落ち込んだときにできることは?気分の切り替え方や考え方を解説

更新日 2025年12月28日

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仕事や人間関係、日常のちょっとした出来事で落ち込んだと感じることは、誰にでもあるものです。

しかし、その落ち込みが長引いたり、ちょっとしたことで気持ちが沈んだりする状態が続くと、心が疲れてしまいます。

この記事では、精神的に落ち込んだときの原因や対処法、セルフケアの方法、考え方のヒントなどを、詳しく解説します。

落ち込んだ気持ちと上手に付き合う方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

「落ち込む」心の仕組みとは

気分が沈む原因は、単なる気の持ちようだけではありません。

心と身体には密接な関係があり、さまざまな要因が落ち込みのきっかけとなります。

ここでは、人それぞれ異なる「落ち込む」ときの心の仕組みについて、解説します。

落ち込んだときに心と体で起きていること

落ち込みを感じるとき、脳内ではセロトニン(幸せや落ち着きを感じるホルモン)やドーパミン(やる気や意欲を高めるホルモン)などの神経伝達物質のバランスが崩れることがあります。

こうした変化は、自律神経の働きやホルモン分泌にも影響し、睡眠の質や体調不良にもつながります。

こころと身体は密接に関わっていて、身体が疲れていると気持ちも沈みやすくなるのです。

落ち込んだ時に同時に起こりやすい症状とは

精神的に落ち込んでいるときは、個人差はありますが、以下のような症状を伴う場合があります。

  • イライラ
  • 焦り
  • 集中力の低下
  • 食欲の変化
  • 自己否定感
  • 身体的不調(頭痛・腹痛など)

なんとなく、身体の不調を感じているときは、こころの疲れが原因になっているかもしれません。

このような症状がある場合は、無理をせずに心療内科や精神科へ相談して、カウンセリングを受けましょう。

話すことで気持ちが楽になり、適切な治療へつながります。

ちょっとしたことで落ち込みやすい方の共通点

些細な出来事で落ち込みやすい方は、まじめで責任感が強い傾向があります。

失敗してはいけない、周囲に迷惑をかけてはいけないと思うあまり、自分を責めやすくなってしまいます。

また、過去の辛い経験が引き金になり、現在の出来事に過敏に反応してしまうケースもあるため、注意が必要です。

ストレスや環境の影響

生活環境の変化や人間関係、仕事のプレッシャーなどのストレスは、心のバランスを崩す大きな要因です。

環境が不安定だったり、安心できる居場所がなかったりする状況では、心は常に緊張状態に置かれています。

このような状態だと、わずかな出来事でも、強い不安や落ち込みに発展しやすい傾向があります。

気分が落ち込むのは自然なこと

人間には本来、感情の波があります。

嬉しいことがあれば気分があがり、悲しい出来事があれば落ち込む、これは自然な反応です。

大切なのは、感情の波に飲み込まれすぎず、落ち込みと上手く付き合っていく方法を知ることです。

落ち込んだときのセルフケア5選

気分が沈んでしまったとき、少しでも自分の気持ちが楽になるように、方法を知っておきましょう。

精神的に落ち込んでしまったときの対処法は、回復のための助けになります。

ここでは、簡単に始められるセルフケアを5つ紹介します。

思考を書き出して整理してみる

落ち込んだ時は、頭の中が不安や後悔、焦りなどの感情でいっぱいになり、思考がまとまりにくくなることがあります。

そんなときは、紙やノート、スマートフォンのメモ機能などを使って、感じたことや考えていることをそのまま書き出してみましょう。

どうして自分はこんなに落ち込んでいるのか、本当はどうしたいのか、自分の思考を言語化することで、客観的に捉えやすくなります。

書くことにより感情が外に出ていき、気持ちが整理されていく効果も期待できます。

また、書いた内容を数日後に読み返すことで、自分の変化に気づくきっかけになることもあります。

文章にしようとする過程で、自分でも気づいていなかった本音や価値観を発見するかもしれません。

身体を動かす対処法

落ち込みによって気分が沈むと、身体にも力が入らず、呼吸が浅くなりやすいものです。

深呼吸や軽いストレッチを取り入れることで、自律神経のバランスを整え、心身の緊張を和らげることができます。

例えば、腹式呼吸を意識してゆっくり息を吸う、吐くを繰り返すだけでも、自律神経に良い影響を与えると考えられています。

軽い運動は、脳内のセロトニンやエンドルフィン(幸福感や鎮痛効果をもたらすホルモン)など、気分を安定させるホルモンの分泌を促すともされていて、習慣化することで落ち込みの予防にも役立ちます。

運動が苦手な方は、外の空気を吸う、景色を眺めるなど、視点を変えるだけでも構いません。

小さな達成感を積み重ねる習慣

落ち込んでいると、日常の些細なことすらできなかった、今日は何もしていないと感じて更に落ち込んでしまうことがあります。

しかし、例えば「起き上がった」、「着替えた」など、小さな行動をしているはずです。

そうした行動を、できたこととして意識的に認識し、記録していくと、達成感や自己肯定感を取り戻すことにつながります。

気持ちの変化や行動の積み重ねが視覚的に確認できて、前向きな気持ちを支えてくれるため、手帳やアプリに記録するのがおすすめです。

自分に対する期待値を少し下げて、今できることを徐々に増やしていくことを意識しましょう。

誰かに話すことで気持ちが軽くなる

心の中に溜め込んだ思いや不安を言葉にすることは、それだけで大きな癒しの効果があります。

誰かに話すことで自分の気持ちを整理できたり、感情を自覚したりすることもあります。

相手にアドバイスを求めるだけでなく、ただ聞いてもらうだけで十分です。

話す相手は、家族や友人はもちろん、医療機関へ相談するのもひとつの方法です。

スマートフォンやSNSとの距離を見直す

SNSやニュースアプリを通じて膨大な情報が手に入る一方で、比較や不安、焦りを感じる原因にもなっているのではないでしょうか。

特に落ち込んでいるときは、他人の投稿がまぶしく見えて自分と比較してしまったり、自分を責める材料になったりすることもあります。

そんなときは、意識的にスマートフォンやSNSから距離を取ってみましょう。

通知をオフにする、使用時間を短くしてみるなどの工夫をして、どのような変化があるかを試してみてください。

デジタル機器の代わりに、本を読む、音楽を聴く、散歩をするなど、他のことをする時間を過ごしてみましょう。

情報から距離を取ることで、自分の内面と向き合う時間が持てる可能性があります。

落ち込みやすいときに考えられる精神疾患と特徴

気分の落ち込みが続く場合、精神疾患が原因である可能性もあります。

ここでは、落ち込みに関係する代表的な疾患と特徴を解説します。

うつ病

うつ病は、持続的な気分の落ち込みや無気力感が特徴の精神疾患です。

主な症状は、憂鬱な気分、興味や喜びの喪失、極度の疲労感、集中力の低下、自責感、不眠または過眠、食欲の変化、死について考える希死念慮などが挙げられます。

うつ病は、脳内のセロトニンやノルアドレナリン(精神状態や感情に影響を与えるホルモン)などの神経伝達物質の機能異常が関係していると考えられていて、単なる気分の落ち込みとは異なり、治療が必要な病気です。

仕事や家庭、学校生活に支障をきたすことも多く、症状が2週間以上続く場合は、医療機関の受診が推奨されます。

(参照:「こころの情報サイト うつ病」国立精神・神経医療研究センター)

うつ病については、以下の記事でも解説しています。

うつ病かも……何科を受診すればいいの?初めての病院選びと治療の流れをわかりやすく解説

適応障害

適応障害は、ある特定の出来事や状況(例:引っ越し、転職、失恋、いじめなど)に上手く適応できず、精神的・身体的な不調が現れる状態です。

気分の落ち込みのほか、不安、焦燥感、怒りっぽさ、涙もろさ、無気力、体調不良などが現れることがあります。

適応障害はうつ病とは異なり、原因となるストレス因子が明確であることが特徴です。

ストレス要因が軽減すれば、短期間で改善するケースもあります。

反対に、長期間にわたりストレス環境が続くと、うつ病や他の精神疾患へ移行するリスクもあるため、早期の対応が望まれます。

適応障害については、以下の記事も参考にしてください。

適応障害の治療方法は?クリニックでの治し方と自分でできる対処法を解説

双極性障害

双極性障害とは、うつ状態と躁状態(気分が異常に高揚した状態)を繰り返す精神疾患です。

うつ状態では、うつ病と同様の気分の落ち込みや無気力、不眠などが見られます。

しかし、一定期間後に一転して気分が高揚し、眠らずに活動し続ける、過剰な自信、浪費、多弁などの症状を伴う躁状態に切り替わります。

この気分の波が大きいことが双極性障害の特徴であり、うつ病と誤診されやすい病気です。

適切な診断と薬物療法によるコントロールが不可欠であり、自己判断で治療を中断すると、再発や悪化のリスクが高まります。

(参照:「こころの情報サイト 双極性障害(躁うつ病)」国立精神・神経医療研究センター)

不安障害・パニック障害

不安障害は、日常生活に支障をきたすほどの強い不安を感じる状態で、パニック障害、社交不安障害(対人恐怖症)、全般性不安障害などを含みます。

パニック障害では、突然強い動悸や息苦しさ、めまい、死の恐怖などに襲われるパニック発作が起こるのが特徴です。

これらの障害では、不安や恐怖が慢性的に続くため、気分が沈んだり、外出を避けるようになったりして、生活の範囲が狭まっていく傾向があります。

不安障害が長期化すると、うつ状態を併発することもあります。

(参照:「こころの情報サイト 不安症」国立精神・神経医療研究センター)

不安障害については、以下の記事でも解説しています。

不安障害は治るのか?自力での対処法と病院での治療方法について解説

精神的に落ち込んだときの考え方

精神的に落ち込んだときは、無理に元気を出そうとするのではなく、「今は辛い状態にある」と自分の感情を認めることが大切です。

ここでは、落ち込んだときの考え方について解説します。

落ち込む自分を否定しない

落ち込んでいる自分に対して否定的になると、ますます辛くなってしまいます。

辛いときは誰にでもあり、今落ち込んでいる気持ちも自然なことだと、肯定して受け止めましょう。

落ち込む感情は、ストレスや疲労、人生の変化に対する自然な反応であり、異常なものではありません。

むしろ、自分が抱えている状況に対して、真剣に向き合っている証拠でもあります。

ネガティブな気持ちを抑え込もうとするよりも、認めてあげることで、心が徐々に軽くなっていきます。

支えてくれる周囲や環境の力を借りる

落ち込んでいるときに孤独を感じると、余計につらくなってしまうため、周囲の力を借りましょう。

こんな小さなことで相談していいのか、迷惑をかけてしまうのではと、躊躇うかもしれませんが、信頼できる相手に話すことは、感情を整理して安心感を得るうえでもとても効果的です。

身近な家族や友人、職場の産業医や学校のスクールカウンセラー、公共の相談窓口など、話を聞いてくれる環境がある場合は頼りましょう。

また、医療機関を受診することも重要な選択です。

助けを求めることは、決して弱さではなく、自分を大切にする行動のひとつです。

小さな感情の変化に気付ける習慣をもつ

落ち込みを早めに対処するためには、自分の感情の変化に敏感になることが重要です。

毎日のルーティンに気分を振り返る時間を作る、簡単な日記をつける、体調や睡眠の質を記録するなどの習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか。

気づかないうちに蓄積しているストレスや、心の疲れを把握しやすくなるためおすすめです。

また、感情の起伏に影響を与えるきっかけやタイミングがわかるようになると、落ち込む前に意識的に対策を取ることも可能になります。

自分の小さな変化に気付く力は、自身を丁寧に扱うための第一歩であり、深刻な落ち込みや再発の予防にもつながります。

落ち込みは「向き合い方」で変えられる

落ち込んだ時の感情は、誰もが抱える可能性のある自然な心の反応なため、否定しなくてもよいのです。

感情を抑え込もうとせず、受け入れて、必要な時は休養やサポートを求めることが、心の健康を守るための助けになります。

もし、ちょっとしたことで落ち込みが続くと感じるならば、それは心からのサインかもしれません。

セルフケアや周囲の支援で回復できることも多い一方で、辛さが長く続く場合は医療機関へ頼ることも検討しましょう。

落ち込みと上手に付き合っていくためには、日々の小さな気づきを大切にしながら、自分に優しく向き合っていくことが、心の健康につながります。

オンラインカウンセリングサービスの『かもみーる』は、お悩みに合わせて医師や心理士を選んでご相談いただけます。

気持ちが思い通りにならなくて落ち込む、誰かに話を聞いてほしいなど、ご希望に対応いたします。

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