産後うつとは?症状・原因・治療方法などについて解説

更新日 2026年01月19日

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出産後に理由もなく気分が落ち込んだり、不安が強くなったりする状態が長引くと、日常生活に支障が出ることがあります。

この状態は『産後うつ』と呼ばれるもので、出産という大きな出来事をきっかけに、心と体のバランスが崩れることで起こる症状です。

この記事では、産後うつの症状や原因などについて詳しく解説します。

産後うつの治療方法や周囲のサポート方法などについてもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

産後うつとは

産後うつとは、出産後しばらくしてから強い落ち込みや不安が続き、日常生活や育児に支障が出る状態を指します。

出産後はホルモンバランスの急激な変化や睡眠不足、さらには慣れない育児による疲れも重なります。

その影響で気分が落ち込んだり、何をしても楽しいと感じられなくなったりすることがあるのです。

一時的な気分の変化であれば自然に落ち着くこともありますが、産後うつの場合はつらい状態が長く続くのが特徴です。

症状が続くと、心だけでなく体調にも影響が出ることがあるため、早めに気づいて対応することが大切です。

また、産後うつは決して珍しいものではなく、出産後の女性なら誰にでも起こる可能性があります。

周囲の理解やサポート、早期治療が重要です。

産後うつとマタニティーブルーの違い

産後うつとマタニティーブルーの大きな違いは、症状が続く期間と重さにあります。

マタニティーブルーは、出産後すぐから数日〜2週間ほどの間に見られる一時的な気分の落ち込みのことです。

涙もろくなったり、不安を感じやすくなったりしますが、時間の経過とともに症状が治まっていくことが多いです。

一方、産後うつは出産から数週間〜数か月後に発症し、気分の落ち込みや不安がなかなか改善しません。

不眠や食欲の低下、強い不安感などが続き、日常生活に影響が出る点が特徴です。

マタニティーブルーのように自然に治まるケースは少なく、適切な対応をしないと症状が長引く可能性があります。

自己判断は難しいため、つらい状態が2週間以上続く、または生活に支障が出ていると感じた場合は、医療機関や相談窓口に相談しましょう。

産後うつの症状

産後うつでは、気分の落ち込みや強い不安といった精神的な症状に加え、疲れや不眠などの身体症状が同時に現れることがあります。

これらの症状は少しずつ出てくる場合もあれば、ある日突然強く感じる場合もあります。

特に注意したいのは、「気の持ちよう」や「一時的な疲れ」と思って我慢を続けてしまうことです。

症状が長引くと、育児をつらいと感じたり、自分を責めてしまったりする悪循環に陥ることもあります。

2週間以上つらい症状が続く場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

精神症状

産後うつの精神症状として、以下のようなものが挙げられます。

  • 気分の落ち込み
  • 趣味が楽しめなくなる
  • 物事に対する興味がなくなる
  • 母親として失格だと感じる
  • 育児に対する不安
  • 希死念慮

産後うつでは理由がはっきりしないまま憂うつな気分が続いたり、不安や焦燥感が頭から離れなくなったりするほか、ちょっとしたことで涙が出たり、以前は楽しめていたことに興味を持てなくなったりすることもあります。

また、「母親としてうまくできていないのではないか」「自分はダメな母親だ」と強く自分を責めてしまう傾向も見られます。

育児に対する自信を失い、赤ちゃんのお世話が怖く感じてしまう場合も珍しくありません。

中には、将来に希望が持てなくなったり、「いなくなりたい」と考えてしまったりするケースもあります。

このような精神症状が現れたら、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

身体症状

産後うつでは、精神症状とあわせて体にもさまざまな症状が現れます。

  • 寝つきが悪い
  • 夜中に目が覚めてしまう
  • 朝早く目が覚める
  • 眠りすぎてしまう
  • 食欲がわかない、または食べ過ぎてしまう
  • 疲労感が抜けない

特によく見られるのが睡眠関連の症状です。

赤ちゃんの夜泣きとは別に、眠ろうとしても寝つけなかったり、途中で何度も目が覚めたりすることがあります。

反対に、必要以上に眠ってしまう場合もあります。

また、十分に休んでいるはずなのに疲れが取れず、常に体が重くだるいと感じることも少なくありません。

体の不調が長引いていると感じたときも、産後うつの可能性を視野に入れ、早めに専門家へ相談することが大切です。

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産後うつの主な原因

産後うつの発症リスクを高める主な原因として、以下が挙げられます。

  • 妊娠前・妊娠中からあったうつ病
  • ホルモンバランスの急激な変化
  • 遺伝的要因
  • 慣れない育児での身体的負担
  • 育児に対する不安や環境の変化によるストレス

ここでは上記5つの原因についてそれぞれ解説します。

妊娠前・妊娠中からあったうつ病

妊娠前や妊娠中にうつ病を経験している場合、産後うつにつながりやすい傾向があります。

もともと気分の落ち込みや不安を感じやすい状態があると、出産後の大きな変化に心がついていけなくなることがあります。

妊娠中は体調の変化や将来への不安から、気分が不安定になりやすい時期です。

その状態が十分に整わないまま出産を迎えると、産後に症状が強まる恐れがあります。

うつ病を経験したことがある場合は、早い段階で医師や助産師に伝えておきましょう。

ホルモンバランスの急激な変化

出産後に起こるホルモンバランスの急激な変化は、産後うつの大きな要因の一つです。

妊娠中に分泌されていた女性ホルモンは、出産をきっかけに短期間で大きく減少します。

このホルモンバランスの変化は、体だけでなく、精神状態の安定にも影響を与えると考えられています。

理由もなく涙が出たり、不安が強くなったりするのは、こうした体の変化が関係している場合があるのです。

「気の持ちよう」ではなく、体の仕組みによる変化だと知ることが大切です。

遺伝的要因

家族にうつ病を経験した人がいる場合、産後うつのリスクが高まる可能性があると考えられています。

身近な血縁者にうつ病の既往があると、気分の落ち込みが起こりやすい体質や傾向を受け継ぐことがあります。

ただし、遺伝があるからといって必ず産後うつになるわけではありません。

あくまで「なりやすさ」に関係すると考えられています。

遺伝的な要因がある場合でも、環境やサポート体制によって心の状態は大きく左右されます。

家族にうつ病の既往歴がある場合は、事前にそのことを医療機関に伝えておくと良いでしょう。

慣れない育児での身体的負担

慣れない育児による体の疲れは、産後うつの引き金になることがあります。

産後すぐの赤ちゃんは、数時間おきの授乳やおむつ替えが必要です。

そのため、お母さんは慢性的な睡眠不足になりやすく、体力が回復しにくい状態が続きます。

そして体が疲れていると、気持ちも落ち込みやすくなります。

休みたいのに休めない状況が続くことで、徐々に心に余裕がなくなってしまうのです。

産後うつを防ぐためには育児を一人で抱え込もうとせず、周囲の手を借りたり、休める時間を確保したりすることが大切です。

育児に対する不安や環境の変化によるストレス

育児への不安や生活環境の大きな変化も、産後うつの原因の一つです。

初めての育児では、「これで合っているのか」「ちゃんと育てられているのか」と不安を感じる場面が多くあります。

さらに出産をきっかけに、生活リズムや家族関係が大きく変わることも少なくありません。

外出が減ったり、人と話す機会が少なくなったりすると、孤独感を覚えることもあります。

特にワンオペ育児などの周囲のサポートが少ない状況では、ストレスをため込みやすくなります。

こうした不安や環境の変化が重なることで、心の不調をきたしやすくなってしまうのです。

産後うつの治療方法

産後うつの主な治療方法は、精神療法と抗うつ薬の2種類です。

ここでは各治療方法の特徴について解説します。

精神療法

精神療法は、カウンセリングなどを通して気持ちを整理し、育児に対する不安やストレスを軽くしていく治療方法です。

医師やカウンセラーとの対話を通じて、不安やつらさを言葉にすることで、心の緊張を和らげていきます。

産後うつでは、「ちゃんとしなければ」「母親なのにできていない」と自分を責めてしまう考え方が強くなりがちです。

精神療法では、そうした考えに気づき、少しずつ受け止め方を変えていく手助けをします。

また、育児で困っていることやストレスの原因を整理し、現実的な対処法を一緒に考えていく点も特徴です。

話を聞いてもらうだけでも、「一人ではない」と感じられ、気持ちが軽くなることがあります。

抗うつ薬

抗うつ薬は、気分の落ち込みや不安が強い場合に用いられる治療方法です。

産後うつでは、気力がわかない状態や強い不安が続き、日常生活に支障が出ることがあります。

抗うつ薬はこうした症状を和らげ、精神状態を安定させる目的で処方されます。

抗うつ薬が必要かどうか、どの程度の期間使うかは個人差があるため、医師と話し合いながら治療を進めていきましょう。

産後うつは周囲の理解・サポートも重要

産後うつの治療は、薬の服用だけでなく、周囲の理解とサポートが欠かせません。

産後の落ち込みを「疲れているだけ」「そのうち良くなる」と軽く見てしまうと、本人はつらさを言い出せず、症状が長引くことがあります。

まずは「助けを求めて良い」と周囲が伝え、安心して頼れる環境を整えましょう。

また、家事や育児を一人で抱え込まない工夫をすることも大切です。

完璧を目指さず、後回しにできることは後回しにする、育児サービスを利用するなど、負担を減らす方法をパートナーや周囲の人々と一緒に考えましょう。

産後うつについて事前に知り、どんなサポートが助けになるかを話し合っておくと、いざというときに落ち着いて対応しやすくなります。

産後うつに関するよくある質問

産後うつに関するよくある質問をまとめました。

  • 産後うつになりやすい人の特徴は?
  • 産後うつは何科を受診すればいい?
  • 産後うつは薬なしで治る?

ここでは上記3つの質問についてそれぞれ解説します。

産後うつになりやすい人の特徴は?

産後うつになりやすい人の特徴として、以下が挙げられます。

  • 真面目で責任感が強い人
  • 完璧主義の人
  • 周囲に助けを求めるのが苦手な人
  • 助けを求められる人がいない人
  • マタニティーブルーを経験した人
  • 過去に精神疾患にかかったことがある人

上記に当てはまる場合、産後うつになりやすい傾向があります。

ただし、これらの特徴があるからといって必ず産後うつになるわけではありません。

傾向を知っておくことで、早めに対策や相談がしやすくなるでしょう。

産後うつは何科を受診すればいい?

産後うつの疑いがある場合は、産婦人科や心療内科、精神科を受診しましょう。

まずは、出産を担当した産婦人科に相談することをおすすめします。

産婦人科では出産後の体調管理が行われており、産後うつの初期症状にも対応可能です。

必要に応じて、専門の医療機関を紹介してもらえる場合もあります。

気分の落ち込みや不安が続く場合は、心療内科や精神科の受診も検討してみましょう。

心療内科では、心と体の両面から不調をみてもらえるため、育児ストレスが関係している場合にも相談しやすい特徴があります。

症状が重い場合や治療が長引いている場合には、より専門的な治療を受けられる精神科を受診すると良いでしょう。

産後うつは薬なしで治る?

産後うつは、症状の程度によっては薬を使わずに改善を目指すこともあります。

症状が軽い場合は、カウンセリングなどの精神療法や周囲のサポートによって回復が期待できる可能性があります。

ただし、症状が強く日常生活に支障が出ている場合は、抗うつ薬を使った治療が検討される場合が多いです。

医師と相談しながら、自分の状態に合った治療方法を選びましょう。

産後うつは症状が悪化する前に周囲のサポートを受けることが大切

産後うつは、出産後のホルモンバランスの変化や慣れない育児、環境の変化など、さまざまな要因が重なって起こると考えられています。

気分の落ち込みや不安、不眠、強い疲労感など、心と体の両面に症状が現れる点が特徴です。

主に精神療法や抗うつ薬などの方法で治療が行われますが、家族やパートナーなど、周囲の理解とサポートも欠かせません。

つらいと感じたときは周囲に頼るだけでなく、必要に応じて医療機関への相談も検討してみてください。

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臨床心理士・公認心理士を中心とした有資格者が相談に応じているため、産後うつでお悩みの方はぜひ利用を検討してみてください。

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