理由もなく落ち着かず「そわそわする」と感じるとき、自律神経の乱れが関係していることがあります。
過度なストレスや不規則な生活、季節の変化やホルモンの影響によって自律神経のバランスが崩れると、不安や焦燥感が強まり、心身に不調が出やすくなるのです。
この記事では、自律神経が乱れる原因や主な症状について解説します。
自律神経のバランスを整える対処法もまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
自律神経が乱れるとそわそわすることがある

自律神経の働きが乱れると、特に理由が思い当たらなくても「落ち着かない」「そわそわする」といった感覚に悩まされることがあります。
自律神経は交感神経と副交感神経のバランスで成り立ち、心身の安定を保っている身体のシステムです。
交感神経が優位になると体は緊張状態に入り、動悸や息苦しさを伴うことがあります。
一方で副交感神経が十分に働かないとリラックスできず、不安感や焦りが強まることがあるのです。
ここでは自律神経の乱れにより起こる精神症状・身体症状について解説します。
自律神経の乱れにより起こる精神症状
自律神経が乱れると、心の面にさまざまな不調が現れます。
- イライラ
- 不安感
- 焦燥感
- 疎外感
- 気分の落ち込み
- やる気が出ない
- 憂うつな気分
- 感情の起伏が激しい
代表的なのは不安感や焦燥感で、特に大きな出来事がなくても気持ちが落ち着かず、そわそわしてしまいます。
また、感情のコントロールが難しくなり、イライラしやすくなったり、気分が落ち込みやすくなったりしてしまうことも少なくありません。
さらに、集中力や判断力の低下も起こりやすく、仕事や勉強の効率が下がることがあります。
社会的な場面では、人との交流を避けたくなる傾向も見られ、孤立感が強まる場合もあります。
これらの精神症状は一過性ではなく慢性的に続くことも多く、生活全体の質を下げてしまうため注意が必要です。
特に不安や憂うつな気分が長期間続くと、うつ病や不安障害といった精神疾患へ発展するリスクもあるため、早めの対処が重要となります。
自律神経の乱れにより起こる身体症状
自律神経の乱れは精神的な不調だけでなく、身体にもさまざまな症状を引き起こします。
具体的な症状は以下の通りです。
- 動悸
- めまい
- だるさ
- 慢性的な疲労
- ほてり
- 不眠
- 便秘
- 下痢
- 微熱
- 耳鳴り
- 口の渇き
- 手足のしびれ
- 頻尿・残尿感
交感神経が過剰に働くと心拍数が上がり、動悸を覚えることがあります。
さらに過剰な発汗や手足のふるえ、口の渇きなどの症状が目立つことも少なくありません。
自律神経の乱れが慢性的に続くと、めまいや耳鳴り、頭痛、不眠といった症状が生活に支障を与え、疲労感や倦怠感を強める悪循環に陥ります。
自律神経失調症と不安障害の関係性

自律神経失調症と不安障害は、一見すると別の病気に思えますが、実際には深く結びついています。
どちらもストレスや心の負担が大きく関わり、交感神経と副交感神経のバランスが乱れることで心身に不調をもたらす病気です。
不安障害では強い心配や恐怖が主な症状ですが、その影響で動悸や息苦しさなど身体的な症状が出やすくなります。
一方、自律神経失調症では体の不調が目立ちますが、背景には強い不安がある場合も少なくありません。
つまり心と体は密接に結びついており、不安が自律神経の乱れを招き、その乱れがさらに不安を強めるという悪循環が起こるのです。
ここでは自律神経失調症と不安障害の関係性について詳しく解説します。
自律神経失調症とは
自律神経失調症とは、自律神経のバランスが崩れて体にさまざまな不調が現れる状態のことです。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、活動と休息の切り替えを担っています。
本来なら状況に応じて自然に働きが切り替わりますが、ストレスや生活リズムの乱れ、環境の変化が重なるとバランスが崩れやすくなります。
その結果、めまい、頭痛、吐き気、動悸、息苦しさ、冷えやのぼせ、胃腸の不調、不眠、倦怠感などさまざまな症状が出ることがあるのです。
自律神経失調症で特に特徴的なのは、検査をしても明確な異常が見つかりにくい点です。
にもかかわらず本人は強い不快感に悩まされ、日常生活に支障が生じます。
心身のどちらか一方だけでなく、両面に影響が現れるのがこの病気の特徴といえるでしょう。
不安障害とは
不安障害は、過剰な不安や心配が長く続き、生活に大きな影響を与える病気です。
誰でも緊張や不安を感じることはありますが、不安障害はその強さや持続時間が極端で、仕事や学業、人間関係に支障をきたすのが特徴です。
症状の現れ方にはいくつかの種類があり、例えばパニック障害では突然の動悸やめまいに襲われ「死んでしまうかもしれない」と感じるほどの不安を経験します。
社会不安障害では人前での発言や発表に強い恐怖を覚え、日常生活に支障が出ることもあります。
さらに強迫性障害では、合理的でないと分かっていながらも確認行為を繰り返さずにはいられません。
このように不安障害は主に心の症状が中心ですが、同時に動悸や吐き気など体の症状を伴う場合もあります。
▶不安障害の種類別の症状・診断基準┃セルフチェックや治療法も解説
▶強迫性障害は何科を受診?精神科・心療内科の特徴と選び方を解説
自律神経失調症と不安障害はどう関係している?
自律神経失調症と不安障害は、互いに影響し合う関係にあります。
不安が慢性的に続くと体は常に緊張状態となり、自律神経が疲弊してバランスが崩れてしまいます。
この状態が長期化すると、頭痛やめまい、胃腸不良、不眠など体の不調が慢性化し、さらに不安が強まるという悪循環に陥ってしまうのです。
不安障害では心の症状が中心、自律神経失調症では体の症状が中心と違いはありますが、根本には同じ「心身のバランスの乱れ」が存在しています。
自律神経が乱れる原因

自律神経のバランスはとても繊細で、ちょっとした生活習慣や環境の変化でも乱れることがあります。
自律神経が乱れる主な原因は以下の通りです。
- 生活リズムの乱れ
- 過度なストレス
- ホルモンバランスの乱れ
- 季節の変化
ここでは上記4つの原因についてそれぞれ解説します。
生活リズムの乱れ
自律神経の乱れを引き起こす主な原因の一つとして、生活リズムの乱れが挙げられます。
人間の体には体内時計があり、昼に活動し夜に休むようにできています。
ところが夜更かしや昼夜逆転の生活、交代勤務などでリズムが乱れると、自律神経の切り替えもうまく働かなくなるのです。
その結果、朝起きられない、日中のだるさが取れない、夜眠れないといった症状につながります。
さらに睡眠不足や運動不足、暴飲暴食も自律神経に負担をかけます。
特に長時間のデスクワークで体を動かさない生活は、セロトニンやメラトニンといった、自律神経の安定に関与していると考えられている物質の分泌を妨げやすいです。
こうした生活が続くと交感神経が優位な時間が長くなり、体が常に緊張状態になります。
まずは規則正しい生活を心がけ、睡眠や食事、適度な運動を取り入れることが大切です。
過度なストレス
強いストレスは自律神経を乱す大きな原因の一つです。
人は不安や緊張を感じると交感神経が優位になり、心拍数の増加や血圧上昇、発汗などが起こります。
本来なら短時間で収まる反応ですが、仕事や人間関係などでストレスが続くと体は常に緊張モードとなり、副交感神経が十分に働けなくなります。
休むべき時間にリラックスできず、眠りが浅い、胃腸の不調、慢性的な疲労といった症状が出やすくなってしまうのです。
また、性格的に気持ちの切り替えが苦手、周囲に気を使いすぎるなどストレスを抱え込みやすい人は影響を受けやすいです。
ストレスをゼロにするのは難しいですが、自分なりのリフレッシュ方法を持つことが自律神経失調症の予防につながります。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンの分泌は自律神経の働きと深く関係しています。
特に女性は思春期から更年期まで、ライフステージごとにホルモンバランスが変化します。
月経前や更年期にはイライラや気分の落ち込み、不眠、動悸などの症状が出ることがありますが、これらはホルモンの影響で自律神経のバランスが崩れるためです。
妊娠や出産の前後も同様に、自律神経の働きが不安定になりやすい時期といえます。
ホルモンの影響は避けられませんが、規則正しい生活や十分な睡眠、ストレス対策を意識することで症状を和らげられる可能性があります。
季節の変化
季節の移り変わりも自律神経に大きな影響を与えます。
春や秋は気温差が大きく、体が環境に適応するため自律神経が活発に働きます。
その負担で疲れやすくなる人も少なくありません。
また秋から冬にかけては日照時間が短くなり、セロトニンの分泌が減るため、気分が落ち込みやすくなります。
このように季節ごとの変化は避けられないものですが、体調が崩れやすい時期を知って準備しておくことが大切です。
衣服での温度調節や規則正しい生活を心がけることで、季節の変化による影響を和らげられます。
自律神経失調症の不安感を解消する方法

自律神経の乱れによる不安感を和らげるには、心身の両面からアプローチすることが大切です。
具体的な対処方法は以下の通りです。
- 栄養バランスの整った食事を心がける
- 質の良い睡眠をとる
- 適度に運動する
- 自分に合ったストレス解消法を見つける
- 物の見方を変えてみる
- 医療機関を受診する
ここでは上記6つの対処法についてそれぞれ解説します。
栄養バランスの整った食事を心がける
自律神経のバランスを整えるためには、栄養バランスの整った食事を心がけることが大切です。
三食を規則正しくとることで体内リズムが整い、不安感も和らぎやすくなります。
特にビタミンB群は神経の働きをサポートする重要な栄養素ですが、ストレスによって消費されやすいため、意識的に摂ることが大切です。
そのほかにもビタミンAやビタミンC、カルシウム、鉄、マグネシウムなどの栄養素も健康に欠かせません。
これらの栄養素を肉や魚、緑黄色野菜、果物、乳製品などからバランスよく摂ることが大切です。
暴飲暴食や極端なダイエットは、自律神経に負担をかけるためなるべく避けましょう。
質の良い睡眠をとる
睡眠は自律神経の働きを整えるために欠かせません。
寝不足が続くと交感神経が優位になりやすく、日中の緊張が抜けにくくなります。
まずは起床と就寝の時間をなるべく固定し、体内時計を整えることが大切です。
眠る前にはスマホやパソコンを控え、部屋の明かりを落としてリラックスできる環境をつくりましょう。
また、アルコールやカフェインは眠りを浅くするため、夕方以降は控えるのが理想です。
入浴は就寝の2〜3時間前にぬるめのお湯で行うと、副交感神経が優位になり眠りやすくなります。
このように質の良い睡眠につながる行動を心がけることで、睡眠の質を次第に向上させられるでしょう。
適度に運動する
自律神経を整える有効な方法として、適度な運動が挙げられます。
特にウォーキングや軽いジョギング、ヨガなどのリズム運動は副交感神経を刺激し、リラックス効果をもたらします。
激しいトレーニングは交感神経を過度に刺激して逆効果になることがあるため、無理のない範囲で続けることが大切です。
まとまった時間が取れない場合は、エレベーターではなく階段を使う、ストレッチを取り入れるなども効果的です。
継続することで自律神経の切り替えがスムーズになり、不安感の軽減につながります。
自分に合ったストレス解消法を見つける
ストレスがたまると自律神経が乱れやすいため、自分に合ったストレス解消法を見つけておきましょう。
音楽を聴く、映画を観る、散歩をする、好きな香りを楽しむなど五感を使ったリラックス法がおすすめです。
ストレスをため込まず発散する仕組みを生活に取り入れることで、不安を和らげる効果が期待できます。
物の見方を変えてみる
ストレスや不安は、物事の捉え方によって大きく変わります。
同じ出来事でも「〜しかない」と思うか「〜もある」と考えるかで、感じる負担は異なります。
例えば、試験前に「100点を取らなければ」と考えると強い不安につながりますが、「合格点を取れれば大丈夫」と視点を変えると気持ちが楽になるでしょう。
日常の小さな場面でも、「失敗した」と捉えるのではなく「学びになった」と切り替えると、過度な不安を抱えにくくなります。
心の負担を減らすためには、柔軟な考え方を持つのも大切です。
医療機関を受診する
生活習慣の改善やセルフケアを行っても不安感が強く続く場合は、医療機関を受診することが大切です。
自律神経失調症や不安障害は、心身のバランスが崩れている状態であり、専門的な治療が必要になることがあります。
病院では薬物療法やカウンセリング、認知行動療法などが行われ、症状に合わせて適切なサポートを受けられます。
必要に応じてビタミン剤や漢方薬、抗不安薬などが処方されることもあるでしょう。
また、心理士やカウンセラーに話を聞いてもらうだけでも安心感につながる場合があります。
自己判断で放置すると悪化することもあるため、つらいと感じるときは早めに相談することが大切です。
規則正しい生活習慣で自律神経のバランスを整えましょう
そわそわする感覚は自律神経の乱れが背景にある場合も少なくありません。
不安感を和らげるには生活習慣を見直すことが大切です。
今回解説したセルフケア方法で改善が難しい場合には、一人で悩まず医療機関に相談してみましょう。
『かもみーる』では、オンライン診療・オンラインカウンセリングサービスを提供しています。
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