心療内科の診断書は、休職や休学の手続き、公的制度の申請などにおいて、現在の状態を客観的に伝えるための大切な書類です。
ただし発行までの流れや注意点を理解していないと、思ったより時間がかかったり、提出先で使えなかったりすることもあります。
この記事では、心療内科の診断書について詳しく解説します。
診断書の役割や必要な場面、発行にかかる期間、注意点などをまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
心療内科の診断書とは?

心療内科の診断書は、心や体の不調について、医師が診察結果をもとに医学的な見解を示した書類です。
主に会社や学校、公的機関などに対して、現在の状態や療養の必要性を伝える目的で使用されます。
ここでは診断書に記載される内容や、診断書に記載できないことについて解説します。
診断書に記載される内容
心療内科の診断書には、患者さんの現在の状態を説明するために必要な情報が記載されます。
決まったフォーマットがあるわけではありませんが、代表的な項目は以下の通りです。
- 病名
- 療養が必要と考えられる期間
- 就労や通学が可能かどうか
- 勤務や学習における配慮事項
診断書には病名や療養期間だけでなく、仕事や学業を続ける場合に配慮が必要な点が書かれることもあります。
具体的には、「長時間労働を避ける」「夜勤を控える」「対人業務の負担を減らす」「短時間勤務が望ましい」など、日常生活への影響を考えた内容です。
診断書の内容は、患者さんの希望だけで決まるものではありません。
診察時の様子やこれまでの経過を踏まえ、医師が医学的な判断としてまとめるものです。
診断書に記載できないこと
心療内科の診断書には、記載できない内容もあります。
特に注意したいのが、将来予測に関する内容です。
例えば「いつ完全に復職できるか」「今後必ず症状が改善するか」といった見通しは、診断書には書かれません。
心の状態は変化しやすく、現時点で先の経過を断定することが難しいためです。
会社や学校から復職や復学の時期を明確に示すよう求められることもありますが、診断書に記載されるのは、あくまで現在の状態をもとにした医師の判断内容です。
「この時期以降であれば可能と考えられる」といった表現にとどまり、最終的な判断は提出先に委ねられます。
また、人事異動の指示や評価、配置の決定など、組織の運営に関わる判断も診断書には含まれません。
診断書は治療や療養の必要性を伝えるための書類であるため、その役割の範囲を理解して利用することが大切です。
心療内科の診断書が必要になる場面

心療内科の診断書が必要になる場面として、以下が挙げられます。
- 学校の休学・復学・行事の参加免除
- 職場の休職・復職・業務内容の調整
- 自立支援医療制度の申請
- 障害年金の申請
- 精神障害者保健福祉手帳の申請
ここでは上記5つの場面についてそれぞれ解説します。
学校の休学・復学・行事の参加免除
学校生活において心療内科の診断書が必要になるケースとして、休学・復学・行事の参加免除などが挙げられます。
例えば心の不調により長期間学校に通えない場合、休学の手続きを行う際に診断書の提出を求められることがあります。
また、復学が可能かどうかを判断する材料として、診断書が使われるケースも少なくありません。
そのほか、体育の授業や修学旅行、文化祭などの行事への参加が難しい場合にも診断書が必要になることがあります。
定期試験で別室受験や時間延長などの配慮を希望する場合も同様です。
学校側は生徒の健康状態を把握したうえで適切な対応をとる必要があるため、医師の意見が重要になります。
診断書には『休学診断書』や『復学診断書』などの種類があるため、目的に合わせて発行してもらうことになるでしょう。
職場の休職・復職・業務内容の調整
職場においても、休職・復職・業務内容の調整などのために診断書が使われます。
心の不調が原因で業務に支障が出ている場合、欠勤や休職の申請時に診断書の提出が必要になる場合が多いです。
また、治療が進み職場に戻るタイミングでは、復職が可能かどうかを示す診断書が必要になることもあります。
この際、フルタイム勤務が難しい場合には、短時間勤務や業務内容の制限といった配慮事項が書かれることもあります。
職場で主に使われるのは『休職診断書』や『復職診断書』などで、目的に応じた診断書の発行が必要です。
会社側は、受け取った診断書の内容をもとに労務上の対応を検討することになります。
▶適応障害の休職期間の目安は?休職までの流れや療養期間中の過ごし方について解説
自立支援医療制度の申請
自立支援医療制度を利用する際にも、心療内科の診断書が必要です。
自立支援医療制度とは、病気の治療にかかる医療費の自己負担を軽減する公費負担医療制度のことです。
保険適用の医療費の自己負担割合が3割から1割にまで軽減され、さらに収入や症状に応じて月ごとの負担額に上限が設けられます。
申請には、医師が作成した診断書の提出が必要です。
通常の診断書とは様式が異なる場合が多いため、事前に自治体の窓口で書類を確認することが大切です。
障害年金の申請
障害年金の申請においても、心療内科の診断書が必要です。
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事に制限が生じた場合に、年齢に関係なく受け取ることができる年金制度です。
申請時には、障害年金専用の診断書を医師に作成してもらう必要があります。
この診断書には、症状の内容だけでなく、日常生活や社会生活への影響についても詳しく記載されます。
内容が審査の判断材料となるため、通常の診断書よりも情報量が多い点が特徴です。
書類の準備や手続きには時間がかかるため、余裕をもって医師に相談しましょう。
精神障害者保健福祉手帳の申請
精神障害者保健福祉手帳の申請にも、心療内科の診断書が必要となります。
この手帳は、精神的な障害によって日常生活や社会生活に長期的な制約がある方を対象とした制度です。
取得すると、税金の控除や公共料金の割引、各種福祉サービスの利用など、生活を支える支援を受けられます。
申請には、精神障害者保健福祉手帳専用の診断書が必要となります。
また精神障害者保健福祉手帳は、必ずしも重い障害がある人だけのものではありません。
生活のしづらさを軽減するための制度として、医師と相談しながら申請を検討するとよいでしょう。
心療内科での診断書のもらい方

心療内科で診断書をもらう一般的な流れは以下の通りです。
- 心療内科を受診する
- 診断書が必要な旨を伝える
- 診断書を受け取る
ここでは上記3つのステップについてそれぞれ解説します。
心療内科を受診する
診断書をもらうためには、まず心療内科を受診する必要があります。
診断書は医師の診察にもとづいて発行されるため、受診せずに書いてもらうことはできません。
受診前には、「いつ頃から症状が出ているか」「日常生活や仕事・学校でどのようなことに困っているか」などを簡単に整理しておくと、診察がスムーズになります。
また、診断書を当日発行可能かどうかは医療機関によって異なります。事前にホームページなどで確認しておくとよいでしょう。
なお、ストレスによる心身の不調の場合、心療内科だけでなく精神科でも相談や診断書の発行が可能です。
心療内科はストレスなどが原因で体にも不調が出ている場合に向いており、精神科は気分の落ち込みや不安など心の症状が中心の場合に適した診療科です。
どちらか迷った場合は、心療内科と精神科のどちらも標榜しているクリニックで相談するといいでしょう。
診断書が必要な旨を伝える
診察を受ける際には、診断書が必要であることを医師にきちんと伝えることが重要です。
医師は診察内容をもとに、診断書を発行できるかどうかを判断します。
例えば休職や休学を考えている場合は、その理由や現在のつらさ、どのような支障が出ているかを具体的に説明しましょう。
また、診断書の提出先や使用目的も伝えておく必要があります。
会社提出用なのか、学校用なのか、制度の申請なのかによって、記載内容や様式が変わることがあるためです。
医療機関によっては、診断書専用窓口での手続きが必要になる場合もあります。
申込書への記入が必要なケースや診断書の様式の提出などが求められるケースもあるため、不安な場合は予約時に確認しておくとよいでしょう。
診断書を受け取る
診断書は当日受け取れる場合もあれば、郵送対応となる場合もあります。
発行まで少し時間がかかるケースもあるため、いつ頃受け取れるのか、受け取り方法は窓口か郵送なのかなどをその場で確認しておくとよいでしょう。
受け取りの際には、本人確認書類や引換書などが必要になります。
本人以外が受け取る場合は、委任状や身分証のコピーが求められることもあります。
必要なものは医療機関ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。
診断書の発行にかかる期間

心療内科の診断書は、受診当日にすぐにもらえるとは限りません。
ここでは診断書の発行にかかる期間や即日発行できるケースなどについて解説します。
複数回の受診が必要になるケースが多い
心療内科では、診断書の発行までに複数回の受診が必要になるケースが多いです。
心の症状は日によって変化しやすく、一度の診察だけでは状態を正確に把握できない場合があるためです。
例えば不眠や気分の落ち込みが一時的なものなのか、継続的な不調なのかは、経過を見なければ判断が難しい場合があります。
また、診断書は医学的な判断を示す責任のある書類です。
医師は、患者さん本人や提出先に不利益が出ないよう、症状の経過や生活への影響を確認したうえで慎重に書類を作成します。
そのため、数回の診察や一定期間の通院を経てから発行されることも珍しくありません。
初診で即日発行できるケース
状況によっては、初診で診断書が即日発行されることもあります。
例えば症状がはっきりしており、早急な休養や環境調整が必要だと医師が判断した場合です。
また、過去に別の医療機関で治療を受けていた履歴があり、紹介状や投薬記録などの資料を持参している場合も、判断材料が揃っているとして即日発行されることがあります。
ただし、すべての医療機関が即日対応しているわけではありません。
医療機関の規模や事務手続きの都合により、作成に数日から数週間かかることもあります。
診断書がすぐに必要な場合は、予約時に発行までの目安を確認しておくとよいでしょう。
診断書の発行を断られてしまうケース
診断書の発行が難しく、当日の発行を断られてしまうケースもあります。
具体的には以下のようなケースです。
- 症状があいまいで医学的な判断ができない場合
- 医療機関の方針として初診での診断書発行をしていない場合
- 医学的判断が不可能な場合
- 患者に病名を知らせるのが好ましくない場合
そのほか、診断書の使用目的が不明確であったり、不正利用の可能性が疑われたりする場合にも、医師が発行を断ることもあります。
必要な理由や提出先を正確に伝え、医師と相談しながら進めることが大切です。
心療内科での診断書発行のために押さえておくべきポイント

心療内科での診断書発行のために押さえておくべきポイントとして、以下の3つが挙げられます。
- 診断書発行にかかる費用
- 診断書の提出は発行日に注意が必要
- 診断書をもらうために診察で伝えるべき情報
ここでは上記3つのポイントについてそれぞれ解説します。
診断書発行にかかる費用
心療内科の診断書は保険適用外で、全額自己負担となります。
これは診断書の作成が治療行為ではなく、医師が医学的な意見を文書としてまとめる事務的な業務にあたるためです。
そのため、通常の診察代とは別に費用がかかります。
金額は医療機関ごとに異なり、診断書の内容や用途によっても差があります。
一般的な費用相場は以下の通りです。
- 一般的な診断書:4,000~6,000円程度
- 休職・休学診断書:4,000~6,000円程度
- 復職・復学診断書:4,000~6,000円程度
- 自立支援医療制度用診断書:5,000~7,000円程度
- 障害年金用診断書:6,000~15,000円程度
- 精神障害者保健福祉手帳用診断書:5,000~6,000円程度
簡単な内容であれば比較的負担は軽く済みますが、公的制度の申請など、記載項目が多い診断書では費用が高くなる傾向があります。
上記はあくまでも目安として、正確な費用については診断書の発行を依頼する医療機関に確認しましょう。
診断書の提出は発行日に注意が必要
診断書には明確な有効期限が書かれていないことが多いですが、提出先が独自に条件を設けている場合があります。
例えば「発行から〇日以内のものに限る」といったルールがあるケースです。
この条件を知らずに古い診断書を提出すると、受け取ってもらえない場合があります。
特に会社の休職手続きや各種制度の申請では、発行日が重視されることがあります。
そのため診断書を依頼する前に、提出先の条件を確認しておくことが大切です。
診断書をもらうために診察で伝えるべき情報
診断書を作成してもらうためには、診察時に必要な情報をしっかり伝えることが重要です。
医師は、患者さんの話をもとに判断するため、情報が不足していると必要な内容が十分に反映されないことがあります。
具体的には以下のような情報を整理しておくとよいでしょう。
- 現在の症状
- 日常生活や仕事・学校などで困っていること
- 発症時期やきっかけとなった出来事
- 診断書の提出先・使用目的
事前に情報を整理しておくことで、医師とのやり取りがスムーズになり、適切な診断書の作成につながります。
心療内科で診断書をもらうためには症状や目的を正確に伝えることが大切
心療内科の診断書は、現在の病状によって日常生活や社会活動に影響が出ていることを医師が証明する書類です。
学校や職場での休学(休職)・復学(復職)だけでなく、自立支援医療制度や障害年金、精神障害者保健福祉手帳など、公的な支援を受ける際にも必要になることがあります。
診断書をもらうには、まず心療内科を受診し、診察で診断書の必要性や目的をしっかり伝えることが大切です。
症状や生活への影響、提出先などの情報を整理しておくことで、医師とのやりとりもスムーズになるでしょう。
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