投稿日 2026年07月14日
「もう食べたくないのに、気づいたら大量に食べてしまう」「一度食べ始めると、自分でも止められない」
そんな自分を責めて、誰にも言えずに苦しんでいませんか。
過食が止まらないのは、意志が弱いからでも、あなたの性格のせいでもありません。
過食症は心と体の両方が関わる病気であり、適切な治療やサポートによって回復に向かうことが期待できる状態です。
この記事では、過食症とはどのような病気か、受診の目安や何科に相談すればよいか、そして認知行動療法をはじめとする治療法や、自分でできる対処法について、公的機関の情報をもとに解説します。
過食症(むちゃ食い)とは?やめたいのに止まらない理由

過食症は、自分ではコントロールできないほどの量を食べてしまう状態が繰り返される病気です。
まずは、過食がどのような状態を指すのか、そしてなぜ止められなくなるのかを整理していきましょう。
過食(むちゃ食い)とはどのような状態か
過食(むちゃ食い)とは、短時間のうちに、多くの人が食べる量よりも明らかに大量の食べ物を食べ、その間「食べることを止められない」という感覚をともなう状態を指します。
単なる「食べ過ぎ」や「大食い」と異なり、過食には自分で食べる量や食べるスピードをコントロールできないという特徴があります。
例えば、お腹が空いていないのに食べ続けてしまう、味わう余裕もなく一気に詰め込んでしまう、食べ終わったあとに強い罪悪感や自己嫌悪におそわれる、といった状態が挙げられます。
厚生労働省の情報サイトでも、摂食障害では「短時間に大量に食べる」「食べ始めるとやめられない」といった状態がみられると説明されています。
「やめたいのに止まらない」のは意志の弱さではない
「やめたいのに止まらない」のは、意志の弱さではなく、過食が心のつらさと深く結びついているためです。
ストレスや不安、気分の落ち込みなどをやわらげようとして、無意識のうちに食べることで心のバランスを取ろうとしている場合があります。
そのため、「食べてしまう自分が悪い」と自分を責めるほど、かえってストレスが強まり、過食を繰り返す悪循環に陥りやすくなります。
過食の背景に、気分の落ち込みやうつ状態が隠れていることもあります。
うつ病と過食の関係について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
▶過食はうつ病のせい?過食性障害や非定型うつ病の特徴・対処法や治療法を解説
神経性過食症と過食性障害の違い

過食を主な症状とする摂食障害には、大きく「神経性過食症」と「過食性障害」があります。
DSM-5(米国精神医学会の診断基準)では、過食性障害も摂食障害の一つとして位置づけられています。
両者は、過食のあとに代償行動があるかどうかで区別されます。
神経性過食症(代償行動をともなうタイプ)
神経性過食症は、むちゃ食いのあとに、体重の増加を防ぐための「代償行動」をともなうことが特徴です。
代償行動には、次のようなものがあります。
- 自己誘発性嘔吐(自分で吐く)
- 下剤や利尿剤の乱用
- 極端な絶食や食事制限
- 過度な運動
体重や体型を過度に気にするあまり、過食と代償行動を繰り返してしまう点が、神経性過食症の大きな特徴です。
過食性障害(代償行動をともなわないタイプ)
過食性障害は、むちゃ食いを繰り返す一方で、嘔吐や下剤の使用といった代償行動をともなわない点で、神経性過食症とは区別されます。
代償行動がないため体重が増えやすく、肥満や生活習慣病につながることもあります。また、過食後の強い自己嫌悪や気分の落ち込みをともないやすいことも知られています。
どちらのタイプであっても、一人で抱え込まず、専門家に相談することが回復への第一歩になります。
参考文献:摂食障害情報ポータルサイト「摂食障害はどんな病気?」
過食症は何科?受診の目安と早めの受診が必要なサイン

過食症かもしれないと感じても、どのタイミングで、どこに相談すればよいか迷う方は少なくありません。ここでは受診の目安と相談先について解説します。
受診の目安となるサイン
次のようなサインが続いている場合は、受診を検討する目安になります。
- 週に何度も過食を繰り返してしまう
- 食事のあとにしょっちゅうトイレに行く
- 体重や体型のことが頭から離れない
- 過食や排出行動を人に隠している
- 気分の浮き沈みが激しい
- 生理が止まる、体調不良が続く
これらは摂食障害のサインとして知られており、当てはまるものが多いほど、早めの相談が大切です。
早めの医療機関受診が必要なケース
過食症は、心だけでなく体にも大きな負担がかかる病気です。特に、自己誘発性嘔吐や下剤の乱用がある場合、体内のカリウムなどの電解質が失われ、不整脈などの深刻な体調不良につながることがあります。
次のような場合は、心の状態にかかわらず、早めに医療機関を受診してください。
- 嘔吐や下剤の使用を繰り返している
- 体重が短期間で著しく変動している
- 強いだるさ、動悸、めまい、むくみなどの体調不良がある
体への影響は自分では気づきにくいこともあるため、気になる症状がある場合は無理をせず専門家に相談しましょう。
参考文献:摂食障害情報ポータルサイト「摂食障害はどんな病気?」
過食症は何科に相談すればよい?
過食症の相談先としては、心療内科(精神科)が主となります。
摂食障害情報ポータルサイトでも、摂食障害のサインに気づいたら心療内科や精神科、小児科(児童の場合)に相談するようすすめられています。
「いきなり対面での受診はハードルが高い」と感じる場合は、自宅から相談できるオンライン診療やオンラインカウンセリングを入り口にする方法もあります。
過食症の回復に向けた治療法

過食症の治療は、心理療法(精神療法)を中心に、必要に応じて薬物療法や栄養面のサポートを組み合わせて進めるのが一般的です。ここでは代表的な治療法を紹介します。
認知行動療法(CBT)
認知行動療法は、過食症に対して中心的に用いられる心理療法です。
体重や体型を過大に評価してしまう考え方や、極端な食事制限といった悪循環に着目し、食事や気持ちの記録(症状のモニタリング)を通じて、過食につながるパターンを整理していきます。
摂食障害に焦点をあてた認知行動療法(CBT-E)では、生活リズムを整えながら、過食を招きやすい考え方や行動に少しずつ働きかけていきます。こうした心理療法によって、過食や嘔吐の頻度が減ることが報告されています。
対人関係療法
対人関係療法は、いまの対人関係の悩みに取り組むことで症状の改善を目指す心理療法です。
過食は、身近な人との関係のストレスや、気持ちをうまく伝えられないことがきっかけになる場合もあります。対人関係のパターンを見直すことで、過食に頼らずに気持ちを整える方法を身につけていきます。
神経性過食症に対しては、対人関係療法にも効果があることが報告されています。
薬物療法
薬物療法は、心理療法を補助する位置づけで用いられます。
過食症では、うつや不安などの症状が一緒にあらわれることが少なくありません。併存する気分の落ち込みや不安に対して、抗うつ薬などが補助的に用いられることがあります。
薬の使用については、自己判断で始めたり中止したりせず、医師とよく相談しながら進めることが大切です。
参考文献:国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト「摂食障害」
ガイデッドセルフヘルプ
ガイデッドセルフヘルプは、専門家の支援を受けながら、認知行動療法をもとにしたワークブックなどを使って自分で取り組む方法です。
比較的取り組みやすい方法として知られており、英国のNICEガイドラインでは、神経性過食症の治療の第一段階として推奨されています。
自分でできる対処法と過食との向き合い方

治療と並行して、日常生活の中でできる工夫もあります。ただし、これらは治療の代わりになるものではないため、つらい状態が続く場合は専門家のサポートを受けながら取り入れましょう。
食事を規則正しくとる
過食を防ぐには、食事をできるだけ規則正しくとることが大切です。
「食べないようにしよう」と極端に食事を減らしたり抜いたりすると、空腹や我慢の反動から、かえって過食を招きやすくなります。
1日3食を目安に、量を大きく減らしすぎず、決まった時間に食べるリズムを整えることが、過食の波を穏やかにする助けになります。
過食のきっかけとなる感情やストレスに気づく
過食は、特定の感情やストレスがきっかけになって起こることがあります。
どんなときに過食したくなるのかを振り返り、そのときの気持ちや状況をメモしておくと、「疲れているとき」「不安なとき」「さびしいとき」など、自分なりのきっかけに気づきやすくなります。
ストレスとの向き合い方や、自分の感情に気づきにくいと感じる方は、以下の記事も参考にしてみてください。
▶ストレスで息苦しくなる?原因と見分け方・セルフケアと受診の目安
▶失感情症(アレキシサイミア)とは?特徴や症状・原因・対処法&治療法を解説
過食した自分を責めすぎない
過食してしまったとき、自分を強く責めないことも大切です。
「また食べてしまった」と自分を責めると、その罪悪感やストレスが次の過食の引き金になり、悪循環につながりやすくなります。
過食を一度になくそうとするのではなく、できた工夫や小さな変化に目を向けながら、少しずつ回復を目指すことが大切です。
過食症は一人で抱え込まず、専門家に相談しましょう
過食症は、意志の弱さではなく、心と体の両方が関わる病気です。過食のあとに嘔吐や下剤の使用などの代償行動をともなう「神経性過食症」と、代償行動をともなわない「過食性障害」があり、どちらも一人で抱え込みやすい病気です。
過食症の治療では、認知行動療法や対人関係療法などの心理療法を中心に、必要に応じて薬物療法や栄養面のサポートを組み合わせて、回復を目指していきます。
食事を規則正しくとる、過食のきっかけに気づく、自分を責めすぎないといった日常の工夫も、治療を支える助けになります。
特に、嘔吐や下剤の乱用がある場合や、体重が著しく変動している場合、体調不良が続く場合は、体への負担が大きくなっているサインです。無理をせず、早めに医療機関へ相談してください。
過食が止まらずつらい、やめたいのにやめられないと悩んでいる方は、精神科・心療内科のオンライン診療サービス『かもみーる』の利用をご検討ください。
24時までオンライン診療を受け付けており、摂食障害やうつ病、不安など、お悩みに合わせてカウンセラーを選ぶことができます。
宮城県在住の方は、『かもみーる心のクリニック仙台院』にて対面診療も受けることができます。
過食症の専門医に直接対面にて相談をすることが可能です。
気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
