「会社に行こうとすると強い不安や恐怖を感じる」
「平日の朝は身体が重たくなる、気分が落ち込む…」
「働くことが怖い」
こんなふうに会社に行くのが苦痛な状態が続き、仕事や日常生活に支障をきたしているのであれば、それは適応障害が関係しているかもしれません。
適応障害は、ストレスにうまく適応できず、心や身体にさまざまな不調が現れる状態です。
この記事では、適応障害とはどのような状態か、うつ病との違い、適応障害になりやすい人、会社に行くのが怖いときの対処法などについて詳しく解説します。
適応障害は働き盛り世代に特に多く見られ、放置すると悪化してしまう可能性があるため、「適応障害かもしれない」と思ったら、できるだけ早めに専門家に相談しましょう。
会社や仕事のストレスは適応障害の代表的な原因の一つ

適応障害はストレス性障害の一つで、特定のストレスが原因となって起こります。
原因となるストレスにはさまざまな種類がありますが、中でも多く見られるのが「仕事でのストレス」です。
職場は人間関係、業務量、責任の重さ、評価への不安など、複数のストレスが同時に重なりやすい環境です。
業務内容や業務量が適正だったとしても「上司の威圧的な態度で追い詰められる」「周囲に馴染めない」といった人間関係がストレスになり、適応障害につながるケースもあります。
特に働き盛り世代は、仕事のプレッシャーや生活と家庭の両立、人間関係などストレスが多い年代で、心の負担が多くなりがちです。
厚生労働省の『職場におけるメンタルヘルス不調者の事例性に着目した支援方策に関する研究』によれば、適応障害は、診断書に記された病名の中で2番目に多かったことがわかっています。(最多はうつ病)
適応障害は原因となるストレスが明確で、そこから距離を取ることで改善が期待できるため、我慢を続けるのではなく、原因を明らかにして症状の緩和につなげましょう。
▶適応障害の原因となる主なストレス│母親や家族の影響は?症状や治し方も解説
適応障害とは

適応障害とは、特定のストレス要因に直面したことで心や身体に不調が現れる状態を指します。
仕事や人間関係、環境の変化など、はっきりとしたストレスやきっかけが存在することが特徴です。
ストレスから離れると症状が軽くなる一方、原因にさらされ続けると不調が長引くこともあり、「朝になると会社に行くのが怖くなる」「出社を考えただけで体調が悪くなる」といった反応は、適応障害の症状の一つと考えられるでしょう。
ストレスは、程度の違いはあれど多くの方が感じているものであるため、適応障害は「甘え」や「怠け」と勘違いしている方もいますが、これは誤解です。
適応障害は診断基準が明確に定められており、治療が必要な状態です。
ここでは、症状やうつ病との違い、適応障害になりやすい人の特徴について解説します。
▶適応障害とは?再発率や兆候・繰り返さないための対策・復職時の注意点を解説
▶適応障害の治療方法は?クリニックでの治し方と自分でできる対処法を解説
主な症状
適応障害の症状は多岐にわたり、主に「精神症状」「身体症状」「行動面の症状」の3つに分けられます。
精神症状 | ・気分が落ち込む、憂鬱さを感じる ・強い不安感がある ・やる気が出ない、無気力感 ・イライラ、怒りっぽくなる ・集中力・判断力の低下 ・刺激に敏感になる ・常に緊張している ・落ち着かずそわそわする など |
身体症状 | ・頭痛、頭が重い ・寝つきが悪い、途中で目が覚める ・食欲不振 ・身体がだるい、疲れが抜けない ・動悸 ・吐き気、腹痛 ・肩や首のこり ・発汗 |
行動面の症状 | ・遅刻、早退、欠勤 ・暴飲暴食 ・過度な飲酒 ・ギャンブルへの依存 ・外出を避け、家に閉じこもる |
職場で見られる精神症状としては、ほんの小さなミスで激しく落ち込んでしまったり、集中できず仕事が進まないなどです。
「会社に行くのが怖い」「仕事に行きたくない」と不安感が強くなるのも、適応障害の症状の一つです。
食欲不振、めまい、動悸など、普段は起こらないような身体症状や、朝起きられないために遅刻や欠勤が増えるなど、行動面にも症状が起こることがあります。
適応障害で特徴的なのは、「出勤前」「仕事の連絡を見たとき」など、特定の場面で症状が強まる点です。
休日や原因から離れているときは、落ち着いて過ごせたり、元気に見えることもあります。
うつ病との違い
適応障害とうつ病は似た症状も多く、混同されやすいものの、発症メカニズムには明確な違いがあります。
適応障害は「職場の多すぎる業務量の影響」「人間関係のストレス」など原因となるストレスが明確で、ストレスが解消されれば改善に向かう傾向にあることが特徴です。
一方、うつ病は原因がはっきりわからないことが多く、ストレスの有無に関係なく気分の落ち込みや意欲低下といった症状が続きます。
適応障害は長期化すると、うつ病に移行するリスクがあるため、我慢せずできる限り早めにサポートを受けることが悪化防止や早期回復につながります。
▶仕事で鬱になる前兆?初期症状・サイン・対処法を解説!受診目安や事例も紹介
▶仕事したくないのはうつ病?対処法や休業補償、治療法など詳しく紹介
▶うつ病と仕事の関係|辞める・休む・続ける前に知っておきたいこと
適応障害になりやすい人
ストレスの受け止め方や耐える力は人によって異なり、ストレスを溜め込みやすいタイプの人は、適応障害のリスクが高くなる可能性があります。
例えば、以下のような特徴を持っている場合、ストレスを抱え込みやすいでしょう。
- ストレスにうまく対処できない
- 繊細で心配性な一面がある
- 几帳面で完璧主義の傾向がある
- 人に頼るのが苦手で誰かに相談できない
- 周囲の評価を気にしがち
- 人に頼まれると断れず、自分を犠牲にしてしまう
性格は適応障害のリスクに影響するものの、上記に当てはまるからといって必ず適応障害を発症するわけではありません。
適応障害は誰でも起こりうる病気であり、「適応障害かも…」と思ったら早めに専門家に相談することが大切です。
▶適応障害になりやすい人の特徴│性格や環境、顔つきなどを解説!予防法&治療法も
会社に行くのが怖いと感じがちな状況・場面

仕事のストレスによって適応障害を発症した方が「会社に行くのが怖い」「仕事に行きたくない」と感じてしまうのは、自然なことです。
「会社に行くのが怖い」と感じることが多い場面としては、例えば、出社前の朝、満員電車、上司との面談や特定の業務を思い出した瞬間などです。
このほか、「同僚が誰かの悪口を言っているのを聞き、自分も裏で同じように言われているのではないかと不安になる」「仕事で失敗してから、周囲の目を過剰に意識するようになり、働くことに恐怖感を覚えるようになった」など、人によって不安を感じる状況には違いがあります。
また、悪いことばかりではなく、良いこともストレスになることがあります。
仕事であれば昇進や転職、プライベートでは結婚や出産など、周囲から見れば喜ばしいことも、適応障害を発症するきっかけになるのです。
会社に行くのが怖いと感じたときの対処法

会社に行くのが苦痛に感じるときは、まずは今の状態を悪化させない行動を取ることが重要です。
適応障害は、原因となるストレスへの対応次第で回復が期待できます。
そのためには「気合で乗り切る」のではなく、ストレスを減らす行動を取り、対処しましょう。
ここでは、会社に行くのが怖いと感じたときの対処法を紹介します。
▶仕事に行けないときの対処法4つ!考えられる原因や病気などを紹介
ストレス対策をする
適応障害の発症や悪化には、特定のストレスが影響しています。対処するには、ストレスの原因を知ったうえで対策することが大切です。
- ストレスの原因を知る
- ストレスへの対処法を身につける
まずは、「自分は何にストレスを感じているのか」を紙にリストアップしてみましょう。
人間関係なのか、業務量なのか、評価や将来不安なのかを書き出してみることで、漠然とした恐怖を減らすことができます。
原因がわかれば、完全にストレスを避けられない場合でも、受け止め方や対処法を調整することで負担を軽くできるでしょう。
リフレッシュ法・ストレス解消法を取り入れる、ストレスコーピング(ストレスに対処する方法)に取り組む、生活リズムの見直し、信頼できる人に打ち明けるなど、小さな工夫がストレス軽減につながります。
休職に抵抗がある場合は、有給休暇という形で休みを取って心と身体を休めるのも一つの選択肢です。
一人で抱え込まず誰かに相談する
「会社に行くのが怖い」という気持ちを一人で抱え続けるのはとてもつらいものです。
話すだけでも心が軽くなったり、自分に必要なサポートにつながる可能性もあります。すべてを話す必要はないため、話せる内容だけでも、周囲の人に相談してみましょう。
身近な人のほかにも、以下のような相談先があります。話す相手は必ずしも専門家である必要はなく、自分が安心できる存在であることが大切です。
- 家族・友人・知人・同僚
- 可能であれば上司・人事部
- 自治体の相談窓口
- オンライン診療・カウンセリング
職場の理解が得られそうな場合は、上司や人事部に相談することで、業務量の調整や配置転換、在宅勤務など、環境面の配慮につながる可能性があります。
診断がなくても相談は可能ですが、医師の診断書があると話がスムーズに進みやすいこともあります。
外出が難しい場合には、オンライン診療やカウンセリングで相談するのも選択肢です。
自宅から医師やカウンセラーといった専門家に相談できるため、会社に行くのが怖い状態でも利用しやすいでしょう。
原因に合わせて職場の環境調整を行う
「会社に行くのは怖い」と思うものの、現実的にすぐには休めない場合や、仕事を続けたい場合もあるでしょう。
そんなときは、原因に合わせて環境調整を行い、負担を減らす対策が有効です。
- 人間関係や環境を変える
- 勤務時間・業務量を調整する
職場の人間関係や環境が原因の場合、部署異動や席替え、新しいツールの導入など小さな変化でも負担が軽くなることがあります。
長時間労働や業務過多が原因の場合、時短勤務や業務量の見直しが必要です。
上司への相談が難しい場合は、信頼できる先輩、人事部や産業医への相談を検討してみましょう。
会社に行くのが怖いなら休職・退職・転職も選択肢

会社に行くのが怖い状態が続く場合、休職や退職・転職も選択肢です。
適応障害は、原因となるストレスとの関係が深いため、環境を変えることで回復が進むケースも多くあります。
「休職したら戻れない」「辞めたら終わり」と考えてしまいがちですが、実際にはさまざまな選択肢があります。
焦らずまずは心と身体を休めてから、家族や専門家と相談してみましょう。
休職
適応障害の症状がひどい場合は、一時的に休職して、心と身体の回復に専念することも選択肢です。
休職制度は法律で定められた制度ではありませんが、医師の診断書があれば利用できる企業も多く、一定期間は傷病手当金などの公的制度を活用できる場合があります。
退職・転職
職場環境そのものが強いストレスになっている場合や、自分だけではどうにもできないことが原因となっている場合、退職や転職が回復につながることもあります。
ただし、環境が大きく変化するため、かえってストレスや不安につながる可能性もあり、主治医や家族と相談したうえで慎重な検討が必要です。
心が弱っているときは否定的に考えてしまいがちで、判断力も鈍ります。大きな決断は自己判断せず、周囲に相談してじっくり検討するようにしましょう。
会社に行くのが怖いと感じるときは医療機関を受診すべき?

「会社に行くのが怖い」と感じるのが、たまたま仕事でミスをしてしまったタイミングや、数日程度であれば、大きな問題はないことがほとんどです。
しかし、会社や仕事への不安や恐怖が長く続き、強い不安や身体症状が出ている場合は、早めに精神科や心療内科で相談してみましょう。
診断書が必要かどうかも含め、今後の対処について考えるためにも、早めの相談が安心につながります。
以下の記事では、適応障害の自己診断チェックリストを紹介していますので、よろしければこちらもチェックしてみてください。
適応障害で会社に行くのが怖いときに医療機関で行う治療法

医療機関で行う適応障害の治療としては、以下が挙げられます。
- 精神療法(カウンセリング、心理療法)
- 薬物療法
適応障害の精神療法では認知行動療法が用いられることが多く、物事の受け止め方や考え方を修正することで、ストレス耐性を高めることができます。
不安や不眠といった症状が強い場合は、必要に応じて薬物療法を行うケースもありますが、必ず薬が必要になるわけではありません。
「なるべく薬は使いたくない」「休職せず薬を飲みながら仕事を続けたい」といった治療方針の希望も医師に伝えられるため、不安になりすぎずにまずは相談してみましょう。
仕事がつらいときは無理せず治療や休養を検討しよう
適応障害は、仕事をはじめとした特定の環境や出来事のストレスによって引き起こされるもので、決して珍しいものではありません。
早めに医療機関へ相談することで、自分の状態を客観的に把握でき、休職や環境調整といった回復のための対策が取れます。
「まだ頑張れる」「もう少し様子を見よう」と耐え続けるより、今のつらさに向き合って、改善につなげましょう。
オンライン診療・オンラインカウンセリングの『かもみーる』では、仕事や職場のストレスによる不調について、丁寧にお話を伺い、お悩みやご希望に合った治療を行っています。
会社に行くのが怖いと感じたときは、一人で抱え込まず、早めにご相談ください。
▶︎カウンセラー(医師・心理士)一覧はこちら
▶︎新規会員登録はこちら
