リワークと就労移行支援はどう違う?対象者・費用・期間・選び方まで比較

投稿日 2026年05月21日

リワーク
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休職中に「リワークと就労移行支援、どちらを利用すればよいか」と迷う方は少なくありません。

名称が似ていることや、同じ事業所で両方のサービスが提供されているケースがあることから、混同されやすい制度です。

しかし、両者は目的・対象者・費用・利用期間のいずれも異なるため、自分の状況に合ったサービスを選ぶことが重要です。

この記事では、リワークと就労移行支援の違いを項目別に整理し、どちらを選ぶべきかの判断基準までわかりやすく解説します。

リワークと就労移行支援の違いを一覧で比較

リワークと就労移行支援は、目的・対象者・費用・利用期間・利用条件のすべてにおいて異なります。まずは一覧で全体像を把握したうえで、各項目の詳細を確認してください。

ここでは、両者の主な違いについて項目ごとに解説します。

比較項目

リワーク

就労移行支援

主な目的

元の職場への復帰

一般企業への新規就職

主な対象者

精神疾患で休職中の在職者

離職中・未就労の障害・疾患のある方

実施機関

医療機関・障害者職業センター・就労移行支援事業所・在籍企業

就労移行支援事業所

費用

機関による(医療保険・無料・障害福祉サービス)

障害福祉サービス(前年度世帯収入に応じた自己負担)

最長利用期間

機関による(医療は保険診療の範囲内、職リハは標準3〜4か月)

原則2年間(審査で1年延長可)

障害者手帳

不要

不要(ただし受給者の申請が必要)

復職・就職先

原則として元の在籍企業

新たな企業への就職

目的の違い

リワークの目的は「元の職場への復職」であり、休職前と同じ職場・雇用関係のもとで安定した就労を再開することを目指します。再休職の防止も重要な目標のひとつとされています。

就労移行支援の目的は「一般企業への新規就職・転職」です。これまでの職歴や在籍企業への復帰を前提とせず、新しい職場での就職を目指してスキルや就労習慣を身につけることを目指します。

「元の会社に戻りたいのか、新しい職場に就職したいのか」という点が、最初の選択基準となります。

対象者の違い

リワークの主な対象者は、精神疾患などを原因として現在休職中の在職者です。雇用契約が継続している状態で、復職を目指している方が対象となります。

就労移行支援の主な対象者は、障害や疾患のある方で、離職中または未就労の状態にある方です。

障害者総合支援法に基づくサービスであり、身体障害・知的障害・精神障害・発達障害のある方が幅広く対象となります。

利用できる施設の違い

リワークは、医療機関(精神科・心療内科)・地域障害者職業センター・就労移行支援事業所・在籍企業内の4種類の機関で提供されます。

就労移行支援は、障害者総合支援法に基づく指定を受けた就労移行支援事業所のみで提供されます。

費用の違い

リワークの費用は実施機関によって異なります。医療機関では健康保険が適用され、自立支援医療制度(精神通院医療)を利用すると自己負担が原則1割になります。

地域障害者職業センターのリワーク支援は無料です。就労移行支援事業所でのリワークは、障害福祉サービスとして前年度の世帯収入に応じた自己負担上限の範囲内で利用できます。

就労移行支援も障害者総合支援法に基づくサービスのため、利用料は前年度の世帯収入に応じた月額上限の範囲内で設定されます。

費用についての詳細は下記の記事でも詳しく解説をしています。

▶︎ リワーク(復職支援)とは?種類やプログラム、費用の目安をわかりやすく解説

利用期間の違い

リワークの利用期間は機関によって異なります

地域障害者職業センターでは標準12〜16週(3〜4か月)が目安とされており、就労移行支援事業所でのリワークは数か月で復職に至るケースが多いとされています。

医療機関では個人の回復状況に応じて期間が設定されます。

就労移行支援の利用期間は原則2年間で、個別審査により1年間の延長が認められる場合があります。

利用条件の違い

リワークの利用条件は機関によって異なりますが、共通して「精神科・心療内科に通院中であること」「主治医がプログラムへの参加を認めていること」「復職の意思があること」が求められます。

地域障害者職業センターは雇用保険適用事業所の在職者に限られ、公務員は対象外です。

就労移行支援の利用には、市区町村が発行する障害福祉サービスの受給者証が必要です。障害者手帳は必須ではありませんが、医師の診断と定期的な通院が求められます。

リワークとは

リワークという言葉を耳にしたことがあっても、具体的な内容や種類まで把握できていない方も多いのではないでしょうか。

ここでは、リワークの定義・プログラム内容・種類について詳しく解説します。

リワークの定義とプログラム内容

リワークとは「Return to Work」の略語です。

気分障害などの精神疾患を原因として休職している労働者が、職場復帰に向けたリハビリテーションを専門機関で受けるプログラムを指します。

また、「復職支援プログラム」「職場復帰支援プログラム」とも呼ばれます。

プログラムの内容は実施機関によって異なりますが、主に以下の3段階で構成されることが多いです。

  • 生活リズムの立て直し・通勤訓練:決まった時間に通所することで、乱れた生活リズムの回復と通勤訓練を兼ねます。体調・気分・睡眠をセルフモニタリングする習慣も、この段階から始まります。
  • 作業訓練・オフィスワーク:文書作成・データ入力・グループワークなど、実際の業務を想定した課題に取り組みます。集中力・持久力・作業精度の回復を図ります。
  • 心理教育・認知行動療法・SST:自分の疾患のメカニズムの理解、思考パターンの見直し、職場での対人スキルの習得を目指します。再発予防の観点からも重要なプログラムとされています。

リワークの種類(医療・職リハ・福祉・職場)

リワークを提供する機関は主に4種類に分かれます。

医療リワーク

医療リワークは精神科・心療内科クリニックや病院が実施します。健康保険が適用され、自立支援医療制度(精神通院医療)を利用した場合、自己負担が原則1割です。

医師・看護師・心理職など多職種のスタッフが関与するため、心身の回復を優先した支援が中心になりやすい傾向があります。

職リハリワーク

職リハリワークは各都道府県に設置されている地域障害者職業センターが実施します。

職業カウンセラーが本人・事業所・主治医の三者をコーディネートしながら支援を進める点が特徴で、費用は無料です。ただし、公務員は利用対象外となります。

福祉リワーク

福祉リワークは就労移行支援事業所が障害者総合支援法に基づいて提供します。

2024年4月施行の障害者総合支援法改正により、休職中の方が所定の要件を満たす場合に就労系障害福祉サービスを一時的に利用できることが法令上明確に位置づけられました。

職場リワークは在籍企業内で行われる段階的な業務復帰の取り組みです。

厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」では、事業場が職場復帰支援プログラムを策定するよう求めています。

就労移行支援とは

就労移行支援はリワークと混同されやすいサービスですが、目的も対象者も異なります。

ここでは、就労移行支援の定義・サービス内容・対象者と利用条件について解説します。

就労移行支援の定義とサービス内容

就労移行支援は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスのひとつです。

障害や疾患のある方が一般企業への就職を目指すために、必要なスキルや就労習慣を身につけるための支援を提供します。

主なサービス内容は以下の通りです。

  • 職業訓練・スキル習得:パソコン操作・ビジネスマナー・コミュニケーションスキルなど、就職に必要な実践的なスキルを習得します。事業所によってプログラムの特色が異なります。
  • 就職活動のサポート:履歴書・職務経歴書の作成支援、面接練習、求人情報の提供など、就職活動全般をスタッフがサポートします。
  • 職場定着支援:就職後6か月間、職場への定着を支援することが制度上定められています。就職後のトラブルや職場環境の調整についても相談できます。

就労移行支援の対象者と利用条件

就労移行支援の対象者は、障害や疾患のある65歳未満の方で、一般企業への就職を希望している方です。

身体障害・知的障害・精神障害(発達障害を含む)・難病のある方が対象となります。

利用にあたっての主な条件は以下の通りです。

  • 医師による診断があること
  • 市区町村が発行する障害福祉サービスの受給者証を取得していること
  • 一般企業への就職を希望していること

障害者手帳は必須ではありません。受給者証の申請はお住まいの市区町村窓口で行い、発行まで1か月程度かかる自治体もあります。

利用を検討している場合は早めの申請を検討してください。

リワークと就労移行支援のどちらを選ぶべきか

リワークと就労移行支援の違いを理解したうえで、自分の状況に照らし合わせてどちらが適切かを判断することが重要です。

ここでは、それぞれに向いている方の特徴と、判断に迷うケースについて解説します。

リワークが向いている人

以下の状況に当てはまる方には、リワークが適している場合があります。

  • 現在休職中で、雇用契約が継続している
  • 元の職場への復職を希望している
  • 主治医からリワークへの参加を認められている
  • 心身の回復を図りながら、段階的に復職準備を進めたい

特に、職場環境自体に大きな問題がなく、心身の回復と再発予防のための準備を整えることで復職できる見通しがある方に向いているとされています。

就労移行支援が向いている人

以下の状況に当てはまる方には、就労移行支援が適している場合があります。

  • すでに離職しており、新しい職場への就職を目指している
  • 障害や疾患のある状態で、就職に向けたスキルや習慣を身につけたい
  • 就職活動のサポートや職場定着支援まで一貫して受けたい
  • 最長2年間かけてじっくりと就労準備を進めたい

就労移行支援は就職後6か月間の定着支援まで含まれているため、就職後のフォローアップも重視したい方に向いています。

判断に迷うケース(休職中で転職を考えている場合など)

「休職中だが元の職場には戻りたくない」「転職を考えているが離職はしていない」というケースでは、どちらを選ぶべきか判断に迷いやすいとされています。

この場合、まず考えるべき点は「在籍企業の雇用契約が継続しているかどうか」です。

在職中であれば、まずはリワークで心身を回復させながら、その後のキャリアについて主治医や支援スタッフと相談する流れが一般的です。

離職を選んだ後に就労移行支援を利用するという順序も考えられますが、離職によって収入・社会保険・休職期間中の保護が失われるリスクもあります。

いずれの判断も、主治医や社会保険労務士などの専門家に相談しながら進めることを推奨します。

就労移行支援事業所の中には、休職中の方向けにリワークプログラムを独自に提供している事業所もあります。

「復職か転職か」が定まっていない段階でも、見学・相談から始めることで選択肢を広げることができるでしょう。

まとめ

リワークと就労移行支援は、目的・対象者・費用・期間のいずれも異なるサービスです。

「元の職場への復職」を目指すならリワーク、「新しい職場への就職」を目指すなら就労移行支援が基本的な選択基準になります。

ただし、休職中で転職を考えているなど判断に迷うケースでは、主治医や支援機関に相談しながら選択することが重要です。

「リワークと就労移行支援のどちらが自分に合うかわからない」「まず誰かに状況を整理してほしい」という方は、オンラインカウンセリング『かもみーる』をご検討ください。

臨床心理士・公認心理師などの有資格者が医師監修のもと対応しており、サービス選びに迷っている段階からご相談いただけます。

リワーク・就労支援に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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よくあるご質問

就労移行支援事業所でリワークは受けられますか?

就労移行支援事業所の中には、リワーク(復職支援)プログラムを独自に提供している事業所もあります。 ただし、すべての就労移行支援事業所でリワークを受けられるわけではないため、事前に事業所への問い合わせが必要です。

離職後にリワークは利用できますか?

機関の種類によって異なります。医療リワークは通院中の患者を対象とするため、離職後でも通院を継続していれば利用できる場合があります。 就労移行支援事業所でのリワークは、離職後の方も対象となるケースがあります。 一方、地域障害者職業センターのリワーク支援は在職中の休職者が対象であるため、離職後は利用できません。 利用を検討している場合は、各機関に直接問い合わせて確認してください。

障害者手帳がなくても就労移行支援は利用できますか?

利用できます。就労移行支援は障害者手帳の所持を必須としていません。 精神疾患の診断がある方であれば、手帳を持っていなくても市区町村に受給者証を申請することで利用対象となります。 ただし、申請にあたっては医師の意見書が必要となる場合があり、審査を経て受給者証が発行されます。詳細はお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に確認してください。