遂げる力ももっています。

注意欠如・多動症(ADHD)

ADHDの方が仕事や日常生活で困るのは、以下のような場面です。

状態

起こること

整理整頓が苦手

・机の周りを片づけられずミスを発生させてしまう

集中力が続かない

・ケアレスミスが多くなる

忘れ物が多い

・落とし物や遅刻につながる

人の話を割ってしまう

・コミュニケーションが取れないと思われる

スケジュールの管理が苦手

・約束を忘れてしまう

ADHDの方は、周りからだらしないと認識されてしまうこともあり、自分ではどうしようもできない特性に苦しんでいる場合もあります。

一方で、決断力や行動力がある点や、発想力に富んでいる点など、得意なことを伸ばして活躍している方も大勢います。

学習障害(LD)

LDの方が仕事や日常生活で困るのは、以下のような場面です。

状態

起こること

資料や文章を理解することが難しい

・書いてあることが理解できずに仕事や学校で不便を感じる

計算が苦手

・簡単な計算ができないことがあり、周りとの差に悩む

メモがとれない

・聞きながらメモをとるのが苦手なので、後々忘れてしまう

時間の把握が不得意

・時計を読むことが苦手で時間に遅れてしまう

人前で文字を書くのが苦手

・間違えてしまうのではと余計緊張して人前で文字を書けなくなる

LDの方は、その特性によってさまざまな困難と対面することになりますが、自分の特性を理解することが大切です。

メモをゆっくりとる、指でなぞりながら読むなどの工夫で暮らしやすくなる方も多いです。

困りごとへの対処方法

大人になってから発達障害に気づくと、今まで困っていたことは特性が原因だったのかと気が付くことができます。

特性に気が付くことができれば、対処法はいくつかあるため実践してみましょう。

ここでは、困りごとへの対処法を紹介します。

自閉スペクトラム症(ASD)

ASDの方は、コミュニケーションをとるのが苦手とされていますが、仕事ではコミュニケーションをとる特定の人を決めるとスムーズになる場合があります。

また、手順通りに進める作業が得意なので、職種としては工程がはっきりしているものが適しています。

万が一手順変更が生じる場合は、事前に共有してもらうようにする、全体を把握してから取り組むなども対策になるでしょう。

ただし、自分ひとりで対処するのは難しい場合も多いため、周りに協力してもらいながら環境を整えることが大切です。

ASDの特徴とは?子ども・大人それぞれに見られる行動について解説

注意欠如・多動症(ADHD)

ADHDの方は、注意が散漫になることでミスを発生させてしまうことがあります。

そのため、集中する時間と休憩する時間を区切って取り組んだり、作業結果を見直したりして自分が行ったことを振り返るのがおすすめです。

また、整理整頓が苦手な場合は、整理だけをする時間を設け、正しい状態を写真に撮るなどして整理する習慣をつけてみてください。

時間に余裕をもって行動し、忘れ物がないか常にチェックすると安心です。

時間や約束を守る自信がないときは、リマインダーアプリや時間管理アプリなどを活用するのもひとつの手です。

ADHD(注意欠如・多動症)とは?発達障害との関係や特徴、対応法を解説

学習障害(LD)

学習障害は、タイプによって対策が異なります。

読み書きが苦手な場合、資料を読み上げるアプリを使用したり、他の人以上に資料をじっくり読む時間を作ったりすることが推奨されます。

また、メモをとることに時間がかかるのであれば、メモをとる時間を長めに設定し、ゆっくりと書き進めましょう。

計算が苦手な方は、電卓や携帯の計算機能を使用して計算したうえで、他者のダブルチェックをはさむとより安心です。

他にも、アプリを使用して時間を管理したり、読み書きを補助できたりするため、特性に合わせて活用してみてください。

発達障害が原因の二次障害とは

発達障害は病気ではなく特性といわれていますが、発達障害が原因でほかの精神疾患を患ってしまうことがあります。

ここからは、発達障害が原因の二次障害について紹介します。

二次障害の特徴

二次障害は、発達障害の特性によって環境になじめない、業務がうまくこなせないなどのストレスを抱えた結果、精神的な疾患を患うことを指します。

二次障害が現れると、発達障害が理解されづらく精神疾患が原因のメンタルヘルスととらえられることもあります。

そうなると、根本的な対策が取れずに疾患の治療が優先され、発達障害が見逃されてしまうケースも少なくありません。

また、精神疾患の発病だけではなく、発達障害が周りに理解されないことがストレスとなり引き起こされる問題行動も二次障害のひとつです。

二次障害は医学的な専門用語ではありませんが、諸問題の総称として使われています。

発達障害の反抗期は二次障害が原因?特徴や関わり方、解決策などを紹介

二次障害で現れやすい病気

二次障害で現れやすい病気には、以下のようなものがあります。

  • うつ病
  • 適応障害
  • 強迫性障害
  • 不安障害
  • 依存症
  • 心身症

発達障害の方は、周囲との違いに劣等感を覚えたり、上司に注意される回数が多かったりして、苦しい、生きづらいと感じることが多いです。

結果的に大きなストレスを抱え、周囲との不適応が高じて社会生活が困難になるほどの状態になるケースもあります。

また、これらの症状が1つだけ発症する場合もあれば、複数の場合もあります。

発症するかは、発達障害の特性の重さや周囲の理解によって大きく変わるため、生きづらさを感じたまま放置するのは危険です。

発達障害で併発しやすい病気や症状とは?二次障害の治療方法についても解説

発達障害かな?と思ったら支援機関を利用

自分が発達障害かもしれない、特性を理解して対策したいと考える方は、以下のような施設に相談すると良いでしょう。

精神科・心療内科

大人になってから発達障害に気が付いた場合は、精神科か心療内科で診断を受けましょう。

ただし、発達障害に詳しい医師が在籍している医療機関が望ましいため、事前にホームページなどでチェックすることをおすすめします。

自治体によっては、発達障害の診断を行っている医療機関のリストがあったり、相談窓口を公開していたりするため、活用してみてください。

全国の発達障害支援センター

発達障害支援センターは全国に設置されていて、本人とその家族が豊かな地域生活を送れるようにさまざまな相談に対して指導とアドバイスが受けられます。

診断がある、なしにかかわらず利用できるため、発達障害かもしれないという漠然な不安を抱えている状態でも大丈夫です。

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障害者就業・生活支援センター

仕事や生活についての相談がしたい場合は、全国に設置されている障害者就業・生活支援センターを活用してみてください。

健康管理だけではなく、金銭の管理方法や就労に関すること、さまざまな目線から相談可能な施設です。

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地域障害者職業センター

障害者に対する職業リハビリテーションサービスや、事業者に対する障害者の雇用管理の相談、援助などを行っている施設です。

診断を受けたあと、どのような職業に就くべきか迷っているなど、仕事に関する相談ができます。

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オンラインカウンセリング

オンラインカウンセリングは、精神科や心療内科を受診する前に自身の状況や環境、さまざまな困りごとを話し、適切なサービスや医療機関、対処方法などを聞ける点が特徴です。

スマートフォンから簡単に電話でき、カウンセラーと話ができます。

対面で話すのが苦手な方、自分の感情をうまく言葉にできない方でも、心理士や医師が丁寧に対応します。

日常生活での困りごとを誰かに相談する足掛かりにもなるでしょう。

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特性を理解して居心地の悪さを改善しよう

大人になってから発達障害を疑う場合、認めたくない、周りにバレたくないなどさまざまな気持ちが生まれます。

しかし、自分の特性を理解し、パートナーや家族、周囲の人にも理解してもらうと、今まで感じていた違和感や生きづらさが解消に向かう可能性もあります。

まずは、一歩踏み出して、相談することから始めてみませんか?

医師監修のオンライン診療・カウンセリングサービス「かもみーる」は、お悩みに合わせて医師や心理士を選び、いつでもどこでもお悩みを相談できます。

医師や心理士などの有資格者が、ゆっくり話を伺います。

発達障害に悩む方は、どうぞご相談ください。

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