投稿日 2026年05月03日
生理前になると、イライラや気分の落ち込み、頭痛や腹痛などの不調が続く「PMS(月経前症候群)」は、多くの女性が経験するものです。
心や身体にさまざまな症状が現れますが、現れ方や程度には個人差があり、「婦人科と心療内科、どっちを受診したらいいの?」「そもそも病院を受診すべき?」と悩む方は少なくありません。
この記事では、PMSで受診先を迷ったときの選び方や、婦人科と心療内科それぞれを受診すべき症状・治療法などを詳しく解説します。
多くの女性に見られるPMSは軽く考えられがちですが、本人にとってはとてもつらいものです。
他の病気が隠れている可能性もあるため、放置せず早めの相談を検討しましょう。
PMSは婦人科と心療内科どっち?【受診先チェック】
PMSの受診先チェックについて、以下に当てはまる方は受診を検討しましょう。
▼婦人科が向いている場合
・腹痛・むくみ・乳房の張りがつらい
・生理痛や月経不順がある
▼心療内科・精神科が向いている場合
・イライラや気分の落ち込みが強い
・人間関係や仕事に影響が出ている
PMSは婦人科と心療内科どっちを受診する?

PMSは婦人科・心療内科どちらでも治療が可能ですが、迷ったときは「自分の症状」に注目して受診先を考えてみましょう。
ここでは、婦人科が適しているケース、心療内科・精神科が適しているケース、そして迷ったときの選び方について解説します。
身体症状が強い場合:婦人科
PMSの症状の中でも、以下のような身体の不調が中心となっている場合は婦人科の受診を検討するといいでしょう。
- 腹痛や下腹部の張り
- 頭痛
- むくみ
- 乳房の張りや痛み
- 強い眠気や倦怠感
- 生理痛の悪化
- 月経不順
PMSは女性ホルモンの変動と密接に関係しているため、婦人科では月経周期や体調の変化を確認しながら診察を行います。
問診を行い、必要に応じて検査を実施して、子宮や卵巣の病気など他の婦人科疾患が隠れていないかを詳しく調べることもあります。
精神症状が強い場合:心療内科・精神科
PMSでは身体症状だけでなく、気分の変動や不安などの精神症状が強く現れることがあります。
例えば、以下のような症状です。
- 強いイライラや怒りっぽさ
- 気分の落ち込み(抑うつ)
- 不安感や緊張感
- 情緒不安定(急に泣きたくなるなど)
- 集中力の低下
- 不眠や睡眠の質の低下
- 人間関係や仕事への支障
特に日常生活や仕事、人間関係に影響するほどの症状がある場合は、心療内科や精神科での相談を検討しましょう。
気分の落ち込みやイライラなど、心に現れる症状が強い場合は、PMDD(月経前不快気分障害)の可能性も考えられます。
受診に迷ったときの選び方
PMSの症状は身体と精神の両方に現れるため、どの診療科を受診するべきか迷ってしまうこともあります。
その場合は、「いちばんつらい症状はどちらか」を基準に考えて選ぶといいでしょう。
例えば腹痛やむくみなど身体症状が中心なら婦人科、気分の落ち込みやイライラが強い場合は心療内科を選ぶなどです。
どうしても迷って決められない場合は、まずは婦人科を受診し、身体の病気がないか確認してから今後の通院先について検討するといいでしょう。
また、病院に行くこと自体に抵抗がある人は、オンライン診療で相談するという選択肢もあります。
必ずしも最初から正しい診療科を選ぶ必要はなく、まずは相談しやすい医療機関でもいいので、放置せずに医師に相談することが大切です。
PMSとは?PMDDとの違い

PMSとPMDDはどちらも生理前のホルモン変動と関係する症状ですが、症状の重さや生活への影響の程度に違いがあります。
PMS(月経前症候群)は精神疾患ではなく、生理前に起こる身体的・精神的なトラブルのことです。
66.3%と、多くの女性がPMSを経験したことがあるといいます。
(参考:男女共同参画局『令和5年度 男女の健康意識に関する調査報告書』)
一方、PMDD(月経前不快気分障害)は、国際的な診断基準であるDSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)でも正式な病名として認められた精神疾患です。
うつ病と同じグループに入っており、月経がある女性の約5%程度に見られるとされています。
PMDDは、月経と関連して周期的に感情の不安定さやイライラが見られることから、双極性障害(躁うつ病)と間違われることもあります。
しかし、PMDDは双極性障害Ⅱ型(軽躁状態が中心で、うつ状態が長く続くタイプ)と併存することがあり、症状が重なると、よりつらさを感じてしまいます。
▶PMSとは?症状・原因・治療方法などについてわかりやすく解説
▶PMSがひどいとPMDDに進行する?症状や原因、対処法や治療法を紹介
婦人科でのPMSの検査や治療法について

ここでは、婦人科で行われる主な検査や治療法について解説します。
婦人科での検査
PMSは血液検査などで確定する病気ではなく、「生理前に症状が現れ、生理が始まると軽くなる」という周期的な変化や、症状から判断します。
婦人科では、問診で症状の経過を詳しく確認し、必要に応じて超音波検査や血液検査などの検査を行います。
検査は、PMSに似た症状を引き起こす他の病気(甲状腺の病気や婦人科疾患など)がないかを確認するためにも大切なものです。
主な検査や確認内容は以下の通りです。
問診 | 生理周期、症状が出る時期、症状の種類や強さ、生活への影響などを詳しく確認 |
血液検査 | ホルモンバランスの状態や貧血、甲状腺機能などを確認 |
超音波検査(エコー検査) | 子宮や卵巣の状態を確認し、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科疾患の有無を確認 |
これらの結果をもとに、症状がPMSによるものか、あるいは他の婦人科疾患によるものかを判断し、治療方針を決めます。
婦人科での治療法
PMSは女性ホルモンの変動が関係しているため、ホルモンバランスを整える治療や症状を和らげる薬物療法が中心になります。
症状が軽い場合は生活習慣の改善やサプリメントなどで様子を見ることもありますが、日常生活に支障が出ている場合は、他の病気ではないことを確認するためにも医療機関で相談することが大切です。
ここでは代表的な治療方法について解説します。
ホルモン療法
PMSの治療として広く行われている方法の一つが低用量ピルなどを用いたホルモン療法です。
PMSは排卵後から生理前にかけてのホルモン変動が関係しているため、ホルモン療法によってこの変動を安定させることで症状の軽減を目指します。
漢方薬
体質や症状の特徴に合わせて漢方薬が処方されることもあります。
PMSでよく使われる漢方薬には次のようなものがあります。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん):イライラや不安感、情緒不安定などの精神症状が強い場合
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):冷えやむくみ、貧血傾向がある場合
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):血行不良や下腹部の不快感がある場合
漢方薬は体質や症状に合ったものを選ぶことが重要であるため、自己判断で市販薬を使用するのではなく、婦人科で相談しながら処方を受けることが大切です。
この他にも、頭痛や腹痛がある場合は鎮痛剤が処方されることもあります。
心療内科・精神科でのPMSの検査や治療法について

ここでは、心療内科・精神科で行われる主な検査や治療について解説します。
心療内科・精神科での検査
PMSは身体症状だけでなく、気分の落ち込みやイライラ、不安感などの精神症状が強く現れることがあります。
心の症状が日常生活や仕事、人間関係に影響する場合には、心療内科や精神科での相談を検討してみましょう。
心療内科や精神科では、以下のような問診・検査を行います。
問診 | 症状が現れる時期、生理周期との関係、症状の強さ、日常生活への影響などを詳しく確認 |
心理検査・質問票 | 抑うつや不安の程度を評価するための質問票、PMSチェックリストなど |
診察を踏まえて、PMSやPMDDによる症状なのか、他の精神疾患が関係していないかなどを判断します。
心療内科・精神科での治療法
PMSの精神症状はホルモン変動だけでなく、ストレスや生活環境などさまざまな要因が関係していることがあるため、心理面へのアプローチと薬物療法を組み合わせた治療を検討します。
ここでは、心療内科・精神科で行われる主な治療法について解説します。
心理療法
心理療法は、ストレスへの対処方法や思考のパターンを見直しながら、症状を和らげていく治療法です。
例えば、以下のような方法があります。
- ストレスの原因や生活状況の整理
- 感情のコントロール方法の習得
- 思考の偏りを見直す「認知行動療法(CBT)」
- PMSの症状への対処法の理解
心療内科では、患者さん一人ひとりのストレスや生活環境に向き合って治療が行われます。
ストレスマネジメントのアドバイス、生活での工夫なども指導してもらえるため、ストレスに対処する力が高まり、日常生活が送りやすくなる効果も期待できます。
薬物療法
精神症状が強い場合には、症状軽減のために薬物療法を行うことがあります。
特にPMDDでは、抑うつや不安、イライラなどの症状が強く現れることがあるため、抗うつ薬などが使用されるケースがあります。
PMSやPMDDで用いられる主な薬は、以下の通りです。
- 抗うつ薬(SSRIなど)……気分の落ち込みや不安感、イライラを和らげる
- 抗不安薬……強い不安や緊張感がある場合に短期間使用
薬物療法は症状をコントロールするためのものであり、単独ではなく、心理療法や生活習慣の改善と組み合わせて治療を行います。
PMSで病院を受診する目安

PMSの症状がつらい場合は、医療機関への相談を検討しましょう。
PMSで受診を検討する目安は、以下の通りです。
- 気分の落ち込みや不安が強い
- 仕事や学校など日常生活に支障が出ている
- 市販薬や生活改善で症状が改善しない
- 腹痛や頭痛、むくみなどの身体症状が強い
- 生理前の症状で生活の質が低下している
- 症状がどんどん強くなる
上記に当てはまらない場合でも、「気分が落ち込んでつらい」と感じるのであれば、医療機関で相談できます。
PMSは多くの女性が経験し、繰り返し起こることから「こんなことで相談していいのかな」「病院を受診するほどじゃない」と思ってしまいがちですが、毎月起こるものだからこそ、我慢せずに治療することが大切です。
PMSを放置するとどうなる?
PMSの症状が軽い場合は、生活習慣の見直しやセルフケアである程度改善することもあります。
しかし、強い症状が出ているのに放置すると、日常生活に支障が出てしまうかもしれません。
また、精神症状が悪化してPMDDを引き起こす可能性もあるため、放置せずに相談することが大切です。
PMSで診断書はもらえる?
PMSと診断された場合、婦人科・心療内科のいずれも医師に診断書を発行してもらうことが可能です。
診断書の内容によっても変わりますが、発行には3,500〜7,000円ほどの費用がかかるため、事前に確認しておきましょう。
PMSを和らげるために日常生活でできる対策

PMSによる症状を和らげるためには、医療機関での治療だけでなく、日常生活の過ごし方を工夫することも大切です。
以下のような対策を意識してみましょう。
- 適度な運動
- 禁煙
- 飲酒を控える
- 食生活の改善
ウォーキングや軽いストレッチなどの運動は血行を促進し、ストレスの軽減にも役立ちます。
運動が気分転換になり、イライラや気分の落ち込みなどの症状を和らげる効果も期待できるでしょう。
喫煙はホルモンバランスや血流に影響を与え、PMSの症状を悪化させる要因になると考えられているため、少しずつ本数を減らしたり、禁煙を検討してみましょう。
アルコールは一時的に気分を和らげてくれるように感じるかもしれませんが、PMSを悪化させる原因として知られているため、摂取量を見直すことが大切です。
また、栄養バランスのよい食事を意識することもPMS対策の一つです。
特に、精神の安定やホルモンバランスの調整に役立つカルシウム、マグネシウム、ビタミンB群などは、不足しないようにしましょう。
つらいPMSは我慢せず医療機関で治療することが大切
PMSで婦人科と心療内科のどちらを受診しようか迷ったときは、身体症状が中心なら婦人科、精神症状が強い場合は心療内科や精神科の受診を検討するといいでしょう。
婦人科疾患やPMDDといった他の病気が隠れている可能性もあるため、自己判断せずに一度医療機関で診てもらうことが大切です。
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対面診察だけでなくオンライン診療にも対応しているため、通院が難しい場合でも相談が可能です。
PMSのつらい症状にお悩みの方は、我慢せずお気軽にご相談ください。
