人は誰でも緊張やストレスを感じると、一時的に落ち着かなくなることがあります。
しかしその状態が長く続いたり、理由もなく体が動いてしまうような感覚がある場合は、心や体の不調が隠れている可能性があるため注意が必要です。
この記事では、じっとしていられない原因について詳しく解説します。
考えられる病気や自分でできる対処法などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
じっとしていられない原因

じっとしていられない原因として、以下の8つが挙げられます。
- ストレスや緊張・不安
- 睡眠不足
- カフェインの過剰摂取
- 飲酒や喫煙
- 運動不足
- ホルモンバランスの変化
- 環境の変化
- 物理的に不快な環境
ここでは上記8つの原因についてそれぞれ解説します。
ストレスや緊張・不安
ストレスや緊張・不安はじっとしていられないと感じる原因の中でも特に多いものです。
人間関係のトラブルや仕事のプレッシャー、将来への不安などで強いストレスを感じると、自律神経が乱れて心拍数が上がり、呼吸が浅くなります。
その結果、体が常に戦う準備をするような「交感神経優位」の状態になり、そわそわしたり、体を動かさずにはいられなくなったりするのです。
また、緊張する場面が続くと脳が常に警戒状態となり、リラックスするのが難しくなります。
過去の失敗体験がトラウマとなり、同じような状況で過剰に緊張してしまうこともあります。
睡眠不足
睡眠不足も、落ち着かない感覚を引き起こす大きな要因の一つです。
睡眠が足りないと脳がきちんと休まらず、感情のコントロールができなくなります。
結果としてイライラしやすくなり、集中力も低下して、常に焦りや不安を感じるようになるのです。
カフェインの過剰摂取
コーヒーやエナジードリンクなどに含まれるカフェインは、適量であれば眠気を覚まして集中力を高める働きがあります。
しかし、摂りすぎると神経を興奮させ、落ち着かない状態を引き起こすため注意が必要です。
またカフェインの効果は人によって差があり、少量でも敏感に反応する人もいます。
落ち着きがないと感じたときは、コーヒーやエナジードリンクの量を見直し、水やノンカフェイン飲料に切り替えるのもおすすめです。
飲酒や喫煙
お酒やタバコも、じっとしていられない原因の一つです。
アルコールは一時的にリラックス効果をもたらすように感じますが、体内で分解される過程で交感神経を刺激し、結果的に不安感や興奮状態を招くことがあります。
その影響で寝つきが悪くなったり、睡眠の質が下がって翌日に落ち着かない感覚を残したりすることもあるため注意が必要です。
タバコに含まれるニコチンにも神経を刺激する作用があり、落ち着きのなさを引き起こすことがあります。
さらに、タバコを吸えない状況では「吸いたいのに吸えない」というストレスで強い落ち着きのなさを感じることもあります。
運動不足
運動不足が続くと精神の安定に必要なホルモンの分泌が減少し、心が不安定になりやすくなります。
また、エネルギーを使わない状態が続くことで体の中に余分な力がたまり、それが「そわそわ感」や「落ち着かない感覚」として現れることもあります。
さらに運動不足は睡眠の質を下げる原因にもなり、夜ぐっすり眠れないことで翌日に疲れやイライラを持ち越してしまうこともあるため、適度に運動する習慣を持つことが大切です。
ホルモンバランスの変化
ホルモンは、体や心の状態を保つうえでとても重要な役割を持っています。
特に女性は月経周期や妊娠、更年期などによってホルモンバランスが変化しやすく、その影響で気分の浮き沈みが起こることがあります。
ホルモンバランスが乱れると自律神経にも影響が及び、動悸やイライラ、焦りといった落ち着かない感覚が現れることがあるのです。
また甲状腺ホルモンの異常も同様に、神経の興奮や不安感、じっとしていられないといった症状を引き起こすことがあります。
環境の変化
生活環境の変化は、心身に影響を与えることがあります。
引っ越しや転職、入学、卒業など、新しい環境に慣れるにはエネルギーを使います。
最初のうちは「早く慣れなきゃ」と焦る気持ちが強くなり、不安や緊張が続くことで落ち着かない状態に陥ることもあるでしょう。
特に自分の意思とは関係なく起こる変化や先の見えない状況ではストレスが増しやすく、常に気が張ったような状態になることがあります。
物理的に不快な環境
騒音の多い場所や人混み、空気の悪い部屋、散らかった空間などは、知らないうちにストレスを感じさせ、落ち着きのない感覚に陥ることがあります。
気温や湿度が急に変化する環境でも、体がだるくなったり、そわそわした気分になったりすることがあります。
快適に過ごすためには静かで整理整頓された空間を心がけ、自分に合った環境づくりを意識することが大切です。
じっとしていられないときに考えられる精神疾患

「じっとしていられない」「落ち着かない」といった状態が長く続くときは、精神的な病気が関係している可能性があります。
じっとしていられないときに考えられる精神疾患は次の通りです。
- ADHD(注意欠如多動症)
- パニック障害
- 社会不安障害
- 強迫性障害
- 全般性不安障害
- 双極性障害
ここでは上記6つの精神疾患についてそれぞれ解説します。
ADHD(注意欠如多動症)
ADHDは大人にも見られる発達障害の一種です。
主な特徴は、不注意・多動性・衝動性の3つです。
不注意 | 集中力が続かない、忘れ物やミスが多い、物事を順序だてて遂行できないなど |
多動性 | じっとしていられない、手足を動かす、落ち着きがないなど |
衝動性 | 思ったことをすぐに口に出す、順番を待てない、衝動買いが多い、すぐにイライラするなど |
これらの行動は脳の発達や神経伝達物質の働き方の違いが関係しているとされており、日常生活や集団生活に支障をきたすケースもあります。
▶ADHD(注意欠如・多動症)とは?発達障害との関係や特徴、対応法を解説
パニック障害
パニック障害は、突然の動悸や息苦しさ、めまい、手足の震えなどの強い身体症状が起こる病気です。
この発作を『パニック発作』と呼びます。
発作の最中には「このまま死んでしまうのではないか」という強い恐怖を感じることもあり、発作を経験した人は「また起きたらどうしよう」という予期不安を抱きやすくなります。
これが続くと外出を避けたり、人混みを怖がったりして生活に支障が出てしまうことも少なくありません。
▶パニック障害になりやすい人の特徴│性格・年代・環境や遺伝など徹底解説!セルフチェックも
社会不安障害
社会不安障害は、人前で話す・注目を浴びるなどの状況で、過度に緊張したり不安を感じたりする病気です。
「失敗したらどうしよう」「恥をかいたらどうしよう」という思いが強くなり、体がこわばったり、手足が震えたり、目を合わせるのが怖くなったりします。
こうした不安や緊張が続くと、常に体が緊張している状態になり、落ち着きがなくなります。
症状が重い場合は、外出や人との関わりを避けてしまうことも少なくありません。
強迫性障害
強迫性障害は、頭の中から離れない考え(強迫観念)とそれを打ち消すための行動(強迫行為)を繰り返してしまう病気です。
例えば「手が汚れている気がする」と感じて何度も手を洗う、「鍵を閉め忘れたかも」と家の戸締りを何度も確認するなどの行動があります。
本人もやりすぎだと分かっていても、不安を抑えられずに行動してしまいます。
この「〜しないと不安で落ち着かない」という感覚が強く、常にそわそわしてしまうのが特徴です。
全般性不安障害
全般性不安障害は、特定の対象や出来事ではなく、日常のさまざまなことに対して過剰な不安や心配を抱き続ける病気です。
「仕事でミスをしたらどうしよう」「家族に何かあったら」といった心配が常に頭から離れず、体が緊張状態になります。
その結果、落ち着かない、そわそわする、集中できないといった状態が続きます。
さらに肩こりや頭痛、胃の不快感など、身体的な症状を伴うことも多いです。
双極性障害
双極性障害(躁うつ病)は、気分の波が極端になる病気です。
気分が高揚して活動的になりすぎる『躁状態』と、気分が沈み込む『うつ状態』が交互に現れます。
躁状態のときはアイデアが次々と浮かび、じっとしていられずに動き回ったり、話し続けたりすることがあります。
一方で、うつ状態に入るとエネルギーがなくなり、何もする気が起きません。
このような気分の波によって生活リズムが乱れ、精神的な落ち着きも失われてしまうことがあります。
▶うつ病と双極性障害(躁うつ病)の違いは?症状・原因・治療法とセルフチェックリスト
じっとしていられないときに考えられる身体疾患

じっとしていられないときは、身体疾患が原因となっている可能性も考えられます。
体が落ち着かなくなる病気として、以下が挙げられます。
身体疾患 | 特徴・症状 |
バセドウ病 | 甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、代謝が活発になりすぎる病気。動悸、手の震え、発汗、体重減少、イライラ、落ち着きのなさなどを引き起こす。 |
アカシジア | 抗精神病薬や抗うつ薬などの副作用として起こる『静座不能症』と呼ばれる状態。座っていられずに体を動かしたくなる、脚を揺らす、歩き回るといった症状が特徴。 |
レストレスレッグス症候群 | 安静時に脚の中がむずむずしたり、虫が這うような不快感を覚えたりする病気。特に夕方から夜にかけて症状が強くなり、眠れなくなることもある。 |
遅発性ジスキネジア | 抗精神病薬を長期間使用した際に現れる副作用の一種で、口や舌、手足が自分の意志と関係なく動いてしまう病気。脳の大脳基底核と呼ばれる部分の働きに異常が起こることで発症する。 |
これらは精神的なストレスとは異なり、体のホルモンや神経の働きに問題があるため、自分の努力だけで治すのは難しい場合が多いです。
特に薬を飲み始めてから症状が出た場合や、動悸や震えなどの身体的な症状を伴う場合は、早めに病院を受診することが大切です。
正確な診断を受けて原因を取り除くことで、落ち着かない感覚の改善が期待できます。
じっとしていられないときの対処法

じっとしていられないときは、以下のような対処法を試してみてください。
- 腹式呼吸を行う
- 瞑想・マインドフルネスを行う
- 軽い運動やストレッチをする
- 考えていることを紙に書き出す
- アロマでリラックスする
ここでは上記の対処法についてそれぞれ解説します。
腹式呼吸を行う
腹式呼吸は自律神経を整え、気持ちを落ち着かせる効果があります。
まず背筋を伸ばし、肩の力を抜いてお腹に手を当てます。
そして鼻からゆっくり息を吸いながらお腹を膨らませ、口からゆっくり息を吐いてお腹をへこませましょう。
これを10回ほど繰り返してみてください。
ポイントは、吸うよりも吐く時間を長くすることです。
この呼吸法を行うことで副交感神経が働き、体がリラックスモードに切り替わります。
瞑想・マインドフルネスを行う
瞑想・マインドフルネスは、「今この瞬間」に意識を集中させ、心のざわつきを落ち着かせる方法です。
静かな場所に座り、目を閉じて深呼吸をします。
過去の後悔や未来への不安を手放し、ただ「呼吸をしている今」に集中します。
もし途中で考え事が浮かんでも否定せず、再び呼吸に意識を戻すことが大切です。
これを1日5分でも続けると感情の波が穏やかになり、じっとしていられない気持ちが和らいでいきます。
瞑想アプリやリラクゼーション音楽を使うのもおすすめです。
軽い運動やストレッチをする
不安や緊張が強くなったときは、深呼吸をしながら軽く体を動かしてみましょう。
肩や首を回す、背伸びをする、軽く屈伸をするだけでも血流が良くなり、体のこわばりがほぐれます。
また、じっとしていられないときに軽い運動を取り入れることで、余分なエネルギーを消費でき、気持ちの高ぶりが落ち着いていきます。
特にウォーキングやヨガ、ストレッチは心身のリフレッシュに効果的です。
考えていることを紙に書き出す
不安や焦りが頭の中でぐるぐる回っていると、ますます落ち着かなくなります。
そんなときは、頭に浮かんでいることを紙に書き出してみましょう。
紙に書くことで、自分が何に不安を感じているのか、どんなことを考えすぎているのかが整理されます。
そして書いた内容を客観的に見返すと、「意外と大したことではない」と気づけることもあります。
感情を外に出すことで内面的な緊張が少しずつ和らぎ、気持ちが軽くなるのを感じられるでしょう。
アロマでリラックスする
香りには脳をリラックスさせる作用があるため、落ち着かないときはアロマテラピーで香りを楽しむのがおすすめです。
ラベンダーやカモミールはリラックス効果が高く、ベルガモットやオレンジなどの柑橘系は気分を明るくしてくれます。
アロマディフューザーを使うほか、ハンカチに1滴垂らして香りを楽しむのもおすすめです。
また、入浴時にお湯に数滴垂らすと、香りと温かさの相乗効果で心身ともに落ち着きやすくなります。
ぜひ自分の好きな香りで試してみてください。
じっとしていられないときの受診目安

じっとしていられない状態が長く続いたり、日常生活に影響が出ていたりする場合は、心や体の不調が隠れている可能性があります。
以下に当てはまる場合は、医師への相談を検討してみてください。
- 落ち着かない状態が長期間続いている
- 日常生活に支障が出ている
- 他の精神的な症状(気分の落ち込み、強い不安感、イライラ、幻覚・妄想など)を伴う
- 身体的不調(動悸息切れ、めまい、震えなど)を伴う
- 自殺や自傷行為を考えてしまう
また、「なぜ落ち着かないのか分からない」「このままの状態が怖い」と感じるほど不安が強い場合や、「自分を傷つけてしまいそう」と考えてしまう場合は、すぐに医療機関に相談しましょう。
早めに受診することで症状に適した治療が受けられ、悪化を防げます。
落ち着かない状態が続くときは専門家に相談しましょう
じっとしていられない状態は、ストレスや不安、ホルモンバランスの変化、薬の影響、さらには心の病気など、さまざまな要因で起こります。
原因によっては一時的なものもありますが、長く続く場合は専門家のサポートが必要なケースもあります。
まずは呼吸を整えたり、軽い運動やリラックス法を取り入れたりして、心と体を落ち着かせてみましょう。
それでも改善が見られないときや日常生活に支障が出ているときは、我慢せず医療機関を受診してください。
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