発達障害と不安障害は併発する?症状・原因・対処法をわかりやすく解説

投稿日 2026年04月03日

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発達障害のある方は、日常生活や人間関係の中で多くのストレスを感じやすく、不安障害を併発するケースが少なくありません。

ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠陥多動症)など、それぞれの特性によって不安の感じ方や原因は異なりますが、不安障害を合併することでさらに生活が困難になることがあります。

この記事では、不安障害と発達障害を合併したときの症状や治療方法について解説します。

不安を和らげる対処法もまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

発達障害と不安障害は合併する確率が高い

発達障害を抱える人は不安障害を併発する可能性が高いことが分かっています。

特にASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠陥多動症)を持つ人は、社会生活での困難や刺激への過敏さから強い不安を感じやすく、不安障害を発症しやすい傾向にあります。

また発達障害による社会的なトラブルや自己肯定感の低下は、ストレスとなって二次的に不安障害やうつ病を引き起こす要因にもなるため注意が必要です。

症状の悪化や二次障害を予防するためには、本人の感じている生きづらさに早く気づき、適切なサポートを行うことが大切です。

発達障害とは

発達障害とは、脳の働き方に生まれつきの特性があり、日常生活や社会生活で困難を感じる障害です。

代表的なものが『ASD(自閉スペクトラム症)』『ADHD(注意欠陥多動症)』『LD(学習障害)』の3つです。

これらは単独で現れることもあれば、複数の特性が重なることもあります。

発達障害は外見から判断しづらいため、周囲から理解されにくいことが多く、本人が生きづらさを抱えやすい傾向があります。

ここでは上記3つの特性について、それぞれの特徴を見てみましょう。

発達障害を見抜く方法についてはこちらから

ASD(自閉スペクトラム症)

ASD(自閉スペクトラム症)は、対人関係の困難や強いこだわり、感覚過敏などの特徴を持つ発達障害です。

かつては『自閉症』『アスペルガー症候群』などと呼ばれていましたが、現在はこれらを含めてASDとして診断されます。

具体的な特性としては他人の気持ちを察するのが苦手であったり、会話の流れが理解しにくかったりすることがあります。

また特定の分野に強い興味を持ち、ルールや手順への強いこだわりがみられるのも特徴です。

さらに感覚の過敏さや鈍感さもASDの特徴で、大きな音や光に過剰に反応したり、逆に痛みに気づきにくかったりすることもあります。

ASDの特性は幼児期から見られることが多いですが、本人が努力で適応していたために、成人してから気づかれるケースもあります。

仕事や人間関係におけるつまずきがきっかけで、診断を受けることも珍しくありません。

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ADHD(注意欠陥多動症)

ADHD(注意欠陥多動症)は、『不注意』『多動性』『衝動性』という3つの特性を持つ発達障害です。

不注意の特性では、集中力を持続することが難しく、ミスや忘れ物が多くなる傾向があります。

一方、多動性や衝動性は、じっとしていられない、思いついたことをすぐに口にしてしまうなどの行動が見られるのが特徴です。

これらの特性の現れ方によって、以下のようなタイプに分類されます。

  • 多動・衝動性が強いタイプ
  • 不注意が強いタイプ
  • 不注意・多動性・衝動性が混在しているタイプ

ADHDは幼少期に特性が現れ始めますが、単なる「落ち着きのない子」と捉えられて見逃されることも珍しくありません。

そのため、学校生活や社会人になってからの困りごとを通じて初めて診断されることもあります。

また年齢とともに多動性が目立たなくなる一方で、不注意による困りごとは大人になっても続く場合が多いです。

「スケジュール管理や段取りが苦手だけど、興味のある分野では高い集中力や行動力を発揮する」という人も少なくありません。

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LD(学習障害)

LD(学習障害)は、全体的な知的発達には問題がないにもかかわらず、読む・書く・計算するといった特定の学習分野に著しい困難が見られる発達障害です。

現在は『限局性学習症(SLD)』という診断名が正式に使われていますが、一般には『LD(学習障害)』の名称が広く知られています。

LDには、読字障害・書字障害・算数障害などがあります。

学校での学習が本格化する小学校入学以降に気づかれることが多く、文字を読むスピードが極端に遅い、文章をうまく書けない、計算が苦手などの形で現れるのが特徴です。

知的能力は平均以上であるにもかかわらず、学業成績に差が出ることで本人の自尊心が傷つきやすく、不登校や二次障害につながるケースもあります。

適切な学習環境を整え、得意分野を活かしながら学べるようサポートすることで、本人の自信や意欲につながります。

不安障害とは

不安障害とは、日常生活で感じる不安の範囲を大きく超えた強い不安や恐怖が持続的に現れ、生活に支障をきたす精神的な障害の総称です。

例えば特定の状況や対人場面で強い不安に襲われたり、ありとあらゆる物事について過剰に心配してしまったりする状態が続くことで、仕事や学業、人間関係に影響を及ぼします。

症状としては動悸やめまい、不眠などの身体症状を伴うことが多く、心身に大きな負担をもたらします。

不安障害にもいくつか種類がありますが、代表的なものとして『社会不安障害』『全般性不安障害』などがあり、それぞれ異なる治療が必要です。

ここではこれらの不安障害についてそれぞれ解説します。

社会不安障害

社会不安障害(社会恐怖)は、人前で注目されたり、評価されたりする状況に強い恐怖や不安を感じる病気です。

例えば人前で話す、会議で発言する、食事をする、字を書くなど、他人に見られることを意識すると極度の緊張や動悸、震えなどの身体症状が現れます。

これが原因でそのような場面を避けるようになり、仕事や学校生活、人間関係に影響を与えることがあります。

特に思春期に発症することが多く、自分に自信が持てない、過去の失敗体験などがきっかけになる場合も少なくありません。

症状が進行すると社会的孤立やうつ病を併発することもあるため、早期治療が重要です。

全般性不安障害

全般性不安障害は、特定の対象や場面に限らず、あらゆる事柄について過剰に心配し続ける状態が6か月以上続く病気です。

例えば家族の健康や学業、将来のことなどに対し、明確な理由がないのに「うまくいかないのでは」と不安を感じ、その不安がなかなか止まらなくなります。

このような慢性的な不安に加え、落ち着きがない、集中できない、疲労感、筋肉の緊張、不眠などの身体的な症状も伴いやすいのが特徴です。

日常生活や仕事に支障をきたす場合もあり、長期間悩まされることも少なくありません。

発達障害と不安障害を合併している場合の治療方法

発達障害と不安障害を合併している場合は、不安障害のみ発症しているときとは異なり、特性に配慮した治療を行わなくてはいけません。

具体的には認知行動療法や森田療法が挙げられます。

状況に応じて薬物療法を行う場合もありますが、発達障害に伴う不安には抗不安薬が効果を示しにくいことが多いため、基本的には上記2つの治療方法を軸に治療を行います。

認知行動療法

認知行動療法は、思考や行動の偏りに気づき、それを現実的で柔軟な方向へ修正していく心理療法です。

不安障害を抱える方は、「〜に違いない」「失敗するかもしれない」などの極端な思考にとらわれがちで、それがストレスや不安を増幅させてしまいます。

認知行動療法では、こうした非現実的な思考のクセを認知の歪みと捉え、それに気づいて別の視点で物事を見る訓練を行います。

自分の考え方の傾向を把握し、苦手な場面でどのように対応すればよいかを学ぶことで、ストレスに対応できる精神状態を作ることが可能です。

森田療法

森田療法は、不安や恐怖といった感情を「なくす」のではなく、「あるがままに受け入れる」ことで自然な回復を目指す日本発の心理療法です。

発達障害と不安障害を合併している方に多いのが、「不安を感じる自分はいけない」「不安を完全に取り除かないといけない」といった思考にとらわれ、それがさらに不安を増幅させるという悪循環です。

森田療法ではこのような悪循環を断ち切り、不安があっても必要な行動に取り組む『事実本位』『目的本位』の姿勢を身につけていきます。

この療法では、症状に対して一喜一憂せず、不安を感じながらも日常生活を着実に送るという姿勢を大切にします。

薬物療法は必要な場合のみ

発達障害と不安障害が合併している場合、薬物療法は必要に応じて慎重に用いる必要があります。

一般的な抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)は、副作用や依存のリスクがあるため注意が必要です。

特にADHDを伴う場合は依存傾向が強まる恐れがあり、原則として使用は控えるべきです。

ADHDの症状が強い場合には、不安に直接作用する薬ではなく、ADHD治療薬(アトモキセチンやメチルフェニデート)を使用することで不安症状の改善が期待できることもあります。

薬物療法はあくまで補助的な治療方法であるため、心理療法や生活習慣の改善と併用しながら、本人が安心して過ごせる環境づくりを整えていくことが大切です。

不安を感じたときにおすすめの対処法

不安を感じたときにおすすめの対処法は以下の通りです。

  • 腹式呼吸をする
  • リラクゼーション法を取り入れる
  • 手軽にリラックスできる方法を見つけておく
  • 無理せず休憩をとる
  • 適度に運動する
  • カフェインやアルコールの摂取を控える
  • 専門家に相談する

腹式呼吸は自律神経を安定させる効果があり、不安や緊張を感じたときにすぐに実践できる方法です。

また筋肉の緊張と弛緩を繰り返すリラクゼーション法や、音楽・香り・お茶などを活用した方法も不安を和らげられます。

仕事や勉強中に不安を感じたときは、無理をせずこまめに休憩をとることが大切です。

上記のような対処法を試してみても不安が続く場合は、一人で抱え込まずにカウンセラーや医師などの専門家に相談してみましょう。

信頼できる人に話してみるだけでも、今抱えている不安を客観視できるようになり、心が軽くなることがあります。

不安障害と発達障害を合併したときは原因に合った治療を行うことが大切

発達障害と不安障害が合併している場合は、それぞれの特性を理解した上で適切な治療を行うことが大切です。

認知行動療法や森田療法などの心理的アプローチに加え、必要に応じて薬物療法を取り入れることで、不安の緩和や生活の質の向上が期待できます。

今回は不安を感じたときにおすすめの対処法を解説しましたが、もし試してみても不安が改善されない場合は、一人で抱え込まず専門医に相談してみてください。

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