「自分は発達障害なのかもしれない」
「発達障害の特性は誰にでも当てはまると聞いたことがあるけど実際はどうなのだろう」
など、発達障害の特性について、不安や疑問を感じている方は多いのではないでしょうか。
発達障害の特性は、性格との見分けが難しいことも多く、診断されていなくても生きづらさを抱えているケースがあります。
この記事では、発達障害の主なタイプや特性、生きづらさを感じる理由、そしてうつ病など他の精神障害との関係性についてもわかりやすく解説します。
「発達障害は誰にでも当てはまる」は本当?

発達障害は誰にでも当てはまる、といわれることがあります。
実際のところ、本当に誰もが該当するものなのでしょうか。
必ずしも全員に当てはまるわけではない
「発達障害の特性は誰にでも当てはまる」といわれることがありますが、必ずしもすべての方に該当するとは言い切れません。
発達障害に関する情報を見かけた際などに、「自分や周りも発達障害の特性が見られる気がする」と感じたことがある方もいるでしょう。
たしかに、発達障害の特性といわれる不注意や空気が読めないこと、音や匂いへの敏感さなどは、程度の差こそあれ誰にでも一部は見られるものです。
実際、仕事でたびたびミスをしてしまったり、友人とトラブルになってしまったりすることは、発達障害の方に限った話ではありません。
発達障害と診断されるか否かは、日常生活や社会生活にどれだけ支障が出ているかが判断基準の一つです。
本人の意思に関わらずまったく仕事が続かない、どこに行っても人間関係が極端にうまくいかない、などの場合は、本人の性格によるものではなく発達障害が関係している可能性があります。
つまり、発達障害の特性には、誰にでも当てはまる特徴があるのは事実であるものの、誰もが発達障害と診断されるわけではありません。
発達障害に関する診断が増えているのは事実

発達障害の特性は、すべての方に該当するとは断言できないものの、近年、発達障害として診断されるケースが増えているのは事実です。
発達障害は生まれ持った脳機能の偏りによるものであるため、ある日突然発症するものではありません。
幼い時期から発達障害の特性を持っていても、子どもの時期は単なる性格として見過ごされてしまうことがあります。
大人になってから、仕事がうまくいかなかったり、社会生活の中で違和感・生きづらさを感じたりして、初めて発達障害である事実が発覚することがあるのです。
また、現代は発達障害に関する情報が多くなり、「自分も発達障害かもしれない」と気が付くきっかけが増えたことも背景にあります。
▶ADHD(注意欠如・多動症)とは?発達障害との関係や特徴、対応法を解説
発達障害の方が仕事で苦手に感じやすいこと

発達障害の場合、仕事面で苦手に感じることがいくつかあります。
具体的には、以下が挙げられます。
- 抜け漏れのない情報共有をすること
- 認識のズレなく指示を受け取ること
- 複数の仕事を同時にこなすこと
- 口頭でやり取りすること
- 職場の暗黙の了解・常識を理解すること
上記は一例であるものの、発達障害の方にとって極端に苦手とする領域です。
「気を付けていても指示の内容を誤って受け取ってしまう」「資料を作成すると毎回情報の抜け漏れや誤字脱字がある」など、発達障害の方はどれだけ意識しても、改善が難しいと感じる場合が多い傾向にあります。
ときどきミスしてしまうのではなく、ほぼ毎回のように同じようなミスを繰り返してしまうのであれば、発達障害の特性を持っている可能性が考えられるでしょう。
発達障害以外の「仕事ができない」につながる精神障害

発達障害の方は仕事ができないといわれることがありますが、必ずしもそうとは言い切れません。
実際には、発達障害ではなくても、別の精神障害が関係していることもあります。
ここからは、仕事ができない原因として疑われる精神障害を見ていきましょう。
パーソナリティ障害
仕事ができない原因の可能性がある精神障害として、パーソナリティ障害が挙げられます。
パーソナリティ障害とは、認知や感情、対人関係などに偏りがある特性を持ち、日常生活や社会生活に支障をきたす障害です。
職場での人間関係にトラブルを抱えやすく、強い怒りや不安定な感情表現によって誤解を生むこともあります。
一口にパーソナリティ障害といっても、細分化すると境界性パーソナリティ障害や自己愛性パーソナリティ障害など複数の障害に分類される点が特徴です。
いずれも自己認識がゆがんでいたり、他者との関係性に極端な傾向が見られたりします。
抑うつ状態・気分の落ち込み
発達障害ではないのに仕事ができない理由として、抑うつ状態や気分の落ち込みなどが関係している可能性があります。
抑うつ状態やうつ病の場合、「やる気が出ない」「集中力が続かない」「朝起きられない」といった症状が強く現れます。
周囲からは「だらしない」「努力が足りない」と誤解されやすいものの、実際は脳の機能低下が生じていて、行動・思考に影響してしまっている状態です。
抑うつや気分の落ち込みは、発達障害の二次障害としても起こりますが、うつ病単体でも「仕事ができない」と感じる状態になることも珍しくありません。
愛着障害
仕事ができない原因の一つとして、愛着障害が挙げられます。
愛着障害とは、他者との信頼関係をうまく築けなかったり、自分に自信が持てなかったりする状態であり、幼少期に養育者(母親や父親など)との関係を築けなかったことが原因な場合が多いです。
職場では、過度に同僚に依存する傾向が見られますが、逆に極端に距離を取るケースもあるため、チームでの業務や報連相に支障が生じることがあります。
愛着障害の方は「自分は大切にされていない」と感じやすく、相手の言動を過剰にネガティブに受け取ってしまうことも少なくありません。
発達障害・精神障害が関係ないのに仕事ができないケース
発達障害も精神障害も該当しないのに、仕事でミスが多かったり、人間関係がうまく構築できなかったりすることがあります。
ここからは、発達障害や精神障害を抱えていないのに、仕事ができないケースについて解説します。
仕事に慣れていない
発達障害や精神障害は関係なく、仕事ができないケースとしてまず挙げられるのが、そもそも仕事に慣れていないことです。
新しい仕事を始めたばかりの時期は、誰でも失敗が多く、要領も悪くなりがちでしょう。
業務の流れや職場のルールを把握するまでは時間がかかるため、仕事に慣れるまでは「自分には向いていないのでは?」と感じてしまうこともあります。
この場合、スキルや経験を身につけていけば改善できることも多く、時間とともに仕事ができるようになることがほとんどです。
周囲と比較して落ち込むのではなく、昨日よりできたことに目を向けて、少しずつ慣れていく姿勢が大切です。
極端にやる気がない
発達障害や精神障害を抱えていなくても、極端にやる気がないと仕事での失敗が増える可能性があります。
仕事に対して強い興味が持てず、やる気が湧かない状態では集中して作業に取り組むことができません。
やる気のなさから、遅刻が増えたり、一向に成果を得られなかったりする状態にも陥るリスクもあるでしょう。
やる気が出ない原因は人それぞれですが、一般的には以下が挙げられます。
- 一時的なモチベーションの低下
- 仕事内容が自分に合っていない
- 目標が不明確で目指すべきものがわからない
- 職場環境が合っていない
まずは「なぜやる気が出ないのか?」を洗い出し、何から対策していけばよいのかを明確にする必要があります。
休息や趣味の時間確保や仕事内容の調整、目標設定の見直しなど、できることから対処していきましょう。
職場や同僚と馴染めていない
職場や同僚と馴染めていない場合、仮に発達障害や精神障害がなくても、仕事がうまくいかないことがあります。
「話しかけにくい雰囲気がある」「気を使いすぎて疲れる」などの状況は、仕事のパフォーマンスに影響してしまうものです。
自分が悪いと責めるのではなく、まずは「合う・合わないは誰にでもある」と受け止めることが大切です。
可能であれば信頼できる上司や外部のキャリア相談窓口などに話を聞いてもらうのもよいでしょう。
働く環境を変えることで、本来の力を発揮できる場合もあります。
上司や先輩の指示のしかたに問題がある
指示を理解できない場合や、指示に沿って仕事をしたつもりでも間違えてしまうときには、指示をする側に問題がある可能性もあります。
上司や先輩が、必ずしも指示を出すのが上手であるとは限らず、相手が誤解しそうな指示の出し方をするケースもあるでしょう。
仮に指示する側に問題があれば、指示を受けた側が仕事でミスをしてしまったり、受け取り方を誤ったりすることは十分にあり得ます。
本当に自分が問題なのか、そもそも指示する側にも改善すべき点があるのではないか、などの視点で状況を分析してみてはいかがでしょうか。
▶ADHDの脳波の特徴とは?QEEG検査による発達障害の診断補助について解説
発達障害かも?と感じたときの適切な対応

診断を受けたわけではないものの、なんとなく「発達障害かもしれない」と感じる方がいるかもしれません。
もし、発達障害が疑われるようであれば、どのような対応が望ましいのでしょうか。
悩む期間や頻度などから発達障害の可能性を考えてみる
発達障害の可能性が疑われる場合、まずは悩む期間や頻度などを振り返ってみましょう。
「空気が読めないと言われる」「仕事のミスが多い」といった状態が一時的なものではなく、長期にわたって継続している場合、発達障害を視野に入れる必要があります。
日常生活や仕事で困ることが、たまにある程度であれば性格の範囲であるものの、頻繁であったり、何年も悩んでいるようであれば、発達障害の可能性もあるでしょう。
チェックツールで分析してみる
発達障害かもしれないと悩んだときには、簡易的に確認できるチェックツールを使用して分析する方法があります。
インターネット上には、セルフでチェックできるツールが多数公開されているため、すき間時間でも確認しやすいのが魅力です。
また、スマホアプリでも発達障害のチェックツールが数多く開発されていて、無料でインストール・使用できるものもあります。
設問に回答するだけで発達障害の可能性やスコアなどをチェックできるため、「自分の発達障害の可能性を知りたい」といったときには便利でしょう。
ただし、チェックツールはあくまで簡易的な目安であるため、過信するのは避けましょう。
周囲に相談して客観的な意見をもらう
自分に発達障害の可能性があるのか気になる方は、周囲に相談して、客観的な意見を求めてみましょう。
自分の状態を冷静に判断するのは難しいため、家族や信頼できる友人、同僚などの第三者の目線が必要です。
自分では当たり前だと思っている行動でも、周囲から見ると「少し気になるかも」と感じているケースもあります。
自分が悩んでいることや、発達障害の特性に心当たりがあることなどを相談し、客観的に見たときの様子について意見を求めてみましょう。
医療機関を受診する
発達障害かどうかをきちんと確認したい場合は、精神科や心療内科などの医療機関の受診が確実です。
医療機関であれば、専門的な知見にもとづいてきちんと診断してもらえるため、「自分の状況を正しく知りたい」といった方にとって納得できる意見・結果を得られます。
医療機関を受診する場合、困っていることの内容やこれまでの経歴について問診を行い、必要に応じて発達検査や心理検査が実施されます。
仮に、発達障害と診断されなくても、困っている事象があれば、本人の特性・傾向に合わせて対応策や必要な配慮に関するアドバイスを求めることが可能です。
オンライン診療・カウンセリングサービスを受けてみる
発達障害の有無を確認したいものの、医療機関の受診に抵抗を感じる方は多いのではないでしょうか。
仮に、通院にハードルを感じる場合は、オンラインで受けられる診療やカウンセリングサービスを利用するといった選択肢があります。
自宅にいながら、発達障害やメンタルヘルスに詳しい医師やカウンセラーに相談できるため、外出の負担がなく、比較的気軽に自分の悩みを整理することが可能です。
まずは一度、試してみるだけでも、自分の思考や困りごとを客観視するよい機会になります。
「発達障害は誰にでも当てはまる」と放置しないで
発達障害は誰にでも当てはまるといった意見を鵜呑みにしてしまうと、「みんなも該当するなら我慢するしかない」と悩んでいる状態を放置してしまうことがあります。
確かに、発達障害の特性の中には、多くの方が「自分も似たようなことがある」と感じるものもあるでしょう。
しかし、実際に発達障害のある方の場合、周囲が思っている以上に生きづらさを感じていたり、心が疲弊していたりする可能性もあります。
もしかしたら発達障害かも、と気になったときには、そのまま放置せず一度専門の医師やカウンセラーに相談してみることが重要です。
『かもみーる心のクリニック 仙台院』では、「発達障害かもしれない」と悩んでいる方へカウンセリングを行っています。
日常生活で感じる心の中のモヤモヤや、生きづらさについて、丁寧に対話を重ねていくクリニックです。
初めてでも気軽に相談しやすい空間ですので、メンタルクリニックに通院したことがない方も、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
