自律神経失調症とうつ病の違いは?症状・原因・診断基準と治療法・予防法も解説

更新日 2026年01月01日

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「なんとなく身体がだるい」「気分が落ち込みやすい」

そんな不調が続くと、自律神経失調症やうつ病かも……と不安になりますよね。

自律神経失調症とうつ病はどちらも心と身体に影響を及ぼすため、症状が似ていて見分けにくいことがあります。

この記事では、自律神経失調症とうつ病の違いを、症状・原因・診断基準・治療法の観点からわかりやすく解説します。

心と身体の不調を感じた際に、自宅でできる対処法も紹介していますので、自律神経失調症やうつ病を疑っている方は参考にしてください。

自律神経失調症とは?

自律神経失調症とは、自律神経のバランスが崩れることで、心身にさまざまな不調が現れる状態を指します。

正式な病名ではなく、検査で明確な異常が見つからないにもかかわらず、体調不良が続くときに用いられる概念です。

自律神経は、脳の視床下部でコントロールされる「交感神経」と「副交感神経」から成り立っています。

交感神経と副交感神経はそれぞれ以下のような働きを持ちます。

  • 交感神経……活動時や緊張しているときに働き、心拍数や血圧を上げて身体を“戦闘モード”に
  • 副交感神経……休息時に優位となり、心拍数を下げて胃腸の働きを促すなど、身体を“回復モード”に

この二つの神経がバランスよく切り替わることで、人は日常生活を快適に過ごすことができます。

しかし、ストレスや生活リズムの乱れ、ホルモンバランスの変化などが続くと、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなり、体調のコントロールが難しくなってしまいます。

その結果、動悸・息苦しさ・頭痛・めまい・倦怠感・不眠・食欲不振など、原因が特定しにくい多様な症状が現れます。

症状の出方には個人差が大きく、検査で「異常なし」とされることも少なくありません。

うつ病とは?

うつ病は気分障害に分類され、憂うつな気分や無気力な状態が長く続き、心や身体の働きに影響を及ぼす精神疾患です。

悲しみや落ち込みは誰にでも起こる自然な感情ですが、通常は時間の経過や環境の変化によって少しずつ回復していきます。

しかし、うつ病では気分の低下が何週間も続き、原因が解消しても回復しないことが特徴です。

うつ病は強いストレスや過労、環境の変化などにより脳内の神経伝達物質の働きが乱れることで、感情や思考のバランスが崩れ、ものの見方が否定的になりやすくなります。

うつ病を放置すると症状が慢性化することもあるため、「気分が落ち込む日が続く」「何をしても楽しくない」と感じるときは、早めに心療内科や精神科などの専門医に相談しましょう。

病院に行くのは勇気がいると感じる方は、オンラインカウンセリングなどを利用するのもおすすめです。

うつ病はどんな病気?特徴や重さごとの症状、なりやすい人の特性を紹介

うつ病とは?症状・原因・治療法と自己診断チェックリスト

【症状】自律神経失調症とうつ病の違い

自律神経失調症とうつ病は、どちらも「なんとなくだるい」「気分が落ち込む」といった共通点が多く、一見すると区別がつきにくい病気です。

しかし、それぞれには特徴的な症状があり、違いを理解することが正しい対応への第一歩になります。

ここでは、それぞれの症状の違いを紹介し、違いについて解説します。

自律神経失調症の症状

自律神経失調症では、以下のような症状が現れることがあります。

分類

主な症状

身体症状

だるさ、耳鳴り、めまい、手足のしびれ・冷え、ほてり、動悸、食欲低下、下痢・便秘、不眠、頭痛、肩こり など

精神症状

イライラ、不安、焦り、集中力の低下、落ち込み、情緒不安定 など

自律神経失調症では、身体のさまざまな部位に不調が現れやすいのが特徴です。

特に、耳鳴りやめまい、手足の冷えやしびれ、動悸などの身体的な違和感が目立ちます。

精神的にも不安やイライラを感じますが、うつ病のように強い絶望感を伴うことは比較的少ない傾向があります。

うつ病の症状

うつ病の主な症状は以下のとおりです。

分類

主な症状

身体症状

不眠または睡眠過多、食欲低下または増加、体重減少または増加、疲労感、頭痛 など

精神症状

イライラ、不安、焦り、興味や喜びの喪失、抑うつ感、意欲の低下、集中力の低下、希死念慮(死について考えてしまう)など

うつ病では、身体的な不調が起こることもありますが、「気分の落ち込み」や「何をしても楽しいと感じられない」などの精神症状が中心になります。

また、心のエネルギーが著しく低下することで、日常生活に支障をきたすほどの意欲低下や疲労感が続くのが特徴です。

自律神経失調症とうつ病の症状の違い

自律神経失調症とうつ病の症状の違いは、以下のようなものが挙げられます。

項目

自律神経失調症

うつ病

主な特徴

自律神経の乱れによる身体の不調が中心

気分・意欲の低下など精神面の変化が中心

身体症状

耳鳴り、めまい、手足の冷え・しびれ、動悸、ほてり

睡眠や食欲の変化、体重変化、倦怠感

精神症状

不安・イライラ・焦りなど

強い抑うつ感、無力感、絶望感、希死念慮など

自律神経失調症は、身体がつらいのに検査では異常がないと感じるケースが多く、一方でうつ病は、気持ちの落ち込みや生きる気力の低下といった精神面の変化が目立ちます

ただし、うつ病の一部として自律神経の乱れが起こり、同じような身体症状が出ることもあるため、自己判断は禁物です。

症状が長く続く場合や、生活に支障を感じるほどつらいときは、早めに心療内科や精神科を受診しましょう。

【原因】自律神経失調症とうつ病の違い

自律神経失調症とうつ病は、いずれも精神的ストレスが引き金となることがありますが、体の中で起きている変化は異なります。

どちらも心身の不調を引き起こす点では似ていますが、自律神経が乱れるのか、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れるのかという違いがあります。

自律神経失調症を引き起こす原因

自律神経失調症は、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることによって生じます。

自律神経のバランスを乱す主な要因には、次のようなものがあります

  • 精神的ストレス(職場・家庭・人間関係など)
  • 不規則な生活習慣(睡眠不足、夜更かし、食生活の乱れなど)
  • 長時間労働や過労
  • ホルモンバランスの変化(更年期や思春期など)
  • 季節や気圧の変動などの環境要因

これらの原因が自律神経への負担となり、身体の調整機能が乱れるきっかけになります。

また、季節の変わり目に体調を崩しやすい人は、こうした環境的な刺激により自律神経が過敏に反応している可能性があります。

うつ病を引き起こす原因

うつ病は、脳内の神経伝達物質(セロトニン・ノルアドレナリン・ドーパミンなど)の働きが低下することで発症すると考えられています。

これらの物質は、感情や意欲をコントロールする役割を担っており、減少すると気分の落ち込みや意欲の低下が現れます。

うつ病の発症には、さまざまな要因が複雑に関係しています。

  • 精神的ストレスや過労
  • 失恋・転職・喪失体験などの生活環境の変化
  • 対人関係のトラブルやプレッシャー
  • 睡眠不足などによる慢性的な疲労
  • 遺伝的な影響(家族にうつ病の既往がある場合)

これらの要因が重なり、脳内の神経伝達のバランスが崩れることでうつ病が発症すると考えられます。

また、ストレスに対する耐性や性格傾向(まじめ・責任感が強いなど)も影響すると言われています。

自律神経失調症とうつ病の原因の違い

自律神経失調症とうつ病の違いは、どこに不調の中心があるかにあります。

自律神経失調症は身体の調整機能(自律神経)の乱れが主因であり、うつ病は脳の働き(神経伝達物質)の異常が関係しています。

どちらもストレスが関与しますが、発症メカニズムが異なるため、適切な治療やケアの方法も異なります。

不調が長く続く場合は、自己判断せず医療機関に相談することが大切です。

【診断基準】自律神経失調症とうつ病の違い

自律神経失調症とうつ病は、原因だけでなく診断の方法にも大きな違いがあります。

自律神経失調症には明確な診断基準や専用の検査がなく、血液検査や画像検査などで他の病気が否定されたうえで、症状や経過から総合的に判断されます。

一方、うつ病は医学的に定義された精神疾患であり、WHOのICD-10やDSM-5といった国際的な診断基準に基づいて診断されます。

抑うつ気分や興味の喪失、睡眠や食欲の変化などが一定期間続き、社会生活に支障をきたす場合に、精神科医がこれらの基準をもとに診断します。

うつ病の診断基準については以下の記事に詳しく掲載されていますので、参考にしてください。

うつ病の診断基準とは?軽症・中等症・重症の分類や症状について解説

自律神経失調症やうつ病と間違われやすい病気

自律神経失調症とうつ病は、どちらも「疲れやすい」「気分が落ち込む」「動悸やめまいがする」など、心身にさまざまな不調が現れるため、区別が難しいことがあります。

さらに、自律神経失調症とうつ病を併発しているケースも少なくありません

ストレスなどがきっかけとなり、自律神経の乱れが長引くうちに、気分の落ち込みや意欲の低下といったうつ病の症状が出てくることがあります。

逆に、うつ病の経過中に自律神経のバランスが崩れ、体調不良が強く出ることもあります。

このように、自律神経とうつ病の関係は非常に深く、慎重な診断が必要です。

また、自律神経の乱れは、以下のような疾患でも起こることがあります。

  • パーキンソン病
  • 多系統萎縮症
  • 不安症
  • パニック障害
  • 適応障害

専門医による丁寧な診察のもとで、他の病気との区別を行うことが大切です。 

うつ病は双極性障害(躁うつ病)との鑑別も重要です。 

双極性障害では、うつ状態に加えて気分が高揚する躁状態や軽躁状態が見られ、治療方針が異なります。

このように、自律神経失調症やうつ病には、似た症状を引き起こす疾患があるため、心身の不調が長く続く場合は、心療内科や精神科で専門的な診察を受けることが大切です。

自律神経失調症とうつ病の治療法 

自律神経失調症とうつ病はいずれもストレスや生活習慣の影響を受けますが、治療の目的と方法には違いがあります。

自律神経失調症の治療では、自律神経のバランスを整えることが中心となり、生活習慣の改善や十分な休養、ストレスマネジメントが基本です。

必要に応じて、自律神経調整薬や抗不安薬が処方され、心理カウンセリングを併用する場合もあります。

一方、うつ病の治療では、心身を休める療養を基本に、抗うつ薬による薬物療法や認知行動療法(CBT)が行われます。

また、近年は、うつ病の治療に通電療法が用いられるケースもあります。

電気けいれん療法(ECT)や経頭蓋磁気刺激治療(TMS)といった脳刺激療法は、薬物療法で効果が得にくい方や薬の副作用が出やすい場合に検討されることがあります。

うつ病かも……何科を受診すればいいの?初めての病院選びと治療の流れをわかりやすく解説

自律神経失調症とうつ病の予防法 

自律神経失調症とうつ病は、どちらも日常生活の乱れやストレスがきっかけで発症することがあります。

日頃から心と身体のバランスを整えることで、これらの不調を未然に防ぐことができます。ここでは、共通して有効な予防法を紹介します。

十分な睡眠をとる

心身の回復に欠かせないのが質の良い睡眠です。

毎日ほぼ同じ時間に寝起きすることで体内時計が整い、自律神経のバランスも安定します。

寝る前のスマートフォン使用を控え、静かで落ち着いた環境を整えることが大切です。

適度な運動をする

ウォーキングやストレッチなどの軽い運動は、ストレスを和らげ、脳内のセロトニンを増やす効果があります。

日中の明るい時間帯に身体を動かすことで、自律神経の働きが整いやすくなります。

栄養バランスのとれた食事を摂取する

偏食をせず、栄養バランスのとれた食事を心がけることで、心身の回復につながります。

ビタミンB群やオメガ3脂肪酸など、神経の働きを助ける栄養素を意識して摂りましょう。

加工食品やカフェイン、アルコールの摂りすぎには注意が必要です。

ストレスをためすぎない環境を作る

ストレスは自律神経や心の不調を引き起こす大きな原因です。

タスクを詰め込みすぎず、無理のないスケジュールを心がけましょう。

職場や家庭での負担が大きい場合は、早めに周囲に相談することも大切です。

リフレッシュできる趣味を見つける

自分の好きなことに打ち込む時間は、心のリセットに効果的です。

読書や音楽、自然散策など、気分を切り替えられる習慣を持ちましょう。

医師やカウンセラーに相談する

気分の落ち込みや体調不良が続くときは、早めに医師やカウンセラーに相談しましょう。

専門家のサポートを受けることで、症状の悪化を防ぎ、より適切な対応ができます。

自律神経失調症やうつ病で心や身体がつらい時は、以下の記事も参考にしてください。

うつ病でつらい・苦しいときの過ごし方や対処法│原因や段階別の症状も解説

心を落ち着かせる方法|そわそわする不安の原因とすぐできる対処法

自律神経失調症やうつ病の症状に悩んだら「かもみーる」に相談を

自律神経失調症とうつ病は、どちらもストレスや生活リズムの乱れが関係しますが、原因や治療のアプローチは異なります。

心と身体のどちらの不調が中心かを見極めるには、専門家のサポートが大切です。

ひとりで抱え込まず、心身の状態を整理したいときは、『かもみーる』のオンライン診療・カウンセリングでご相談ください。

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心や身体がつらいときは、抱え込まずに専門家に頼ってみてください。

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