他人との会話がぎこちないと感じたり、集中力が続かなくて悩んだりしたことはありませんか。
そんな生きづらさは、もしかしたら、大人の発達障害が関係しているかもしれません。
かつては、発達障害といえば子どもに該当するイメージがありましたが、近年は大人になってから気づくケースも増えています。
本記事では、大人の発達障害とは何か、原因やタイプ別の特徴、得意なこと、そして困ったときの相談先についてわかりやすく解説します。
大人の発達障害とは

発達障害とは、生まれつきの脳機能の違いによって、思考・感情・行動に特有の傾向がみられる状態のことです。
大人の場合、主に以下のようなタイプが存在します。
- ASD(自閉スペクトラム症)
- ADHD(注意欠如・多動症)
- SLD(限局性学習症・学習障害)
いずれの特性も、発達障害として認識されにくく、周囲から誤解されたり、自分自身でも気づきにくかったりするのが特徴です。
ただ、自分の特性を知ることで、より生きやすくなるためのきっかけにもなります。
早めに発達障害について理解を深め、適切な対応を取れれば、日常生活や仕事におけるストレスを軽減しやすいでしょう。
▶発達障害のある方がつらいと感じる原因は?つらさを和らげる工夫も紹介
現代で大人の発達障害が注目されている理由

大人の発達障害が注目されている理由は複数あります。
まず、理由の一つとして挙げられるのが、社会の変化にともなう生きづらさが表面化してきていることです。
現代では、コミュニケーション能力やマルチタスクが求められる場面が増え、空気を読んだり、曖昧な指示で内容を理解する、といったことが苦手な方ほど強いストレスを感じやすくなっています。
これまで「少し不器用」「ちょっと変わっている」とされてきた方が、実は発達障害の特性を持っていたというケースも少なくありません。
また、SNSやネットを通じて発達障害に関する正しい知識が広まり、自分の特性に気づく大人が増えたことも注目が集まるきっかけとなりました。
「努力しても同じミスを繰り返してしまうのはなぜ?」「人と関わるのがしんどいのは自分だけ?」と感じていた方にとって、実は脳の特性によるものだったという事実は、悩みの軽減にもつながるものです。
大人の発達障害が注目されている今は、誰もが自分らしく働き、暮らしていくための理解と支援が求められている時代だといえるでしょう。
大人の発達障害の原因

近年の研究では、発達障害の主な原因は先天的な脳機能の偏りであり、生まれつきの脳の発達の仕方や情報処理の違いによって起こると考えられています。
また、遺伝的な要因も指摘されていて、家族内で発達障害の傾向が見られるケースもあります。
とはいえ、発達障害の発症には環境的な影響も関わる可能性もあるため、必ずしも原因が一つとは断定できないのが現状です。
しかし、発達障害は本人の努力不足や育て方の問題ではありません。
大人の発達障害において、大切なのは「自分のせいではない」と理解することです。
脳の特性によるものが発達障害として表れているだけであり、本人の能力を否定するものではありません。
大人の発達障害に該当する方であっても、自分の特性に合った支援を受け、環境の整備ができれば、生きづらさを軽減した社会生活を送ることは可能です。
大人の発達障害の種類

発達障害には複数のタイプがあり、それぞれ異なる特性や得意分野があります。
ここでは代表的な3つのタイプである、ADHDやASD、SLDについて、大人によく見られる特徴と活かせる力を紹介します。
ADHD
まずは、ADHDの特性及び、得意なことについて解説します。
ADHD特有の症状や強みを知るためにも、参考にしてみてください。
主な特性
ADHDのある大人は、注意が続かない点や衝動的な行動をとる点、落ち着きがない点、などの特徴が見られます。
仕事でのミスや遅刻、忘れ物が多く、「だらしない」「要領が悪い」と誤解されがちです。
また、思いついたことをすぐに行動に移してしまうため、計画性に欠けていると思われる場合もあります。
感情面のコントロールも苦手な方が多く、イライラや不安を抱えやすい傾向も見られるのが特徴です。
得意なこと
ADHDの方は、ひらめき力や行動力に優れている傾向があります。
興味のある分野には高い集中力を発揮でき、一つの物事に夢中になれるといった特性もあります。
また、型にはまらないアイデアや柔軟な発想も得意であるため、ルーティンに縛られない自由な発想を活かせる職場や、自主性が求められる環境で力を発揮しやすいタイプです。
ASD
大人の発達障害の一つとして、ASDが存在します。
他のタイプにはない特性や得意領域があるため、以下でチェックしてみてください。
主な特性
ASDを抱える大人の特性として挙げられるのが、対人関係への苦手意識が強いことや、こだわりが強いことです。
雑談や空気を読むことが難しく、相手の気持ちや場の雰囲気を読み取るのに苦労するケースがあります。
マイルールへのこだわりも強いため、急な予定変更に抵抗を感じるケースも少なくありません。
また、ASDの方の中には感覚が過敏なケースもあり、音や光、においなどを過剰に受け取ってしまい、日常生活で疲れやすいと感じる場合もあります。
得意なこと
ASDの方は観察力や分析力に優れ、物事を論理的に考えるのが得意な傾向があります。
一度決めた作業を丁寧にやり遂げるための集中力を持つだけでなく、ルールや手順を正確に守る几帳面さが強みといえます。
また、興味のある分野に対しては深い知識を追求し続けるため、専門性の高い領域でも能力を発揮しやすいのが特徴です。
SLD
特定の分野で苦手なことがあるのがSLDの特徴です。
具体的な特性や得意な領域について見ていきましょう。
主な特性
SLDは、知的機能の遅れはないものの、文章を読むこと、文字を書くこと、計算すること、などを苦手とする特性があります。
特定の学習領域を苦手とする障害であり、「メールや書類の確認・作成に時間がかかる」「大人なのに漢字が覚えられない」「簡単な計算なのにミスしてしまう」といった悩みを抱える方が少なくありません。
得意なこと
SLDの方は言語・計算の領域以外の能力に長けている傾向が見られます。
例えば、他人との会話やプレゼンテーションが得意な方も多く、対面でのコミュニケーション力を活かせる仕事で能力を発揮することも可能です。
また、SLDを抱えている方は、図や写真から物事を把握する力、空間認識力、創造性などに優れていることもあります。
イメージ図でより深く理解したり、自分で視覚的に表現して説明したりする場面で活躍できる場合が多いです。
▶発達障害で併発しやすい病気や症状とは?二次障害の治療方法についても解説
大人の発達障害で知っておくべき二次障害について

大人の発達障害において、注意したいのが二次障害の存在です。
発達障害の特性に伴うストレスや不安が、二次障害として表れ、日常生活や社会生活にさまざまな問題を引き起こすことがあります。
ここからは、二次障害の特徴や具体的な症状についてチェックしていきましょう。
二次障害の特徴
二次障害とは、発達障害のある方が環境に適応できなかったり、周囲との摩擦が生じたりして、発症してしまう心身の不調です。
「職場に馴染めない」「任された業務をきちんと進められない」などでストレスを感じ、体調不良や意欲の低下に陥ってしまうことがあります。
結果的に、遅刻や欠勤、ミスの増加、生産性の低下など、さまざまな問題が生じてしまうのです。
二次障害が見られるようになると、本人や周囲はメンタルヘルスの不調を疑いやすく、発達障害がより気がつきにくくなるため注意が必要です。
二次障害の症状
二次障害としてよく見られるのが、精神的・身体的な不調です。
具体的には以下のような症状が見られることがあります。
- 気分の落ち込みが続く/うつっぽい
- 物事に対する意欲が出ない
- 人と関わるなどの特定の場面が怖くなる
- 自傷行為をする
- 自分を責める思考が止まらない
- 強いイライラや焦燥感を覚える
- 頭痛や吐き気などが生じる
- 食欲が低下する
上記のような症状が現れた場合は、発達障害の診断がまだであっても、まずは心療内科や精神科で相談してみてください。
二次障害を放置してしまうと、社会不安症を招いたり、パニック障害を発症したりする恐れがあります。
心身の不調に気が付いたときには、早めのケアを目指していきましょう。
▶自閉症とADHD(注意欠如多動症)の違いとは?診断基準や併存について解説
大人の発達障害に関する主な相談先

「発達障害かもしれない」と感じても、最初にどこに相談すればよいのかわからず、ひとりで悩み続けてしまう方は少なくありません。
しかし、自分の状況に合う相談先に頼ることで、必要な支援を受けられるほか、生活において工夫が必要な部分などが見えてきます。
以下では、大人の発達障害に関する主な相談先として、利用しやすい3つの相談先をご紹介します。
産業医
発達障害が疑われる場合、会社に勤めている方であれば、社内の産業医に相談する選択肢があります。
産業医は職場の健康管理を担当する医師であり、身体面だけでなくメンタルヘルスや働き方に関する相談も可能です。
「仕事のミスが多い」「人間関係がつらい」「集中できず困っている」といった悩みも、発達障害が関係している可能性があるとして、きちんと相談に応じてもらえます。
また、産業医は必要に応じて精神科や心療内科への紹介、本人に代わって上司への配慮を求めるよう助言することも行ってくれます。
なお、相談内容のプライバシーは守られるため、「職場にバレるのが不安」と感じている方でも、まずは安心して相談しやすいでしょう。
医療機関の精神科・心療内科
大人の発達障害か否かを診断するためには、医療機関の受診が必要です。
該当する診療科目は精神科や心療内科が主であるものの、医療機関によっては発達外来を設置しているところもあります。
医療機関を受診することで、問診や心理検査、発達障害の診断を行ったうえで、一人ひとりに合わせた薬物療法や認知行動療法などの治療を提案してくれます。
発達障害は自己判断が難しいだけでなく、うつ病や不安障害などの二次障害を併発している場合もあるため、悩んだときには専門の医師に相談することが大切です。
なお、初診の際には、自分の状況をできる範囲で整理しておきましょう。
「いつ頃から困っていたか」「どんな場面で問題が起きやすいか」「子ども時代はどのような様子であったか」などをきちんと説明できると、診察がスムーズに進みます。
最近では、オンライン診療・カウンセリングに対応しているクリニックもあります。
忙しくて医療機関の受診が難しい方でも、自分の都合に合わせて相談しやすいでしょう。
発達障害者支援センター
発達障害者支援センターは、各都道府県に設置されている公的な相談窓口です。
子どもから大人まで年齢を問わずに相談できる支援窓口であり、発達障害に関するさまざまな相談受付・支援を行っています。
発達障害者支援センターでは、以下のような支援が受けられます。
- 専門の相談員によるヒアリング
- 福祉サービスの紹介
- 職場での配慮に関するアドバイス
- 家族への支援・情報提供
- 医療機関や就労支援機関との連携
発達障害者支援センターの利用は無料で、本人に代わって家族や支援者が相談することも可能です。
「まずは誰かに話を聞いてもらいたい」といった方に向いている相談先といえます。
大人の発達障害に悩んだら医療機関に相談しよう
大人の発達障害は、決して珍しいものではありません。
それでも、社会の中ではうまくできないことばかりが目立ち、自分を責めたり、周囲と比べて生きづらさを感じたりする方もいるのではないでしょうか。
そんなときこそ、「自分はどういう特性を持っているのか」を知ることが重要です。
適切な対策や支援先を知り、日常のストレスを大きく減らすことにつながるでしょう。
『かもみーる心のクリニック 仙台院』では、大人の発達障害に関するカウンセリングを提供しています。
「発達障害か否かはわからないけど、自分の生きづらさを相談したい」といった方からの相談もあり、初めての相談先としても選ばれています。
「大人の発達障害かも」と悩んでいる方は、ぜひ一度ご気軽にご相談ください。
