うつ病と診断されてから、仕事が思うようにできなくなったと、不安や悩みを抱えている方は少なくありません。
うつ病は気分の問題だけでなく、思考や身体の働きにも影響を及ぼす病気のため、仕事への影響が出てしまうことも考えられます。
この記事では、うつ病によって仕事ができなくなる理由や仕事への向き合い方、復職に向けた回復の道筋について詳しく解説します。
仕事ができないことへの不安を抱えている方、これからどう進めばいいのか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
うつ病で仕事ができないと感じるのは珍しくない

うつ病と診断された多くの方が、以前のように仕事ができないことや、仕事に向かうだけで強い負担を感じるなどの変化を経験しています。
ここでは、うつ病の基本的な特徴と、なぜ仕事に影響が出やすいのかについて解説します。
うつ病とは
うつ病は、気分の落ち込みや興味・関心の低下が続くほか、思考や身体の働きにも影響を及ぼす精神疾患です。
症状の現れ方には個人差がありますが、以下のような変化が複数重なって見られるのが一般的です。
心理面の症状 |
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行動面の症状 |
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身体面の症状 |
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これらの症状は、努力不足や気の持ちようによるものではなく、脳の働きの変化が関係していると考えられています。
うつ病を経験した人は約15人に1人、過去12か月間にうつ病を経験した人は約50人に1人の発生頻度とされ、決して珍しくない病気です。
(参照:「うつ対策推進方策マニュアル うつ病を知る」厚生労働省)
気合や我慢で改善することは難しく、仕事や日常生活に支障が出ることも少なくありません。
うつ病の症状に関しては、以下の記事も参考にしてください。
▶仕事で鬱になる前兆?初期症状・サイン・対処法を解説!受診目安や事例も紹介
仕事に影響が出る理由
仕事では、一定の集中力や判断力、対人対応などを求められる場面が多く、うつ病の症状が影響しやすい環境です。
例えば、頭の中がまとまらず作業に時間がかかる、些細な判断に強い負担を感じるといった変化が生じることがあります。
また、うつ病では疲労感が強く、十分に休んだつもりでも回復しにくい状態が続くことがあります。
その結果、出勤すること自体が大きな負担になったり、仕事を終えた後に強い疲労感が残ったりするケースがあるのです。
このような変化が重なることで、仕事ができないと感じるようになると考えられます。
うつ病は怠けや甘えではない
うつ病によって仕事ができなくなる状態は、怠けや甘えではありません。
多くの方が、やらなければならない、迷惑をかけたくないと強く思いながらも、思考や身体が思うように働かずに歯がゆい思いをしています。
自分を責め続けるのは、症状の悪化や長期化につながる可能性があります。
今後どうしていけばよいのか考えるうえでも、意欲の問題ではなく、病気による機能低下であると理解することが重要です。
症状別|うつ病で仕事ができなくなる具体的な例

うつ病によって仕事ができなくなる原因は、ひとつとは限りません。
心理面・行動面・身体面に現れる症状が互いに影響し合い、仕事を続けるために必要な機能が低下していくと考えられます。
集中力・判断力の低下
うつ病では、集中力や判断力といった認知機能が低下しやすくなり、業務の質やスピードに影響が出ることがあります。
- 資料を読んでも内容が頭に入らない
- 会議の話についていけず、後から思い出せない
- 簡単な判断で決断までに時間がかかる
- 複数の作業を同時に進められない
- 以前よりミスが増える
これらは、思考の処理速度や柔軟性が低下している状態で起こりやすい例です。
集中力や判断力の低下でこのような状態が続き、仕事ができないと感じると、さらに不安や自己否定感を強める要因になることがあります。
強い疲労感や意欲低下
うつ病の特徴のひとつに、強い疲労感や意欲の低下があります。
心身のエネルギーが低下すると、休息を取っても回復しにくくなり、以下のような症状が現れることがあります。
- 朝起きること自体がつらい
- 出勤準備に時間がかかる
- 業務を始めるまでに強い抵抗感がある
- 短時間の作業でも強く消耗する
- 仕事を終えた後に何もできない状態になる
- やる気が出ない自分を責めてしまう
これらは身体的な病気が見つからない場合でも現れることもあり、周囲からは理解されにくいかもしれません。
しかし、怠けているからできないのではなく、心身のエネルギーが低下している状態です。
不安・焦り・自己否定感
うつ病では、不安や焦りが強まり、自分に対して否定的な考えが繰り返し浮かぶことがあります。
- 小さなミスを過度に気にしてしまう
- 周囲の評価を必要以上に悪く捉えている
- 自分は役に立っていないと感じる
- 仕事中も不安が頭から離れない
- 新しい業務や変化に強い恐怖を感じる
こうした状態では、本来の能力を十分に発揮できず自信を失い、仕事から距離を置きたくなる悪循環に陥るケースも少なくありません。
睡眠障害・体調不良
睡眠障害や体調不良は、うつ病で頻繁にみられる症状です。
- 寝不足で日中の集中力が保てない
- 朝がつらく、遅刻や欠勤が増える
- 頭痛や胃の不調が続き、業務に集中できない
- 身体のだるさで長時間座っていられない
- 体調不良の説明がうまくできずに悩む
寝つきが悪い、夜中や早朝に目が覚めてしまうような不眠だけでなく、過度に眠ってしまう過眠がみられる場合もあります。
また、全身の体調不良が重なることもあり、本人にとっても説明しにくい不調が続くことで負担になります。
うつ病で仕事ができない状態が続くとどうなる?

うつ病によって仕事が思うようにできない状態が続くと、生活全体にもさまざまな影響が広がることがあります。
ここでは、実際に多くの方が直面しやすい変化について紹介します。
無理に働き続けることによる症状悪化
仕事を休むわけにはいかない、ここで踏ん張らなければならないと考え、うつ病の症状を抱えたまま無理に働き続ける方は少なくありません。
しかし、うつ病の症状がある状態で負荷をかけ続けると、疲労感や不眠などが強まり、気分の落ち込みや不安が深まることがあります。
その結果、ある日突然出勤できなくなったり、これまで以上に強い症状が現れたりするケースも珍しくありません。
このような経過は、もう少し頑張ろうと無理を重ねることにより生じやすいと考えられます。
職場での評価や人間関係への影響
仕事のパフォーマンスが低下すると、本人の努力とは関係なく、職場での評価や人間関係に影響を及ぼします。
業務の遅れやミスが目立つようになり、自信を失ったり、周囲との距離を感じたりするのも、自己否定感が強まりやすい要因です。
また、うつ病への理解が十分でない職場では、やる気がない、怠けていると誤解されることもあり、人間関係がスムーズにいかなくなる可能性もあります。
休職・欠勤への罪悪感や不安
欠勤が増える、休職を検討する段階になると、多くの方が罪悪感や不安を抱えます。
周囲への迷惑や、このまま戻れなくなるのではとの思いが繰り返し浮かび、精神的な負荷がかかってきます。
休職の選択が治療の一環であると理解はしていても、感情の面で受け入れ難いと感じる方も少なくありません。
経済面の心配
仕事が十分にできない状態や休職になると、収入や生活費に対する不安が、現実的な問題として浮かび上がります。
欠勤や休職によって収入が減少すると、治療や休養が大切と分かっていても、経済的な心配が先だってしまうのです。
経済面の心配があると、心身の回復に集中できなくなる可能性もあるため、信頼できる周囲への相談や支援制度を知ることが重要です。
うつ病と診断された場合の仕事との向き合い方

うつ病と診断されたとき、このまま仕事を続けられるのか、休むべきなのかと迷う方は少なくありません。
仕事は生活や自己評価とも深く結びついているため、すぐに答えが出せない問題ですが、心身の回復を優先して考えましょう。
職場へ現状を伝える
うつ病と診断された場合、仕事を続けるにしても、何らかの調整を行うにしても、職場との情報共有をすることが大切です。
診断名をそのまま伝えるケースもあれば、体調不良で通院が必要とだけ説明する場合もあります。
どこまで、誰に、どのように伝えるかは、医師やカウンセラーと相談しながら決めてもよいでしょう。
現在の状態により、業務にどんな影響が出ているのか、どのような配慮があると助かるのかを、整理することが重要です。
休職や業務調整を検討する
うつ病の症状が強く、通常の勤務を続けるのが難しい場合には、業務内容の調整や休職を検討することがあります。
仕事を辞めるのではなく、回復を目的として、一時的に働き方を変える選択肢のひとつです。
業務量の軽減や配置転換、時短勤務などの業務調整により、仕事を続けられるケースもあります。
一方で、出勤そのものが大きな負担になっている場合や、十分な休養が必要と判断される場合には、休職が選択されることもあります。
休職期間や復職の条件、給与や手当の扱い、社会保険の継続なども、診断書を提出する際に確認しておきましょう。
復職を急ぎ過ぎない
気分が安定してきても、すぐに元の業務量や働き方に戻ると、再び症状が悪化する可能性もあります。
そのため、復職のタイミングや仕事のペースについては、慎重な判断が必要です。
多くの場合、復職に向けては、生活リズムの安定や集中力の回復など、いくつかの目安を確認しながら進めます。
人それぞれ回復のスピードや経過は異なるため、長期的な視点で仕事との距離感を見極めましょう。
うつ病からの回復と仕事復帰への道筋

うつ病からの回復は、一気に元の状態へ戻るものではなく、少しずつ段階を踏みながら進んでいくのが一般的です。
仕事ができない状態にあると、回復できるのかとの不安を感じることもありますが、治療と環境調整により、少しずつ安定していくケースが多いです。
心療内科・精神科の受診
うつ病が疑われる場合や、仕事に支障が出ている場合には、心療内科や精神科を受診するのが回復に向けた最初の段階です。
診察では、気分の状態を始め、睡眠や食欲、仕事、生活への影響など、さまざまな状況を丁寧に聞き取ります。
早めに専門家による診断を受けることで、現在の状態を把握しやすくなります。
また、治療だけでなく、仕事との向き合い方や休職の必要性などについても、医師のサポートを受けることが重要です。
心療内科については、以下の記事でも詳しく解説しています。
▶心療内科とは|精神科との違いは?どちらに行くべき?対象となる症状・治療内容を解説
治療の選択肢
うつ病の治療は、症状の程度や生活状況に応じて、いくつかの治療法を組み合わせるのが一般的です。
薬物療法では、気分の落ち込みや不安、不眠などの症状を和らげることを目的とした処方が行われます。
効果の現れ方や副作用には個人差があるため、医師と相談して経過を見ながら進めます。
また、精神療法やカウンセリングを通じて、考え方のクセやストレスへの対処方法を見直していくのも治療のひとつです。
治療にかかる期間も人それぞれ異なりますが、焦らず自分のペースで回復していきましょう。
復職支援制度
回復が進み、仕事への復帰を考える段階になると、復職支援制度の活用も考えられます。
勤務時間を短縮する時短勤務や、業務内容を限定する業務調整、リハビリ的に勤務する試し出勤などが代表的です。
また、企業や医療機関によっては、リワークプログラムと呼ばれる復職支援を行っている場合もあります。
生活リズムの安定や対人関係の練習、ストレス対処の見直しなどを通じて、職場復帰を目指す取り組みです。
相談できる社会的サポート
うつ病と仕事の問題は、医療だけで完結するものではありません。
制度の利用や職場との調整、経済的な不安など、複数の課題が重なることも多いため、適切な相談先を知っておくことが大切です。
例えば、精神保健福祉センターでは、心の不調に関する相談だけでなく、社会的なサポートの案内も行われています。
(参照:「精神保健福祉センター運営要領」厚生労働省)
また、経済的な問題については、傷病手当金(健康保険)や障害年金(日本年金機構)などの制度が利用できる場合もあります。
利用の可否は加入状況や就労状況、自治体などにより異なるため、問い合わせしてみましょう。
休職中に利用できる制度や補償などについては、以下の記事も参考にしてください。
▶仕事したくないのはうつ病?対処法や休業補償、治療法など詳しく紹介
仕事ができないときは無理せず専門機関へ相談を
うつ病によって仕事ができないと感じる状態は、誰にでも起こる可能性があります。
症状が複数重なり合うことで、仕事の継続が難しくなることがあり、病気の経過として珍しくありません。
仕事ができない状態が続くと、さまざまな問題が発生して、自己否定感や症状の悪化につながりやすいため、注意が必要です。
焦らず回復を目指すために休職を選択することも、治療の一環です。
現在の状態を理解して、医師とよく相談し、回復に向けて治療やサポートを受けながら、生活と仕事を整えていきましょう。
医師監修のオンラインカウンセリングサービス『かもみーる』は、うつ病の診断書にも対応しています。
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