考えることは大切ですが、必要以上に思い悩むと心が疲れてしまい、眠れなくなったり気持ちが落ち込んだりすることがあります。
そのまま放っておくと、ストレスや不安が積み重なり、うつ病や不安障害などの心の病気につながることもあるため注意が必要です。
この記事では、考えすぎない方法について詳しく解説します。
考えすぎる状態の定義や考えすぎてしまう人の特徴、精神・身体面への影響などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
考えすぎる状態とは?

考えすぎる状態とは、必要以上に物事を深く考え込み、頭の中で同じ思考がぐるぐると回り続ける状態を指します。
例えば「失敗したらどうしよう」「あのときの言葉は誤解されたかも」といった不安や後悔が頭から離れず、何度も同じ内容を繰り返し考えてしまうのです。
このような状態が続くと、気持ちが落ち込みやすくなったり、眠れなくなったりと、心身の不調につながることもあります。
心理学的には、考えすぎは『認知的過負荷』に近い状態とされています。
これは、脳が処理できる範囲を超えて情報を抱え込み、思考が整理できなくなることを意味するものです。
ただし、単なる情報の多さではなく、「役に立たない方向に考え続けてしまう」という点が大きな違いです。
つまり、問題を解決しようとして考えているのではなく、不安や後悔を繰り返し思い返す『反芻思考』になっているのです。
そして「考える」と「考えすぎる」の違いは、思考の向きにあります。
前向きに考える場合は、目標に向かって少しずつ進むような建設的な思考です。
一方で考えすぎる場合は、同じ場所をぐるぐる回るように、進展のない思考を繰り返します。
この状態では考えるほどに不安やストレスが増してしまい、心がどんどん疲れていきます。
考えすぎてしまうときは、「今考えても解決できることか」「それは実際に起こっていることか」を意識的に整理することが大切です。
考えすぎてしまう人の特徴

考えすぎてしまう人の特徴として、以下の6つが挙げられます。
- 心配性
- 完璧主義
- 自己肯定感が低い
- 感受性が強く敏感
- 一人で抱え込みやすい
- 未来への不安がある
ここでは上記6つの特徴についてそれぞれ解説します。
心配性
心配性の人は、起こってもいないことに対しても不安を感じやすい傾向があります。
「もし失敗したらどうしよう」「怒られるかもしれない」と、最悪のケースを想定してしまうため、常に緊張状態になりやすいのです。
こうした人は物事に慎重で責任感も強いのですが、その慎重さが過剰になると、頭の中が不安や疑問でいっぱいになってしまいます。
さらに、情報を集めすぎて逆に混乱したり、何度も同じことを考えて疲れてしまったりすることも少なくありません。
完璧主義
完璧主義の人は、「失敗してはいけない」「完璧にやらなければ」という強い思いがあるため、些細なことが気になったり、常にプレッシャーを感じやすい傾向があります。
小さなミスにも敏感に反応し、「なぜうまくいかなかったのか」「もっと良い方法があったのでは」と、過去の出来事を何度も振り返ってしまうのです。
理想が高いこと自体は悪いことではありませんが、完璧を求めすぎると、行動する前に考え込みすぎて動けなくなることもあります。
また、他人にも高い基準を求めてしまい、人間関係で疲れてしまうこともあります。
自己肯定感が低い
自己肯定感が低い人は、自分の価値や能力を信じることが難しく、常に「自分はダメだ」「どうせうまくいかない」といった思考にとらわれやすい傾向があります。
そのため、他人の反応や評価を過剰に気にし、「嫌われたのでは」「迷惑をかけたかも」と不安になってしまうことがあります。
こうした不安が積み重なると、自分の判断に自信が持てず、何をするにも慎重になりすぎてしまうのです。
自己肯定感が低い状態では考える方向が自分を責めるほうに偏ってしまうため、ますます疲れやすくなります。
感受性が強く敏感
感受性が強い人は、他人の感情や周囲の雰囲気に敏感に反応しやすい特徴があります。
相手の表情の変化やちょっとした言葉のニュアンスにも気づき、「今の言い方で傷つけたかも」「嫌な気分にさせたかも」と深読みしてしまうことがあります。
また、想像力が豊かである分、起こっていない出来事までリアルに想像して不安を感じやすいのも特徴です。
こうした人は繊細で優しい性格の持ち主ですが、刺激を受けすぎると心が疲れてしまうこともあります。
一人で抱え込みやすい
人に頼ることが苦手で悩みを一人で抱え込んでしまう人も、考えすぎやすい傾向があります。
「迷惑をかけたくない」「弱いと思われたくない」と思うあまり、誰にも相談できず、自分の中で答えを探そうとしてしまうのです。
しかし、一人で考え続けると思考が堂々巡りになり、ますます不安や混乱が増えてしまいます。
ときには、問題の本質から離れて関係のないことまで考えてしまうこともあります。
未来への不安がある
未来への不安が強い人は、「もし失敗したら」「この先どうなるんだろう」と、まだ起こっていないことを想像して心配してしまいます。
特に過去にトラブルや失敗を経験した人は、同じことが起きるのではないかという恐れを抱きやすい傾向があります。
こうした不安は、本来はリスクを回避するための防衛反応ですが、度を超えると考えすぎの原因になるため注意が必要です。
未来のことばかりに意識が向くと、今できることが見えにくくなり、現実とのギャップに苦しむこともあります。
考えすぎてしまうことで生じる影響

何かを深く考えること自体は悪いことではありませんが、必要以上に深刻に思い悩み、ネガティブな方向に思考が偏ってしまうと、精神的にも身体的にも負担が大きくなります。
ここでは考えすぎがもたらす精神的・身体的な影響について詳しく解説します。
精神的な影響
考えすぎが続くと、まず心に大きな負担がかかります。
具体的な影響をまとめると以下の通りです。
- 集中力や判断力が低下する
- 気分の落ち込みや抑うつ的な状態につながる
- 不安やストレスが増える
- 自己肯定感が低下する
- 神経過敏な状態になる
慢性的に考えすぎていると、常に最悪の事態を想定して不安を感じたり過去の失敗を何度も思い返して後悔したりと、気持ちが落ち着かない状態が続きます。
このような状態が長引くと慢性的なストレスや不安感を抱えやすくなり、集中力や判断力も低下していってしまいます。
「あれもこれも考えなきゃ」と頭がいっぱいになり、目の前のことに集中できなくなるのです。
また、ネガティブな思考が繰り返されることで、気分の落ち込みや抑うつ状態に陥ることもあります。
小さなことに過剰に反応してイライラしたり、周囲の言動に敏感になったりするなど、神経過敏な状態になる人も少なくありません。
考えすぎは心のエネルギーを消耗させるため、気持ちを切り替えづらくなり、「何をしても疲れる」「やる気が出ない」と感じるようになることもあります。
身体的な影響
考えすぎは心だけでなく、体にも悪影響を及ぼします。
- 不眠や睡眠の質の低下
- 疲労感や倦怠感
- 頭痛や肩こり
- 胃腸の不調
- 免疫力の低下
寝る前に考え事が止まらなくなり、なかなか寝付けない、夜中に目が覚めるなどの不眠や睡眠の質の低下が起こりやすくなります。
脳が常にフル稼働している状態が続くため、十分に休んでも疲れが取れにくく、「何もしていないのに疲れる」と感じる人も多いです。
また、ストレス状態が続くことで自律神経が乱れ、肩こりや頭痛、胃腸の不調などの身体症状が出やすくなります。
心と体は密接につながっているため、精神的な疲れが身体症状として現れることも少なくありません。
考えすぎによるストレスを放置すると、心身のバランスが崩れ、生活全体に支障をきたす可能性があります。
考えすぎないためにできる対処法

考えすぎてしまうと頭の中がいっぱいになり、疲れや不安が強くなることがあります。
そんなときは、思考を整理したり気持ちを切り替えたりする工夫をしましょう。
具体的には以下のような対処法が挙げられます。
- 考えていることや心配事を紙に書き出す
- 考える時間を制限する
- 考えすぎる前に行動に移す
- マインドフルネスを取り入れる
- 信頼できる人に相談する
ここでは上記5つの対処法についてそれぞれ解説します。
考えていることや心配事を紙に書き出す
頭の中でぐるぐる回っている考えを、紙やノート、スマートフォンのメモに書き出すことで思考を整理できます。
この方法は『ブレインダンプ』や『ジャーナリング』と呼ばれ、頭の中にある考えを視覚化することで不安を客観的に捉えやすくなります。
ポイントは、良い悪いを判断せず思いつくままに書くことです。
書くことで「何が不安なのか」「今の自分が何を気にしているのか」がはっきりし、漠然とした不安が軽くなることがあります。
定期的に書き出す習慣をつけることで、頭の中を整理する力が自然と身につくでしょう。
考える時間を制限する
考えすぎを防ぐには、考える時間をあえて制限するのが効果的です。
例えば「今日は夕食後の30分だけ悩む時間にする」と決め、それ以外の時間は考えないよう意識します。
この方法は『ウォーリータイム』とも呼ばれるもので、思考を時間内に区切ることで頭の使い方にメリハリがつくメリットがあります。
日中に不安や悩みが浮かんできたら、「あとで考えよう」と一旦保留にし、別のことに意識を向けましょう。
限られた時間の中で集中して考えることで、効率的に問題に向き合えるようになり、無駄な悩みの時間を減らすことができます。
考えすぎる前に行動に移す
「失敗したらどうしよう」と考えすぎて行動できなくなる前に、思い切って一歩踏み出してみましょう。
完璧を目指すと行動が止まりやすくなるため、「とりあえずやってみる」という気持ちを持つことが大切です。
行動してみると、頭の中で考えていた問題が意外と小さかったと気づくこともあります。
また、実際に行動することで状況が変化し、悩む時間が減る効果もあります。
マインドフルネスを取り入れる
マインドフルネスとは、「今この瞬間」に意識を向け、過去や未来のことを手放す練習法です。
深呼吸をしながら呼吸の感覚に集中し、頭に浮かんだ考えをただ「そう思っているな」と受け止め、流していきます。
ポイントは、考えを否定せず、コントロールしようとしないことです。
思考にとらわれすぎず、距離をとって眺める感覚を身につけることで、考えすぎを減らせます。
マインドフルネスを続けると心が落ち着き、集中力の向上にもつながります。
考えすぎて疲れたときほど、「今この瞬間」に意識を戻す練習をしてみましょう。
信頼できる人に相談する
一人で考えすぎてしまうと、思考が堂々巡りになりがちです。
そんなときは信頼できる家族や友人に話をしてみましょう。
言葉にして伝えることで自分の気持ちが整理され、頭の中のもやもやが少し軽くなることがあります。
相手から共感や新しい視点をもらうことで、「自分だけが悩んでいるわけではない」と気づけるのも大きなメリットです。
話すこと自体に意味があるため、アドバイスをもらうことが目的でなくても構いません。
もし身近に話せる人がいない場合は、カウンセラーや専門の相談機関を利用するのも一つの方法です。
考えすぎるのは病気の可能性も

常に考えすぎてしまう場合、性格の問題ではなく、心の病気が関係していることもあります。
特にネガティブな思考が止まらなかったり、不安で眠れなかったり、仕事や学校など日常生活に支障が出ている場合は注意が必要です。
考えすぎてしまう病気としては、以下の3つが挙げられます。
- うつ病
- 不安障害
- 強迫性障害
ここでは上記3つの病気についてそれぞれ解説します。
うつ病
うつ病は、気分の落ち込みややる気の低下が続く病気です。
単なる「気分の問題」ではなく、脳の働きや神経伝達物質のバランスが崩れることで起こるものです。
うつ病の人は、過去の失敗や後悔を繰り返し思い出してしまう『反芻思考』が見られることが多く、「どうしてあんなことをしたのだろう」「自分はダメな人間だ」と自分を責め続けてしまいます。
考えがまとまらず、決断力や集中力が低下するのも特徴です。
また、眠れない、食欲がない、体がだるいなどの身体症状が現れることもあります。
ネガティブ思考が止まらない場合は、無理をせず早めに精神科や心療内科に相談しましょう。
不安障害
不安障害は、強い不安や恐怖が続き、日常生活に影響を与える病気です。
中でも『全般性不安障害』は、考えすぎと特に関係が深いといわれています。
仕事やお金、健康、人間関係など、あらゆることに「もしこうなったらどうしよう」と過剰に心配してしまい、不安が頭から離れません。
不安を抑えようとしてもコントロールできず、落ち着かない気持ちが続くのが特徴です。
身体面でも、肩こり、動悸、めまい、疲労感、不眠などの症状が現れることがあります。
考えすぎが止まらないと感じたら、早めの受診を検討しましょう。
強迫性障害
強迫性障害は、自分の意思に反して特定の考えが何度も浮かんでくる(強迫観念)ことと、それを打ち消すために同じ行動を繰り返す(強迫行為)ことが特徴の病気です。
例えば「鍵を閉め忘れたのでは」「手が汚れているのでは」といった不安が何度も頭に浮かび、その不安を和らげるために確認や手洗いを繰り返してしまいます。
本人も考えすぎであることが分かっていても止められず、強いストレスを感じるのが特徴です。
考えすぎと似ていますが、その思考が強迫的でコントロールできない点に違いがあります。
考えすぎが強迫的に続く場合は、医療機関で相談しましょう。
考えすぎていると感じたら少しずつ心を軽くしていきましょう
考えすぎは、誰にでも起こり得る状態です。
しかし、思考が止まらずに心や体に負担がかかっていると感じたときは、我慢せずに対処することが大切です。
紙に書き出して頭を整理する、考える時間を区切る、信頼できる人に話すなど、日常の中でできる工夫でも心を軽くできます。
それでも改善が見られない場合や不安・落ち込みが続く場合は、医療機関への相談を検討しましょう。
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