投稿日 2025年06月03日
最終更新日 2025年08月19日
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最終更新日 2025年08月19日

発達障害には、一人ひとりに異なる特性があり、日常生活を普通に送れる方も多いものの、障害が見えにくいことから、誤解を受けてしまうこともあります。
特性に応じた支援を受けられれば、日常生活での困難を少なくしたり、得意なことを活かしやすくなったりしますが、それには本人だけでなく周囲のサポートが必要です。
この記事では、発達障害の概要、種類とそれぞれの特性、早期に発見するためのサインについて解説します。支援や治療方法も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。

発達障害は、脳機能の発達に関係する障害です。
日常生活を送るうえでさまざまな支障をきたしますが、外見からは分かりにくく、特性も一人ひとり異なることから、わがままや自分勝手だと誤解され、生きづらさを感じてしまうことも少なくありません。
そのため、本人や家族、周囲の人が、発達障害とはどのような障害なのかをきちんと理解しておくことが大切です。
ここでは、発達障害の概要について紹介します。
発達障害とは、脳機能の発達が関係している障害です。脳科学の研究では、主に先天的な脳機能の発達の違いによる特性だということがわかっています。
「発達障害者支援法」における定義・第二条によると、発達障害とは「自閉症、アスペルガー症候群その他広汎性発達障害、学習障害、注意欠如多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」です。
個人差はありますが、発達障害の人は生まれつき脳の働き方が異なるため、幼い頃から行動面や情緒面で特徴があります。
特に発達障害の傾向が強い場合は、学校生活や社会生活をスムーズに送れず、日常生活に支障をきたすことも多いです。
発達障害のある人を理解するためには、障害名が同じであっても複数の発達障害や精神疾患を併せ持っている場合や、障がいの程度が異なる場合があることを理解しておく必要があります。
「発達特性」とは、得意なことや苦手なことなど、生まれつきの脳神経の発達の傾向のことです。顔や体型が一人ひとり違うのと同じように、脳にも生まれつきの個性があります。
例えば、地図を読むのが得意な人もいれば苦手な人もいます。急な変更にうまく対処できる人もいれば、慌ててミスをしてしまう人もいるでしょう。
このように、発達障害の特性は誰にでもあるものです。
発達障害の人とそうでない人との違いにはっきりとした境目はありませんが、特性の度合いが強く生活に支障をきたしている場合は、発達障害と診断される可能性があります。
発達特性が強い人は、周囲の理解が得られなかったり適切なサポートが受けられなかったりすると、社会生活を送ることが困難になる恐れもあるでしょう。
うつ病や適応障害、引きこもりなどの二次障害を引き起こすケースも少なくないため、本人や周囲の人が特性をきちんと把握し、適切なサポートを受けることが大切です。
文部科学省は、平成14年から10年ごとに公立の小中学生、高校生約88,500人を抽出し、医学的な診断基準を参考にした質問に担任教員が答える形で、学習や対人関係で困難を抱える子どもの数を集計する調査を実施しています。
令和4年1月から2月にかけて行われた「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」内の「児童生徒の困難の状況」の調査結果によると、「知的発達に遅れはないものの学習または行動面で著しい困難」を示すとされた小中学生は8.8%です。
保護者や教員の発達障害への理解が進んだことで気づきやすくなったという側面もありますが、前回の平成24年の6.5%よりも多く、全国の公立小中学校で70万人を超える子どもが発達障害の可能性があると推測されます。
発達特性によって支援を必要としている子どもの数は意外と多いため、早期から適切なサポートが受けられる環境を整えることが重要だといえるでしょう。

ひと口に発達障害といっても、以下のように複数の種類があり、それぞれに特性が異なります。
ここでは、発達障害の種類とそれぞれの特性について紹介します。
自閉スペクトラム症(ASD)とは、対人関係の障害やパターン化した行動、物事への強いこだわりといった特性を持つ発達障害です。
中には、ちょっとした物音に過敏に反応したり寒さや暑さが気にならなかったり、体を器用に動かせず運動が苦手だったりといった特性がみられる場合もあります。
他者に対する関心が弱く、人との関わり方やコミュニケーションの取り方が独特で、相手の気持ちや状況を理解するのが苦手なため、誤解されてしまうことが多いです。
これらの特性は強さや表れ方が人それぞれ異なり、成長に伴って特性が変化することもありますが、生活に支障をきたすようなケースでは、福祉的・医療的サポートが必要になります。
一般的に、自閉スペクトラム症(ASD)は男性に多くみられ、女性の約2〜4倍という報告もあります。
注意欠如多動性障害(ADHD)とは、集中できない・なくしものが多いなどの「不注意」、じっとしていられない・順番を待てないなどの「多動性」や「衝動性」の特性がみられる発達障害です。
特性の現れ方によって、主に不注意の傾向が強いタイプ、多動・衝動性の傾向が強いタイプ、多動・衝動性と不注意が混在しているタイプの3つに分けられます。
これらの症状は、12歳になる前に現れることが多いですが、幼児期の一般的な行動と似ているため、就学期に診断されることが多いです。
注意欠如多動性障害(ADHD)は、日常生活に困難を感じることが多い障害です。何か作業をしていても不注意でミスしやすく、周りから注意力が足りない、すぐに失敗するといった評価を受けることがあります。
学習障害(LD)とは、読む・書く・理解するなどの学習における技能に困難が生じる発達障害です。
大きく分けて主に読む・内容を理解することが困難なタイプ、書くことが困難なタイプ、数の理解や計算が困難なタイプの3つの分類があり、人それぞれ困難を感じるポイントに違いがあります。
これらの困難が知的障害が原因でないこと、神経疾患や視覚・聴覚の障害が原因でないこと、学習面のみで困難を感じることといった条件に当てはまる場合に、学習障害(LD)と診断されます。
幼児期に気づくこともありますが、日本の学校では板書を伴う授業が多いことから、読み書きが苦手なことで学習に支障をきたして診断されるケースが多いでしょう。
努力が足りない、勉強不足だと誤解されて見過ごされることも多く、子どもの自信低下につながりやすいため、早期に発見して適切なサポートを受けることが大切です。
チック症は、幼少期から小児期にかけて発症することが多く、注意欠如多動性障害(ADHD)や強迫障害などに合併して起きる症状です。
まばたきや首振り、咳払いなどの素早い運動や「うん」「あっ」などの音声が、本人の意思に関係なく繰り返し現れるため、落ち着きがない子、授業を妨害する子だと思われることもあります。
環境やストレスなどの要因で現れることが多く、成長と共に自然と収まるケースもありますが、1年以上にわたって症状が持続し、日常生活に支障をきたす場合は「トゥレット症」と診断されます。
吃音とは、自分の意思とは関係なく、スムーズに発語ができない言語に関する発達障害です。
自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如多動性障害(ADHD)などとの併存率が高いとされているため、症状がみられるときはその他の発達の度合いも注意深く観察する必要があります。
吃音は、しゃべり始めに同じ音を繰り返したり引き伸ばしたり、上手く言葉が発せずに間が開いてしまったりなど、なめらかに話すことができません。
周りから笑われたり落ち着いて話すように注意されたりすることで、会話に消極的になってしまう可能性もあるため、気になる症状があるときは早めに対処する必要があります。

発達障害があると幼稚園や学校、会社などの集団に入ったときにさまざまな問題や困難に直面することが多いため、早期の発見が大切です。ここでは、発達障害を早期に発見するためのサインを紹介します。
自閉スペクトラム症(ASD)の症状は多様ですが、対人関係において幼少期から以下のような行動がみられることが多いです。
感覚が敏感な場合は、大きな音が苦手・お風呂やプールを嫌がる・人がたくさん集まっているところに行きたがらないなどの傾向がみられることもあります。
注意欠如多動性障害(ADHD)は、幼い子どもにみられる特徴と似た症状が現れることが多いですが、以下のような行動がある場合は注意が必要です。
一般的に、大人になるにつれて多動性や衝動性は軽減することが多いといわれていますが、不安や気分の落ち込み、浮き沈みなどの精神的な不調を伴うこともあります。
学習障害(LD)がある場合、以下のような行動がよくみられます。
手先が不器用だったり運動が苦手だったりなど、勉強面以外にも症状が出ることがあります。
ストレスを抱えやすく、不安やうつなどメンタル面での影響が出やすいのも、学習障害(LD)の特徴です。
チック症の場合、以下のような行動がよくみられます。
幼い子どもの約10〜20%に何らかのチック症の症状がみられるといわれています。
一時的に出現して数ヶ月でなくなる場合や、症状が軽くなったり重くなったりを繰り返す場合があるため、症状が現れたら早めに専門家へ相談しましょう。
吃音の場合、以下のような行動がよくみられます。
上記のような症状は、単独で起こることもあれば複数が併発することもあります。
しゃべるときに手足をばたつかせたり、身体を前屈させたり、顔をしかめたり、舌を出したりするなどの二次的な症状が現れることもあるでしょう。

さまざまな特性がある発達障害は、早期発見・早期療育が重要です。日常生活での困難を軽減できる可能性があるため、早めに専門家の診断を受けて対処しましょう。
ここでは、発達障害の支援・治療方法を紹介します。
療育とは、医療や訓練、教育、福祉などを通じて、障害と上手に付き合いながら社会に適応し、自立できるように育成する取り組みのことです。
明確に定義されているわけではなく、医療行為が行われなくても療育と呼ぶ場合もあります。
身体に障害のある子どもだけでなく、発達障害を含む知的障害や精神障害のある子どもが対象で、障害者手帳の有無にかかわらず利用できます。
育児に関する不安や困りごとがあるときは、児童相談所や市町村保健センター、かかりつけ医に相談してみましょう。
障害の程度や状況によって支援内容は異なりますが、施設などへの通所によって適切な訓練を行う「通所支援型」と、都道府県が実施主体となり、福祉型障害児入所施設・医療型障害児入所施設で受けられる「入所支援型」があります。
また、発達障害の子どもの場合は、「個別療育」と「集団療育」の2つがあり、言語聴覚士や作業療法士、保育士などの専門家が関わることもあります。
発達障害を根本から治療する薬はありません。
しかし、発達障害の種類や症状によっては、生活に大きな支障がある場合に症状の緩和が期待できる薬を処方されることもあるため、症状が強くて困っている場合は、医師に相談してみるのもひとつの方法です。
ただし、薬物療法を受ける際は、薬で何が改善できるのか、どのくらいの効果が期待できるのかを医師に質問し、理解しておかなければいけません。
環境の調整や日常生活の工夫も継続しつつ、適切な薬を服用して症状の緩和に努めましょう。
生まれつきの脳機能の発達に関連した発達障害には、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、チック症、吃音などのいくつかの種類があり、それぞれ症状が異なるため、いち早く特性に気づくことが重要です。
早期に発見し対処することは、本人のためになるだけでなく、家族や周囲の人にとってもよりよい支援につながります。
発達障害のサインがみられる場合は、早めに専門家へ相談し、適切なサポートを受けるようにしましょう。
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