「自分は神経質すぎるのでは?」と悩む人は少なくありません。
几帳面で慎重な性格は長所でもありますが、心配や不安が強くなりすぎると、日常生活に支障が出ることがあります。
こうした状態が続く場合、不安障害(『社会不安障害』や『強迫性障害』など)の病気が隠れていることもあるため注意が必要です。
この記事では、神経質な人がなりやすい病気について解説します。
原因や治療方法などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
神経質な人は不安障害(不安神経症)かも

神経質な性格の人は、細かいことに注意が行き届く反面、不安を感じやすい傾向があります。
慎重なのは悪いことではありませんが、日常生活に支障をきたすほど不安が続く場合は『社会不安障害』や『強迫性障害』といった不安障害(不安神経症)の可能性もあります。
不安障害は、不安や恐怖が続き、日常生活に支障をきたす病気です。
例えば、「特に何も起きていないのに心配で落ち着かない」「常に最悪のことを考えてしまう」といった症状が特徴です。
強いストレスや過労、性格の影響などがきっかけで発症すると考えられています。
不安が頭から離れず眠れなくなったり、動悸や息苦しさといった身体症状が出たりすることもあります。
強迫性障害は「自分でも必要ないと分かっているのに、不安を打ち消すために同じ行動を繰り返してしまう」病気です。
代表的な例として、「ドアの鍵を何度も確認する」「手を何度も洗わないと気が済まない」といった行動が挙げられます。
これは強い不安やこだわりが原因で、自分の意志ではやめられないのが特徴です。
これらの症状は性格の問題ではなく、治療によって改善が期待できます。
神経質で悩んでいるときは医療機関を受診するべき?

不安や緊張が続いてつらいときは、医療機関の受診を検討してみましょう。
「ただの心配性だから」と我慢してしまう人も多いですが、日常生活に支障が出ている場合は心のバランスが崩れているサインかもしれません。
早めに相談することで、症状の悪化を防ぐことができます。
気分の落ち込みが続いたり、やる気が出ずに仕事や家事が手につかなくなったりする場合は、精神科や心療内科を受診しましょう。
また、「何度確認しても不安が消えない」「心配で眠れない」といった症状も、不安障害の可能性があります。
放っておくと生活に支障をきたすようになることもあるため、早めに受診することをおすすめします。
不安障害の種類

不安障害とは、日常生活に支障が出るほど強い不安や恐怖を感じてしまう状態のことです。
誰でも緊張や不安を感じることはありますが、その度合いが強すぎたり、長期間続いたりすると心と体にさまざまな不調があらわれます。
不安障害にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴や症状が異なります。
- 社会不安障害
- 全般性不安障害
- 強迫性障害
- パニック障害
ここでは上記4つの不安障害の種類について解説しましょう。
社会不安障害
社会不安障害は、人前で話すことや注目される場面に強い恐怖や緊張を感じる病気です。
例えば会議で発言するときや初対面の人と話すときに、極端に顔が赤くなる、汗をかく、声が震えるなどの症状が出ることがあります。
「恥をかいたらどうしよう」「失敗したら嫌われるかも」という不安が強く、外出や人との関わりを避けてしまうこともあります。
本人は「気にしすぎ」と自覚していても、不安を抑えられず苦しんでしまうのが特徴です。
放っておくと人との関わりを避けて孤立してしまうこともあるため、早めに専門家に相談することが大切です。
全般性不安障害
全般性不安障害は、特定の出来事ではなく、あらゆることに対して過剰な不安や心配が続く病気です。
「家族に何かあったらどうしよう」「仕事でミスをするかもしれない」など、明確な原因がなくても不安を感じ、その状態が半年以上続くのが特徴です。
また不安だけでなく、落ち着かない、集中できない、疲れやすい、眠れないといった症状が現れることもあります。
原因は明らかになっていませんが、遺伝的要因やストレスがきっかけで発症する場合があります。
強迫性障害
強迫性障害は、自分でも「やりすぎだ」と分かっていても、不安を和らげるために同じ行動を繰り返してしまう病気です。
代表的な例として、「何度も手を洗う」「戸締まりを何度も確認する」「決まった順番で物を並べないと落ち着かない」などがあります。
頭の中に「汚れているのでは」「鍵を閉め忘れたかも」といった考えが浮かび、行動せずにはいられなくなるのが特徴です。
日常生活に支障をきたすことも多いですが、治療によって改善が期待できます。
パニック障害
パニック障害は、突然理由もなく激しい不安に襲われ、動悸や息苦しさ、めまい、冷や汗などの身体症状が出る病気です。
このような発作を『パニック発作』と呼び、10分以内にピークに達します。
発作時には「このまま死んでしまうかもしれない」と感じるほどの恐怖を覚えることもあります。
また、「また発作が起きたらどうしよう」と予期不安に悩まされ、外出を控えたり、人混みや電車などを避けたりするようになる人も少なくありません。
パニック障害は適切な治療を受けることで改善が見込めるため、早めに受診することが大切です。
▶パニック障害になりやすい人の特徴│性格・年代・環境や遺伝など徹底解説!セルフチェックも
不安障害を引き起こす原因

不安障害を引き起こす原因として、主に以下の5つが挙げられます。
- 遺伝的要因
- 生まれ持った気質や性格
- ストレスやトラウマ
- 身体状態
- 薬やアルコールなど
ここでは上記5つの原因についてそれぞれ解説します。
遺伝的要因
家族に不安障害を経験した人がいる場合、発症しやすくなる傾向があるといわれています。
九州大学の研究では、不安症の遺伝率は30〜40%と報告されており、遺伝の影響がある程度関係していると考えられているのです。
(参考:社交不安症者の人的資源に着目した臨床心理学的支援に関する文献研究)
また、遺伝子の働きにより、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れやすい体質を受け継ぐこともあります。
これらの物質は心の安定やストレスへの耐性に深く関わっているため、バランスが崩れると不安を感じやすくなります。
生まれ持った気質や性格
不安障害は、もともとの性格や気質も影響するといわれています。
特に几帳面で責任感が強い、他人の評価を気にしやすい、完璧主義などの傾向がある人は、ストレスを抱えやすく不安を感じやすい傾向があるのです。
このような性格の人は自分に厳しく、失敗を恐れるあまり心のバランスを崩しやすい傾向があります。
ストレスが重なると心身に負担がかかり、不安障害を引き起こすきっかけになることがあるため注意が必要です。
ストレスやトラウマ
不安障害の発症には、強いストレスやトラウマも深く関係しています。
具体的な事例は以下の通りです。
- 家族や友人との死別
- 事故や災害
- いじめ
- 虐待
こうした体験は心の傷として残り、似たような状況に直面すると当時の恐怖を思い出し、不安や緊張が強く出てしまうことがあります。
また、明確な出来事がなくても、日常的なストレスの積み重ねが引き金になる場合もあるため注意が必要です。
仕事のプレッシャーや人間関係の不安、生活環境の変化などが続くと、心のバランスを保つことが難しくなります。
身体状態
身体の病気や不調が不安を強める原因になることもあります。
具体的には以下のようなものです。
- 心臓病(不整脈や心不全など)
- 甲状腺の異常
- 副腎の機能異常
- 呼吸器の病気(喘息・COPDなど)
また、発熱やホルモンバランスの変化など、一時的な体調不良が引き金となる場合もあります。
不安が強いときは、精神面だけでなく、身体の健康状態も一緒に確認することが大切です。
薬やアルコールなど
一部の薬やアルコール、カフェインなども、不安障害の引き金になることがあります。
例えばアルコールを頻繁に飲んでいるときは一時的に気分が落ち着きますが、依存状態になると逆に不安感が強まります。
また、鎮静薬や睡眠薬を急にやめると、反動で不安や不眠が悪化することがあるため注意が必要です。
薬や嗜好品が原因となっている場合は、自己判断で中止せず、必ず医師に相談して調整しましょう。
不安障害の治療方法

不安障害の主な治療方法として、以下の3つが挙げられます。
- 薬物療法
- 精神療法
- TMS療法
ここでは上記3つの治療方法についてそれぞれ解説します。
薬物療法
薬物療法は、不安や緊張、気分の落ち込みを和らげるために行われます。
主に使われるのは、抗うつ薬のSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)です。SSRIは脳内のセロトニンを増やして、心を落ち着ける作用があります。
効果が出るまで2〜3週間ほどかかりますが、依存性が少なく、長期的な治療に向いています。
一方、急な不安やパニックが起きたときには、効果が早く現れる抗不安薬を一時的に使うこともあるでしょう。
ただし長期間使用すると依存のリスクがあるため、医師の指示を守って服用することが大切です。
精神療法
精神療法では、主に認知行動療法(CBT)が行われます。
認知行動療法とは、自分の考え方の癖や行動のパターンを見直すことで不安を軽減していく治療法です。
例えば「失敗したら終わりだ」「みんなに嫌われる」といった極端な思考を、現実的で柔軟な考え方に変えていくものです。
また、不安を感じる場面に少しずつ慣れていく練習(曝露療法)を行う場合もあります。
初めは不安が強くても、繰り返すうちに「大丈夫だった」と感じられるようになり、不安への耐性が高まります。
TMS療法
TMS療法(経頭蓋磁気刺激療法)は、近年注目されている治療法の一つです。
専用の医療機器を使い、磁気を利用して脳の神経細胞に刺激を与えることで、脳の働きを整えます。
薬が合わない人や副作用が心配な人にも選ばれることが多い治療法です。
神経質になる病気に関するよくある質問

神経質になる病気に関するよくある質問をまとめました。
- 不安障害になりやすいのはどんな人?
- 神経症の人と神経質な人の違いは?
- 不安障害の人が普段の生活で気を付けるべきことは?
不安障害になりやすいのはどんな人?
不安障害になりやすいのは、まじめで責任感が強く、心配性な人といわれています。
自分の言動を常に気にしたり、他人にどう思われているかを考えすぎたりする傾向がある人です。
また、不安障害の発症率は男性よりも女性の方が高いという報告もあります。
(参考:社交不安症と脳の性差の進化生物学)
ただし、不安障害は誰にでも起こり得る病気です。
真面目に努力している人ほど無意識にストレスをため込みやすいため、気づかないうちに症状が出てしまうことがあります。
小さな不調でも「自分の性格のせい」と決めつけず、早めに専門家へ相談することが大切です。
神経症の人と神経質な人の違いは?
神経質な人とは、もともとの性格傾向を指し、几帳面で慎重、物事を深く考えるタイプの人です。
生活に支障がない範囲であれば、これは個性の一つといえるでしょう。
一方の不安障害(不安神経症)は、心配や恐怖の感情が強すぎて、仕事や学校、日常生活に支障をきたしてしまう状態をいいます。
不安が1か月以上持続し社会生活に影響が出ている場合には、神経症と判断されます。
神経質な性格が悪いわけではありませんが、ストレスや過労などが重なると、神経症へと進行することがあるため注意が必要です。
「最近眠れない」「不安が止まらない」「外出が怖い」といった症状が続く場合は、無理をせず心療内科や精神科の受診を検討しましょう。
不安障害の人が普段の生活で気を付けるべきことは?
不安障害を抱える人は、日常生活の中で心と体を落ち着かせる習慣を取り入れることが大切です。
具体的な方法としては以下が挙げられます。
- 腹式呼吸を行う
- 規則正しい生活を心がける
- 適度に運動する
- 筋肉の緊張を緩めてリラックスする
- カフェインやアルコールの摂取を控える
症状が強い場合は、我慢せず医療機関で相談しましょう。
神経症の疑いがある場合は早めに医療機関に相談を
神経質な考え方が悪化すると、不安障害(不安神経症)を発症する場合があります。
神経質な性格が原因で不安や緊張が強まり、生活に支障を感じるようになった場合は、心療内科や精神科への相談を検討しましょう。
不安障害は性格の問題ではなく、治療によって改善できる病気です。
薬物療法や精神療法などの治療を受けることで、不安や強迫的な考えが軽くなり、少しずつ心が安定していきます。
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不安が強くて悩んでいる方や病院に足を運ぶのが億劫な方などは、ぜひ利用を検討してみてください。
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