あがり症とは?症状・原因・治療方法について解説

更新日 2026年02月07日

blog_image

「人前に立つと緊張してしまう」「声や手が震えて頭が真っ白になってしまう」といった経験から、自分はあがり症かもしれないと悩んでいる方は少なくありません。

緊張すること自体は誰にでも起こる自然な反応ですが、その不安が強くなりすぎて、日常生活に影響が出ている場合は注意が必要です。

この記事では、あがり症の症状や原因について詳しく解説します。

治療方法や受診の目安などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

あがり症(社交不安障害)とは

あがり症は医学的には『社交不安障害』と呼ばれ、人前に出る場面で強い不安や緊張を感じ、日常生活に支障が出てしまう病気です。

単に「恥ずかしがり屋」「緊張しやすい性格」とは異なり、日常生活や人間関係への影響が大きい点が特徴です。

人前で話す、注目を浴びる、食事をするといった場面で、「失敗したらどうしよう」「変に思われるのではないか」という不安が強くなり、手の震え・声の震え・赤面・発汗・動悸・吐き気などの身体症状が表れることがあります。

その不安から、こうした状況を避ける行動が増えていく点が特徴です。

誰でも人前では緊張するものですが、多くの場合は経験を重ねることで少しずつ慣れていきます。

しかし、社交不安障害の場合は慣れるのが難しく、回数を重ねても不安が軽くならず、むしろ強まることがあります。

その結果、学校や仕事に行けなくなったり、人との関わりを避けたりと、生活の幅が狭くなってしまうこともあるのです。

また、社交不安障害には、大きく分けて2つのタイプがあります。

あらゆる対人場面で不安が強く出る『全般性』と、発表や会食など特定の場面に限って症状が出る『非全般型』です。

どちらも症状・原因の適切な理解と治療によって、改善が期待できます。

あがり症(社交不安障害)の症状

あがり症(社交不安障害)の症状は、『心理的な症状』『身体的な症状』『行動面の症状』の3つに分けて考えられます。

人前に立つ場面や注目される状況で強い不安や緊張が生じることで、気持ちだけでなく体や行動にもさまざまな影響が表れるのが特徴です。

症状の出方や強さには個人差があり、特定の場面だけで起こる人もいれば、幅広い対人場面で影響を受ける人もいます。

心理的な症状

あがり症の心理的な症状には、以下のようなものがあります。

  • 人から注目されるとひどく緊張する
  • 周りから見た自分の印象を常に気にしてしまう
  • 失敗を過度に怖がり行動をためらってしまう
  • 人前で話したり行動したりする前から強い不安を感じる
  • 終わった後も自分の言動を思い返して不安になる
  • 自分を責めてしまう

あがり症の方は、人前に出ると強い緊張を感じやすく、「失敗したらどうしよう」「変に思われるかもしれない」といった考えが頭から離れなくなります。

発表や会話の前から不安が高まり、まだ何も起きていない段階でも心が落ち着かなくなる『予期不安』が起こることも珍しくありません。

また、出来事が終わった後も、「あの言い方はまずかったのではないか」「相手に嫌な印象を与えたのでは」と何度も思い返してしまうことがあります。

このように自分の言動を繰り返し振り返り、必要以上に悩み続けると、さらに心理的な負担が大きくなってしまいます。

その結果、自信を失い、「自分はダメな人間だ」と自分を責めてしまうことも少なくありません。

起こってもいないことに不安になる原因と心を軽くする対処法

身体的な症状

あがり症の身体的な症状には、以下のようなものが挙げられます。

  • 顔が赤くなる
  • 心臓がドキドキする
  • 手足や声が震える
  • 大量に汗をかく
  • 口が渇く

不安が強まると息苦しさやめまい、吐き気、胃のむかつき、下痢や腹痛などの症状が表れる場合もあります。

これらは自律神経の働きが乱れることで起こりやすい症状で、「また症状が出たらどうしよう」という不安がさらに緊張を強めてしまうことも少なくありません。

身体的な症状は人によって出方が異なり、特定の症状だけが目立つ場合もあれば、複数の症状が同時に表れることもあります。

また、電話対応や会食、字を書く場面など、特定の状況でのみ症状が強く出る人もいます。

行動面の症状

あがり症の行動面の症状には、以下のようなものがあります。

  • 会議や発表などの人前で話す場面を避ける
  • 発表前に何度も過剰にリハーサルを行う
  • 人と目を合わせることを避ける
  • 声が小さくなる
  • 体が固まったような姿勢になる

あがり症の症状が続くと、不安を避けるための行動が増えていきます。

例えば会議や発表、プレゼンテーションなど、人前で話す場面をできるだけ避けるようになったり、電話に出ることをためらったりすることがあります。

また、人に見られること自体が負担となり、目を合わせない、声が小さくなる、体が固まったような姿勢になるといった変化が見られることもあるでしょう。

不安を抑えようとして、発表前に何度も過剰なリハーサルを行うなど、準備に多くの時間をかける人もいます。

これらの行動面の症状により、学校や仕事、人間関係に影響が出てしまい、生活の選択肢が狭まるケースもあります。

あがり症(社交不安障害)の原因

あがり症(社交不安障害)は、一つの原因だけで起こるものではなく、体質や脳の働き、これまでの経験などが重なって生じるものと考えられています。

未だ明確にはわかっていないものの、あがり症の発症原因と考えられるものとして、以下の4つが挙げられます。

  • 脳の仕組みの異常
  • 自律神経の乱れ
  • 過去の出来事
  • 生育環境

ここでは上記4つの原因についてそれぞれ見てみましょう。

脳の仕組みの異常

あがり症は、脳の不安を感じる仕組みに異常が生じている状態が関係していると考えられています。

私たちの脳には危険を察知する役割を持つ部分があり、本来は本当に危険な状況のときだけ働く仕組みです。

しかし、あがり症の方の場合、人前に立つ・注目されるといった場面を、実際以上に危険な状況だと判断してしまうことがあるのです。

その結果、不安や緊張が一気に高まり、体や心にさまざまな症状が表れます。

このほかにも、自意識や自己評価に関連する脳の処理異常、心のバランスを保つセロトニンなどの脳内物質の働きが影響しているとも考えられています。

自律神経の乱れ

自律神経の乱れも、あがり症の大きな原因の一つです。

自律神経は心拍や呼吸、発汗などを無意識に調整する働きを持っています。

不安や緊張を感じると、このうち体を興奮させる働きをもつ神経が強くなります。

あがり症の方の場合、この反応が必要以上に強く出やすく、動悸・手足や声の震え・赤面、汗が止まらないといった症状が表れることがあるのです。

さらに、「また同じことが起きたらどうしよう」といった予期不安が加わることで、緊張が強まり、症状が悪化するという悪循環に陥ることもあります。

自律神経の乱れは、心と体の両方に影響を与える要因といえるでしょう。

過去の出来事

人前でのつらい経験や強い失敗体験が、あがり症のきっかけになることがあります。

例えば大勢の前で失敗してひどく恥ずかしい思いをした、笑われた、厳しく叱られたといった経験が心に残った結果、似た状況に置かれるだけで強い不安を感じるようになる場合があるのです。

このような経験をすると「また同じことが起こるのではないか」という予期不安を生み、体が先に緊張反応を起こすようになります。

ただし、同じ経験をしても必ず発症するわけではなく、個人差があります。

生育環境

幼少期からの家庭環境や育てられ方も、あがり症に関係する要因の一つとされています。

例えば厳しすぎるしつけや失敗を強く責められる環境、過度な期待をかけられる状況で育つと、「人からどう見られるか」を過剰に意識しやすくなることがあります。

また、過保護で挑戦の機会が少なかった場合や、逆に気持ちを受け止めてもらえない環境で育った場合も、不安を感じやすい状態につながることがあるでしょう。

こうした生育環境は必ずしも直接の原因になるわけではありませんが、不安を感じやすい状態をつくる一因になると考えられています。

あがり症(社交不安障害)の治療方法

あがり症(社交不安障害)の治療は、薬物療法と心理療法を組み合わせて進めていく場合が多いです。

人によって不安の強さや困っている場面は異なるため、「今つらい症状を抑えたいのか」「長い目で不安に慣れていきたいのか」といった目的に合わせて治療方法が選ばれます。

ここではそれぞれの治療方法の具体的な内容について解説します。

薬物療法

薬物療法は、不安や緊張による心身の症状を和らげる治療方法です。

常に不安や緊張が続いている場合には、脳内のバランスを整える作用のある薬(SSRI)を毎日一定期間服用する方法がとられることがあります。

少しずつ不安・緊張・恐怖を感じにくくすることを目的とした方法です。

一方で、発表や会議など、緊張する場面がはっきり決まっている場合には、その場面の前だけ服用する薬(βブロッカー)が使われることもあります。

動悸や震え、汗などの体の反応を直接抑制することで、落ち着いて行動しやすくなる効果が期待できるでしょう。

適切な薬の種類は人によって異なり、効果の感じ方にも個人差があります。

自己判断での中断や変更はせず、必ず医師と相談しながら調整していくことが大切です。

心理療法

心理療法は、不安を強めている考え方や行動のパターンに気づき、少しずつ向き合い方を変えていく治療方法です。

あがり症の方は、「失敗したら終わりだ」「変に思われたらどうしよう」といった考えが自然と浮かびやすくなっています。

心理療法はこうした思考のクセに気づき、現実に即した見方へと変えていくことを目指すものです。

心理療法にはさまざまな種類がありますが、あがり症の治療では『認知行動療法』や『曝露療法』が選ばれる場合が多いです。

認知行動療法

不安を強めている考え方に気づき、より現実的な捉え方へ修正していく治療方法

曝露療法

緊張・不安・恐怖を感じる場面に段階的に向き合い、少しずつ慣れていく治療方法

上記の治療方法を薬物療法と並行して行うことで、より効果的な改善が期待できます。

あがり症(社交不安障害)は何科を受診すればいい?

過度な緊張や不安、それに伴う身体的な症状などで日常生活や仕事に支障が出ている場合は、精神科や心療内科を受診しましょう。

精神科や心療内科では、不安・緊張による生活への影響を確認し、必要に応じて治療方法を提案してもらえます。

また、認知行動療法などの心理療法を希望する場合は、心理士が在籍するメンタルクリニックやカウンセリング施設を選ぶのも一つの方法です。

不安や緊張に悩んでいる場合は、セルフケアにこだわらず、早めに医療機関へ相談してみましょう。

心療内科受診の必要があるかどうかが分かります

あがり症(社交不安障害)に関するよくある質問

あがり症(社交不安障害)に関するよくある質問をまとめました。

  • 人前で緊張しやすい場合は病院を受診するべき?
  • あがり症になりやすい人の特徴は?

ここでは上記2つの質問についてそれぞれ解説します。

Q:人前で緊張しやすい場合は病院を受診するべき?

人前で緊張しやすいという理由だけで、必ず病院を受診する必要はありません。

発表や初対面の場面でドキドキするのは自然な反応で、多くの人が経験します。

緊張があるからこそ集中できたり、経験を重ねるうちに慣れていったりすることもあるため、緊張すること自体は病気とはいえません。

しかし、「人前に出る場面が怖く、考えるだけで不安になる」「緊張する状況を避け続けてしまい、仕事や学校に支障が出ている」といった状態が続く場合は注意が必要です。

また、心理的な症状だけでなく、動悸や吐き気、震えなどの身体的な症状に悩まされているなど、日常生活に何らかの支障が出ている場合は医療機関の受診をおすすめします。

Q:あがり症になりやすい人の特徴は?

あがり症になりやすい人には、いくつかの共通した傾向が見られることがあります。

例えばもともと恥ずかしがり屋で人の目を気にしやすい性格の人は、不安を感じやすい傾向があります。

また、10代など比較的若い時期に症状が出始めるケースも少なくありません。

過去に人前で失敗した経験や、からかわれた・否定されたといった出来事が心に残っている場合、それがきっかけとなって不安が強まることもあります。

このような特徴に当てはまる場合、あがり症になりやすい傾向があるため注意が必要です。

あがり症はできるだけ早く適切な治療を受けることが大切

あがり症(社交不安障害)は、人前で強い不安や緊張が続き、生活に支障をきたしてしまう状態です。

心理的な症状だけでなく、動悸・震え・発汗などの身体症状や、緊張しやすい場面を避ける行動の変化として表れることもあります。

人前で緊張すること自体は珍しいことではありませんが、過剰な緊張・不安やそのような場面を避ける行動が増えている場合は、精神科や心療内科への相談を検討してみましょう。

かもみーる』では、医師・心理士に相談できるオンライン診療・カウンセリングサービスを提供しています。

「人前で緊張しやすく悩んでいる」といった相談も可能なため、お悩みの方はぜひ当院までご相談ください。

カウンセラー(医師・心理士)一覧はこちら

新規会員登録はこちら